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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M. Romain BARTHE(ロマン・バルト氏)/ Auberge de Clochemerle(オーベルジュ・ド・クロシュメルル)

フランス校教壇から

2023.05.26

今日の外来講習は、ロマン・バルト氏に現在研修をしているスタージュ生とともに来校していただきました。

バルト氏はボジョレー北部、Vaux-en-Beaujolais(ヴォー・アン・ボジョレー)にある、モルゴンの丘のふもとで、オーベルジュレストラン「オーベルジュ・ド・クロシュメルル」のオーナーシェフをされています。

シェフは仕入れした材料からインスピレーションを得てコース料理の内容を決めるため、メニューには食材名しか書かれていません。そのためレストランでは注文後、どういう料理が出てくるのかが楽しみです。また、ソムリエであるマダムに提案されるボジョレーのワインと合わせることも楽しみです。
ロアンヌの三つ星レストラン「トロワグロ」やランスの「レ・クレイエール」、「オー・アルム・ド・シャンパーニュ」、スイス・シェールの「デディエ・ド・クルタン」のなどのレストランで腕を奮った後に2007年に独立し現在のお店を購入、2011年にはミシュランガイドで『期待のシェフ』に選ばれています。

講習では2品の料理を作っていただきました。

マス/マスの卵/ビーツキオッジャ/未成熟のブドウの実のジュース/ノワゼット

マスの身でムースを作り80℃で15分間蒸して火を通し、使用するサイズにカットした後に表面を香ばしく焼いて盛り付けます。その上にはヴェルジュという未成熟のブドウのジュースで作ったジュレを乗せ、マスの卵、ヴェルジュに漬けた干しブドウ、渦巻き模様の美しいビーツキオッジャのサラダ、ビーツの若葉を飾ります。ノワゼットを軽く焼いて香りを引き出し、それを牛乳で炊いて香りを移します。それを泡立て、泡だけを盛り付けます。マスとナッツ系の香りと酸味の組み合わせはフランス料理では定番ですが、違う方向からのタッチで作られている興味深い一皿です。

タラ/エシャロット/ポロネギ/ダルス/ゴマ/海苔

タラの身を乾燥させた昆布のパウダーでマリネし、オーブンで火を入れます。エシャロットを皮つきのまま塩湯がきして切り分けます。ポロネギは筒状に切ったあと塩湯がきし、芯の部分を取り除きます。取り除いた部分は、薄切りにし、エシャロットのみじん切り、ゴマと海苔のフリカケと一緒に炒めて、ポロネギの筒に詰めます。Dulseという紅藻を塩、砂糖、酢で漬けたものを炊き、アガーで固めてジュレを作ります。先ほど使ったゴマと海苔のフリカケを使ってチュイルを作り、飾りにします。バランスよく盛り付け、青海苔のパウダーを全体に振り、手長エビから取ったブイヨンにコブミカンの葉、ワカメ、キャラウェイなどの香りをつけたブイヨンを別に添えています。淡泊なタラの身に昆布のうまみや、海藻類の海の香り、ゴマの香り、コブミカン、スパイス、甲殻類のブイヨンの香りが複雑に絡み合った興味深い一皿になっています。

付け合わせの作成を研究生に教える、現スタージュ生。盛り付けや、付け合わせの作成なども現在レストランで任されているそうです。

ごま、海苔、昆布などのフリカケを使用されており、初めて和食材を使用されたことで学生も興味を持ってみていました。現在フランスでも和食材を専門として日本から輸入している業者があるということで、シェフに教えていただきました。研究生もフランス料理の中でもグローバル化が進んでいることを体感していた様子でした。


講習後にスタージュ生から研究生に向けてアドバイスがありました。実習や、研修先で毎日取り組む料理についての心構えについてなどでした。研究生の実習もそろそろ折り返しに入るところでもあり、心に留めておいていることだと思います。

研究生に感想を聞くと、やはり和食材を使っていたことに興味を覚えた様子でした。

「日本人が和食材を使ってフランス料理を作るのは食べたことがあるが、フランス人が和食材を使って作るフランス料理が見ることができよかった」

「あまりフランスでは海藻を食べないと思っていたので、意外でした。研修生がシェフに多くの仕事を任されているのを見て、自分も研修に出たときに仕事を任されるようにコミュニケーションや信頼を得られるようにしたいと思います」などの感想がありました。

最後にアシスタントをしてくれた研究生と記念写真。