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辻調グループ フランス校

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専門講義(ボルドーワイン) Madame Nathalie ANGUENOT(ナタリー・アングノー氏)

フランス校教壇から

2020.02.24

2020年秋コース最後の専門講習外来講師はナタリー・アングノー氏です。高等期間で専門的にワイン醸造を学び、卒業後は研究機関などで経験を積まれ、現在ブルゴーニュでブドウ栽培からワイン製造まで携わっておられます。それらの経験を活かし、フランス各地での講演やコンサルティング業務もされています。パリを拠点とする「Ecole du Vin de France」で講師として勤務しており、初心者から専門的に学びたい人向けにあらゆるレベルに合わせた授業もされています。

  

 講義はまずボルドー地方の地理条件またそれぞれのワイン生産地の特徴を、地図を使って説明をされました。西に大西洋があるボルドー地方は海洋性気候で、他のブルゴーニュ地方やシャンパーニュ地方に比べると夏と冬の温度差が少ないのが特徴です。他の地方にはない海からの風の影響もワイン作りに関係をします。次にボルドーワインの特性を、色や味の観点から解説されました。伝統的には辛口白ワインや赤ワインが生産されていますが、人気のあるロゼやスパークリングワインも近年たくさん作られるようになりました。ワイン作りに使われているブドウ品種も豊富で、それぞれがワインになった時にどのような香り・味の特徴があるのかなど、後に続くデギュスタシオン(ワインの試飲)のために必要な知識を披露していただきました。

  

  

 ボルドーといえば赤ワイン。まずは色の観察から始めます。グラスを前に傾けて周りにオレンジがかった色が見えたなら、熟成が始まっている印です。次に嗅覚を使います。ワインの芳香を説明するためには多くのボキャブラリーがありますが、味や香りは個人的なものなので、もっと自由に感じていいとアングノー氏はおっしゃっていました。研究生の一人から「工事現場のにおいがする」と独特なコメントも飛び出しました。最後に味見。味覚を研ぎ澄ませてワインの味を観察した後は、料理やお菓子との組み合わせのアイデアを出し合いました。一般的にワインと料理のマッチングは、同じような味を組み合わせる「鏡の法則」が良いとされています。しかしながら、ワインの特徴を理解できているのであれば、まったく反対の味を持ってきてもお互いを引き立たせることができるそうです。そのためにはたくさん勉強しなくてはいけませんね。

  

 最後に甘口白ワインを試飲しました。こちらはボルドー地方のごく一部で作られています。ガロンヌ川支流のシロン川の周りで、朝の霧と昼間の晴天、良性の菌により甘みが濃縮したブドウができます。一般的にブドウの木1本から1本のワインが取れます。しかしこの菌によって水分が奪われてしまうため、実がとても小さくなり、ブドウの木1本からワイングラス1杯しか取れないので、ボルドー産の甘口白ワインはとても貴重なのです。

本日は4本のワインを試飲しました。フランス校では、ボージョレーワインを学ぶために、レクレール校のお隣にあるブドウ栽培・ワイン醸造研究所シカレックス社を見学。またブルゴーニュ・ワインにはボーヌにあるルイ・ジャド社、シャンパンを学ぶためにドン・ペリニョンで有名なモエテシャンドン社を訪問しました。毎日の夕食時にも調理の先生による解説を聞きながらワインを飲みました。様々な授業を経て、10月よりもずいぶんとワインのことがわかるようになってきたのではないでしょうか。

(*フランスでは18歳よりお酒を飲むことができます。)

ボルドーワイン専門講義でもって今期の外来講習はすべて終了しました。本当にたくさんの方々にご来校いただき、多くのことを学びました。2019年秋コースのみなさん、おつかれさまでした。