製菓外来講習 M.Nicolas BONNARD (ニコラ・ボナール氏)
今回の外来講師、二コラ・ボナール氏はブルゴーニュ地方の製粉会社NICOT社で専属講師を務めた後に独立し、リヨン市内で話題になったブーランジェリー『L'Epiaisonレピエゾン』のオーナーシェフをされていました。現在はフリーでパンの講習や技術指導などに取り組まれています。フランス校にも毎期お越しいただき、分かりやすくパンの作り方、発酵、歴史などをお話ししてくださるので研究生にも大人気の講習です。
キュイジニエの特別実習授業にも来てくださいました。
その時の様子はこちら→調理外来講習 / M. Nicolas BONNARD (ニコラ・ボナール氏)│フランス校ブログ│辻調グループ フランス校 - 食のプロを育てる学校
フランス校の実習でもヴィエノワズリー(クロワッサンやブリオッシュ)を作成しますが、ハード系のパンは作らないので学ぶことがたくさん。日本の学校でもパンの勉強はしてきましたが、実際にフランスで食べられているパンの勉強をするのは、フランスの文化も学べて面白いですね。
こちらの作業はパンに切り込みを入れ、真っ直ぐ焼き上げるためにとても重要です。ボナール氏いわく「これはパン屋によって違うから、サインと一緒!」切る深さ、長さによって違う表情のパンが焼き上がってきます。「もし、クープの入れ方が悪いと?」という研究生の質問には絵を描いて説明してくださいました。
【Baguette de tradition française】バゲット・ドゥ・トラディッション・フランセーズ
アシスタントの研究生も教えてもらいながらクープを入れます。恐る恐るクープを入れていると「もっと深く、手早く切って大丈夫だよ」と、アドバイスが。パン生地が柔らかいのでスムーズにはいきませんが、「上手く出来ているよ。」とほめていただきました。
【Pain meule de pierre sur levain】パン・ムール・ドゥ・ピエール・スュル・ルヴァン
石うすでひいた小麦粉を使用したパン。Levain(ルヴァン)=発酵種を入れることにより香りが強くなります。このルヴァンについて研究生は「いつ作ったものか、どんな作用があるのか。」フランス語で質問をしていました。これは小麦粉と水のみで作られている天然酵母です。これだけでも独特な少し酸味のある香りがします。
【Pain beaujolais】パン・ボジョレ
Rosetto de Lyon(ロゼット・ド・リヨン)リヨン名物のドライソーセージとヘーゼルナッツを入れ、水の代わりにボジョレで練ったパン。「ボジョレのアルコールとソーセージの塩分が強いので、塩を少し減らしているのと作り方にも少し注意が必要だよ。」リヨンのシャルキュトリー(肉を加工したものを扱う店、肉を加工したもの全般の総称)では本物のソーセージをつるして売られています。今日はそれをまねしてディスプレイしています。
【Pain à la courge】パン・ア・ラ・クルジュ
ペーストにしたカボチャを水分として入れたパン。形がとってもかわいくて、焼く前から研究生も大喜び。「かわいい~。」連発。「スライスしてトーストしたパンにフォアグラをのせたら美味しいよ。」と説明されたら「フォアグラ!食べたい。フォアグラ!!」この日の朝、ちょうどドゥムール先生と研究生たちはフォアグラの話をしていたので、みんなの頭の中はもうカボチャパンにフォアグラが乗っている・・・試食にはフォアグラはついていません。
【Seigle auvergnat】セーグル・オーベルニャ
セーグル(ライ麦粉)で作られたパン。ライ麦粉で作ったパンは他のパンと生地の扱い方が違います。練ったパン生地は丸めず、カードですくったらそのまま型(フランス校ではボールにトルション(布))へ。生地のつながりが弱いため、パンを作る時にバゲットのなま生地を少し残しておき、このパンに加えました。小麦粉のグルテンを補い、扱いやすくしています。
作成していただいたパンは、パンによって食べごろが違います。そこもボナール氏から教えて頂き食事と一緒にいただきます。
【アシスタントをした研究生のコメント】
「今回、ボナールシェフのアシスタントとして、早くて丁寧な作業を間近で見ながら一緒にすることができて、とても楽しかったです。また、環境に応じて生地の様子を見ながら臨機応変に作業する姿からは学ぶことがたくさんありました。特に、製パン理論をきちんと理解することの重要性を学びました。様々な要因ですぐに状態が変化するパン生地を相手に、適切な対応が出来るのは、パンに対する理解が深いからだなと思いました。理論の他にも地方のパンや、その特徴なども説明してくださり、とても楽しい講習でした。」
「この2日間は初めてのパン講習でした。今回作るパンの一つは、室温、粉温、水温をすべて合わせて60℃にするため、その日の室温と粉温を測って水温で調節しました。少し水温が高いだけでもパンの発酵が進んで柔らかくなるなど、状態に変化があるのでボナールシェフは常にパンの状態を見ながら固さを調整し繊細な作業をされていました。成形では素早い分割と作業をされ、私達にもそれを優しく教えてくださったので勉強になりました。2日間を通してフランスの伝統的なパンの文化に触れたり、製パンについて学んだり貴重な時間を過ごせました。ボナールシェフありがとうございました。」
Merci!M.BONNARD!!