石井 英美さん 「Addict au Sucre(アディクト・オ・シュクル)」
石井 英美さん Emi ISHII
[ エコール 辻 東京 ]辻製菓マスターカレッジ 2001年3月卒業
フランス校シャトー・エスコフィエ 製菓研究課程 春コース 2002年3月卒業
研修先:Patisserie Le Trianon(パティスリー・ル・トリアノン)
店名:Addict au Sucre(アディクト・オ・シュクル)シェフパティシエ
〒152-0023 東京都目黒区八雲1-10-6
TEL:03-6421-1049
FAX:03-6421-1094
営業:Open:10:00〜19:00 火曜定休(水曜不定休)
HP: http://addictausucre.com/
東京都目黒区、都立大学駅近くの閑静な街中に真っ白の壁面が印象的な、おしゃれでかわいらしいパティスリーがあります。少し照明を落とした店内には心地よい時間が流れ、ゆったりとした気持ちでお菓子を選ぶことができます。棚の上には自家製コンフィチュール(ジャム)や焼き菓子、ショーケースの中には1つ1つ丁寧に作られたケーキ、どれもフランスで定番のお菓子が並んでいます。カフェスペースも4席あるので、気に入ったお菓子とおいしい紅茶で、フランス気分が味わえるティータイムが楽しめます。
今回は2014年4月にこのAddict au Sucre(アディクト・オ・シュクル)を独立開業され、2016年には日本洋菓子協会連合会公認技術指導員にも任命された、人気パティシエの石井英美さんにお話を聞きました。
~ご自信のパティスリーについて~
■開業するに至った経緯と、苦心されたこと
元々、自分のお店を出したいと思ってパティシエになったので、自分のお店を持つことは目標のひとつでした。苦心したことというか、こだわったことは立地選びです。東京都内というのが前提でしたが、周辺が騒がしすぎず、駅から近く、多くのお客様に立ち寄っていただきやすい場所を選びました。
■「Addict au Sucre」のコンセプトと店名の由来
店名の意味は「甘味中毒」です。この名前を付けた理由は3つあります。1つ目はお店の名前を見て「どういう意味だろう?」と気にかけてもらうため、2つ目は私自身甘いものが大好きだから。そして3つ目はパティシエを目指すきっかけになった、「甘いものが大好き」という初心を忘れずにい続けられるように、です。今後も「また食べたい」と私のお菓子中毒になっていただけるようなお菓子作りをしたいと思っています。
■パティシエとしてやりがいを最も感じられること(とき)
お客様に喜んでいただけたとき、自分のお菓子に自分で満足できたとき、今まで憧れていたパティシエの方が自分のお店を知ってくれていたとき、家族に誇りに思ってもらえたとき。あと、お菓子を通して様々なもの、こと、人との出会いに恵まれたことです。たくさんあります。
■仕事で常に心掛けていることやパティシエとして大切だと思うこと
店のオーナーとして特にチームワークや段取りを大切にしています。従業員の労働時間も意識しながら、迅速かつ丁寧な仕事を心掛けています。また、従業員には最終的に一通りのことができるように、自分で考えて動けるように、様々な業務を経験させたいです。
■今後の目標について
今現在もそうですが、今後もフランスに当たり前にあるようなお菓子が揃っているお店作りを継続していきたいと思っています。また、この業界の仕事は厳しいものですが、従業員が夢や憧れを持って働けるような姿を見せてきたいです。
~フランス校について~
『フランス校は1軒目の研修先』
■フランス校での体験が与えた今の仕事や考え方や感性への影響
フランス校で仕入れられる食材は、どれもとても新鮮なものでした。また、チーズ製造所に行った際は、濃厚な本場のチーズの匂いを全身で体感しました。そのような食材や素材に触れた経験もあり、食材選びには重点を置き、旬のフルーツは契約農家さんから直接取り寄せるなどのこだわりができました。
■フランス校の先生やスタージュ先のシェフパティシエから教えられたことで今でも記憶に残っていること
フランスのパティスリーに並んでいるお菓子を見て、どれも形がバラバラで、日本のキレイに形が揃ったお菓子と違うとフランス校の先生に話したとき、「それは不揃いで、汚いとうことではない」と言われたことは、今でも記憶に残っています。その言葉の先は自分で考えろというように、先生は何も仰いませんでしたが、「わざわざフランスに来て、学び取ろうという姿勢が足りない」と自覚させようとしたのだと思います。日本人にとってパティスリーにあるようなお菓子は特別なものですが、フランス人にとっては日常的なもので、そこの考え方が既に違うのだと気付きました。
■卒業して思うフランス校・スタージュの一番の魅力
経験を通して、いい意味で考え方が変わることです。フランスではそれぞれの人の生き方にとても寛容で、各々が自分の人生に責任を持っています。そのような環境で生活する中で、他の人と比べてどうか?と考えるのではなく、自由な考え方ができるようになり、今まで凝り固まっていた気持ちが楽になりました。
■フランス校・スタージュで印象に残っているエピソード
実習室は常に清潔な状態を保たなければいけませんでした。そうじの後の水が床に残っていたときは、キャメラ先生にとても怒られましたし、「ゴミ箱のものを食べられるくらいキレイにしなさい」と毎日のように言われていました。おかげで、研修先でも現在自分のお店でも調理場を清潔に保つよう意識する癖がつきました。
~フランス校に進学する学生へのメッセージ~
フランス校生活と研修は人生の中のたった10ヶ月だけです。とにかくいろいろな所に出かけて食べて、たくさんのことを経験して帰ってほしいです。また、せっかく多様な文化を見に行ったのに、帰国後就職して壁にぶつかったとき、「フランスのやり方はこうだったのに、フランスはよかったな」と、逆に凝り固まった考え方にならないように、柔軟な考え方を持ってください。今後を前向きに進むためにフランス校に進学するという意識で行ってほしいです。でもまず1番は体に気をつけて!楽しんできてください。
Addict au Sucreでは辻調グループの卒業生が3名も!働いていましたのでご紹介します。
左から、藤原 里美さん 2013年辻製菓専門学校 製菓衛生師本科卒
2014年辻調グループ フランス校製菓研究課程卒
鹿島 悟さん 2014年エコール 辻 東京 辻製菓マスターカレッジ卒
2015年辻調グループ フランス校製菓研究課程卒
佐々木 萌さん 2016年エコール 辻 東京 辻製菓技術マネジメントカレッジ卒
内2名はフランス校卒業生です。
石井シェフのもと、後輩の皆さん、生き生きとした表情で仕事に取り組んでいました。