高橋 創さん「Restautant SO(フランス・ディジョン)」
高橋創 TAKAHASHI So
辻調理師専門学校 1998年3月 卒業
フランス校シャトー・ド・レクレール フランス料理研究課程 1999年卒業
店名:Restaurant SO
15, rue Amiral Roussin 21000 Dijon, FRANCE
℡ 03.80.30.03.85
『フランス校でなければできないことをしてきて欲しい』
フランス校卒業生の高橋創さんは、現在、マスタードで有名なフランス・ディジョンでレストランを経営しています。
1978年に千葉で生まれた高橋シェフ。縁あって辻調理師専門学校に入学し、その後フランス校へ進学しました。
帰国後は千葉・柏で「ル・クープル」のレストラン立ち上げを経験しました。当初より自分でお店をすることを前提に
していたので、その後はチーズの勉強をするためにチーズを主力とした輸入企業である「チェスコ」にて1年間勤務し、
販売やチーズについてとことん学びました。
2000年には「タイユバン・ロブション」に入社、25歳で次のステップへと退職を考えていたところ、渡辺雄一郎シェフ
(恵比寿「ジョエル・ロブション」のエグゼクティブシェフ)に引き留められ、「ジョエル・ロブション」で働きました。
そして再びフランスへ。
渡仏後は、フランスは北西部のブルゴーニュ地方にある一ツ星レストラン「ル・シャルルマーニュ」(Le Charelemagne)
や、ディジョンの1ツ星レストラン「ステファン・デルボード」(Stephane Derbord)で修業しましたが、星付きレストラン
だけでなく色んなタイプの店での経験もしたいという思いから同じディジョンにあったシャンパン・バーで働き、ワインの
知識を深めデギュスタシオン(試飲)などの経験も積みました。
そしていよいよ、2012年に自身の名を冠した「Restautant So」を開店。
2013年末に1周年を迎えたばかりの日本人によるフランス料理店は、徐々に常連客も増え地元の人気店に
成長しつつあります。
本場フランスでフランス人を相手に料理する日々を送る高橋シェフに、独立やフランス校時代についてお話いただきました。
お店の外観
■ 開店の経緯と苦心されたこと
開店は2012年12月です。本当は8月にオープンの予定だったのですが、工事の認可が遅れて少し開店が
遅くなりました。通常外観の変更は町の許可があれば大丈夫なのですが、この店のある地域は国の美観地区に
指定されているため、フランス政府からの許可が必要だったんです。
物件は、たまたまオーナーが知り合いだったのがきっかけです。また店の目の前に裁判所がある関係で、近辺には
弁護士が多く働いており、馴染みのお客さんにも法律関係の方が多かったので、面倒な手続き一切を任せられたのが
幸いでした。因みに、店内のインテリアなどは全部自分たちで壁紙を買ったりしてやったんです。
■ お店のコンセプト
「自分の家に来て食べているようなイメージ」を目指しています。
(実際、取材当日も赤ちゃん連れ、子供連れのお客さんが、ランチをエンジョイされていました!)
メニューはほぼ週替わりです。こちらでは金曜日に一番新鮮な材料が入ることが多いので、そこに向けてメニューを
考えています。
現在厨房は僕一人。サーヴィスで日本人が1名と、週一くらいでアルバイトが1名います。
妻もお店のマダムとしてサーヴィスを担当しています。人件費を抑えることでその分食材費にまわしたい
という思いから、このように最低限のスタッフ数で運営しています。また、自分一人で店全体を見渡せることも
重視しているポイントです。お客さんのリアクションを知るためにも、ずっと調理場に籠ってお客さんと話ができないほどの
大規模なお店はやりたくないという思いがありました。
店内は北欧調で、モダンでありながら木の温かみも感じられる非常に落ち着ける雰囲気
■ 料理人としてのやりがいを最も感じられることは何でしょうか?
「レストランは自己表現の場である」ということは間違いないのですが、お客さんに「おいしい」と言われることが
やはり第一です。そのためには努力を惜しみません。
■ 仕事で常に心掛けていることや料理人として大切だと思うこと
「自分に負けないこと」ですね。また、料理には愛が必要です。親が子供に作る、あるいは恋人のために作るのが
一番という思いと一緒ですね。
また、「おいしさって何だ?」を常に追及することも大切で、これは辻調グループで学んだことでもあります。
「おいしい」は教わるものではなく、主観的なもの。そのディティールまで追及することが重要です。
あと、「努力はするけど、苦労はしない」。
この日頂いたお料理と厨房での様子
■ フランス校・スタージュ(実地研修)で印象に残っていること
研修先は「ピラミッド」でした。シェフだけで15人くらいいる、とにかく大きい店でしたね。
フランス人がとても真剣に働いていたのが、当時とても印象的でした。
■ 今後の目標
やっぱり、日本人シェフだからという理由ではフランス人に負けたくはないですね。
フランス人がフランス料理を知っているのは当然ですが、日本人も今では子供の頃から国内で様々な文化を
見ることができるようになっていると思います。こんなに多様な文化を国内で見られる国はあまりないのでは
ないでしょうか。僕としては、フランス料理を突き詰めることによって、日本人の特徴を出したいと考えています。
それには、クラシックを生かしつつ、エッセンスをつかんでまずは目立つこと。
そのためには、フランス語を覚え、フランスの文化を知ること。また、フランス人の友人を作ること。
そして、ネガティブな話をしない、ということも大切にしていますね。
奥様と共に・・・
■ フランス校に進学する後輩たちへ
伝えたいことは4つ。
「料理を好きでいること」 「すべては自分のためであると思うこと」
「フランス校でなければできないことをすること」
(たとえば日本では食べられない食材やワインなどに触れることを心がける・・・)
「研修でフランス人の友人を作ること。できるだけフランス人と過ごすこと」
(そういった友人たちが、その後偉大な料理人になることもあるし、自分のキャリアにつながるので
つながりを大切にすることが重要です)