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吉澤 美智子さん「Au Péché gourmand(オー・ペシェ・グルマン)」

卒業生レポート

2016.11.29

吉澤 美智子さん Michiko Yoshizawa
[ エコール 辻 東京 ]辻フランス・イタリア料理マスターカレッジ 1996年3月卒業
フランス校シャトー・ド・レクレール フランス料理研究課程 1997年 秋コース卒業
研修先:Georges Blanc(ジョルジュ・ブラン) <ボジョレー地区>
店名:Au Péché gourmand(オー・ペシェ・グルマン)オーナーシェフ
東京都渋谷区幡ヶ谷2-24-2 須原屋ビル1F
℡ 03-6276-6332
営業:18時~23時(ラストオーダー)月~土曜日 
    18時~22時(ラストオーダー)日曜・祝日
HP: http://a-p-g.jp


『フランス校は、料理と真剣に向き合えた場所』
ご両親の反対で、短大卒業を条件にエコール 辻 東京に入学したという吉澤シェフ。
2年の遅れを取り戻すべく、エコール 辻 東京で料理の基礎を猛勉強し、フランス校に進学されました。
スタージュ(実地研修)は、ブレス鶏を使った料理で知られるミシュラン3つ星『Georges Blanc』で研修をされました。帰国後はフレンチレストラン、カフェ、エスニック料理店で腕を磨き、2004年に東京・下北沢にビストロ「レ・リヤン」を開店。
このビストロは、小説家の吉本ばなな氏が常連のお店で、開店後4年半でテナントのビルが取壊しをする際、とても惜しまれ「ぜひ物語の舞台として残したい」という申し出がきっかけで、小説『もしもし下北沢』に登場することになりました。吉澤シェフの1日の仕込みの流れや仕事に対する考え方、病気になったときの対応などの話が本の一部として、主人公「みちよさん」のモデルにもなっています。
その後、再びフランスに渡り修業し、帰国後2010年に東京・幡ヶ谷で「オー・ペシェ・グルマン」をオープン。笹塚と幡ヶ谷の中間にある赤い窓ガラスのおしゃれなビストロで、一人でも楽しめるカウンター席と、家族で集まれるテーブル席が用意されています。
雑誌などの多くの取材も入る人気店のオーナーシェフ、吉澤美智子さんにこれまでの道のりやフランス校時代のお話を伺いました。

~ご自身のレストランについて~

 

■開業するに至った経緯と苦心されたこと
フランス校、研修を終えて帰国後、小さなレストランに入りましたが、体調を崩してしまい、先輩の紹介で立ち上げを手伝っていた際、よく通っていたお気に入りのカフェのオーナーより「取壊しが決まっているこのカフェで3年だけ自分でやってみたら?」との提案があり、そのカフェを賃貸させていただき、力試しに始めたのがきっかけです。少し期間が延び、4年半経営できました。(その後、現在のお店を経営)

■「オー・ペシェ・グルマン」のお店・料理のコンセプトと店名の由来は
ほっとする空間と料理、日常通いの出来る店でありたいと思っています。
地元の方が多く、週1~2回通ってくださるお客様や、毎年記念日に使ってくださる方など住宅地ならではの気軽なお店です。名前は下北沢からこの幡ヶ谷に移動する1年間フランスでお世話になったシェフに名付けていただきました。意味は「食いしん坊の罪」です。

 

■料理人としてやりがいを最も感じられることは
カウンター(オープンキッチン)でお料理を作っているので、お客様の「美味しい」や「また○○を食べに来たよ」など、基本的なことですが、本当に励みになります。

  

■仕事で常に心掛けていることや料理人として大切だと思うこと
体調を壊したことがあるので、健康には気をつけています。
あと、28歳で独立してしまったので、まだまだ勉強不足です。いろいろなシェフの先輩方にアドバイスを頂いたりしています。食材もこだわり、農家さんと蜜に連絡を取り合い、状況を教えていただいています。

■今後の目標について
この場所でずっとお客様をお迎えして、自分の美味しいと思うお料理を提供し続けていきたいです。
7年目になりますが、お客様と共に生活しているという気持ちで、年を重ねていけたらと思います。

~フランス校について~

  
左:フランス校 パスカル・コアールシェフも特別授業にて                                
右:フランス校 ピエール・ベアルディレクター、と

■フランス校の体験が今の仕事や考え方や感性に与えた影響は
1人で調理をしているので、段取りやオーダーが重なった時の優先順位の判断力がとても重要です。
フランス校で仕上げる皿数が増えていったとき、時系列を立て、仕込み、仕上げ作業を考えた方法がとても役に立っています。チーズもフランス校で出会い、感動し、チーズプロフェッショナルも第1回目で合格できました。諦めずにチャレンジする精神はきつかったフランス校時代に備わりました。

■フランス校のシェフの今でも記憶に残り、影響を与えている言葉
「Vite ! Vite !(急げ!急げ!)」とおっしゃっていたのを憶えています。
きちんと食材のベストな状態で調理し、料理を仕上げる、提供するということをとても大事にされていたと思います。今も変わらず丁寧にvite viteを心掛けています。

■卒業して思うフランス校・スタージュの一番の魅力
とても素晴らしいレストランでしたので、高級な食材を沢山仕込みさせていただきました。言葉は得意ではなかったのですが、調理場では困らずコミューニケーション、仕込み作業が出来ました。仕込みの毎日でしたが、ブレスの鶏を毎日60羽以上さばいて得意になりました。

 
左:スタージュ先のシェフと              
右:外来習に来られたポール・ボキューズ氏と

■フランス校・スタージュの印象に残っているエピソード
昔はインターネットもなかったので手紙でのやりとりで友人と会ったりしていました。そのせいかフランス校の皆とはとても強い絆で繋がっています。とりあえず、ホームシックにはなりましたが、同居人のフランス人の女の子たちに助けられ、若いアプロンティー(研修生)の子達とサッカーをしたり、サバイバルゲームをしたり、仲良くしてもらいました。ちょうどサッカーのワールドカップでフランス優勝の年でしたので、車のクラクションで街中うるさかったのを思い出します。 


フランス校校外授業でブルゴーニュのブドウ畑にて

■フランス校に進学する学生にメッセージ
とりあえず気力、体力、精神力を強くし、大変な授業だと思いますが、諦めずに勉強してください。
素晴らしい環境の中、貴重な食材と真剣に向き合って充実した生活を送ってください。