引き出せ! ~食材たちのベストパフォーマンス~
皆さんは『みかん』と『オレンジ』の違いってわかりますか?
それぞれの種類に、どのようなものがあるか知っていますか?
パティシエがお菓子を作る上で欠かせない食材の一つにフルーツがあります。
この季節ならばリンゴやレモン、ゆず・・・といったところでしょうか。
そんな冬を代表するフルーツと言えば、みかんですね。
さて冒頭の質問。
これに答えられるということは、パティシエへの第一歩と言えるんです。
なぜなら、パティシエがおいしいお菓子を作るためには、各食材の種類はもちろん、それぞれの特徴を知っている必要があるからです。
今回はそんな、"作りたいお菓子やパンに適した食品や調理方法を選択できるようになるための科目"「食品学」の授業を紹介します。
今回の授業のテーマは「かんきつ類」です。
先生がテーマを紹介。
かんきつ類とは全体を包む外側の皮(果皮)の中が、いくつもの小さい袋に分かれている果実のこと。
代表的なかんきつ類に、みかんやオレンジ、グレープフルーツなどがありますね。
みかんは一般的に温州みかんと言われ、手で皮がむけるくらい果皮(かひ)が薄く、甘味と適度な酸味が特徴です。
産地ごとにブランド名があり、有名なものに「有田みかん」や「愛媛みかん」などがあります。
一方オレンジは対照的に、果皮は温州みかんに比べると厚くて、
代表的なものに「バレンシアオレンジ」「ネーブルオレンジ」「ブラッドオレンジ」などがあります。
ちなみにネーブルオレンジって"へた"の反対側にでこぼこができやすく、
これが"へそ(=navel)"に似ていることが由来だそう。知っていましたか?
ここで先生からポイント!
ネーブルオレンジは加熱するとバレンシアオレンジに比べて味や香りが悪くなりやすいのだそう。
そのためネーブルオレンジは生で食べることが多いとのこと。
一方で加熱しても味や香りが変わりにくいのがバレンシアオレンジ。
そのためこちらはジュース(加熱殺菌されたパックジュースなど)やクレープシュゼット、
マーマレードなどに使用されることが多いんです。
先生の説明を熱心にメモします。
他にもグレープフルーツ。こちらはオレンジと比べてさらに果皮が厚く、独特の苦味が特徴ですね。
果肉の色が、白色系と赤色系でそれぞれ味も違うんですね。どこがどう違うのかは、授業を受けた人ならわかります(笑)
理論の授業ではこのグレープフルーツを使って、「ジュレ・ド・パンプルムス」を作っています。
特徴を知っていることで、先生たちがデモで作る際の手法や使用する食材選びに、より興味が出てきます。
食材の色・味などの特徴、使われるお菓子などの知識を学びましたが、では実際にはその通りなのでしょうか?
ほかにどんなお菓子に使えるのでしょうか?
"百聞は一見にしかず"
先生の解説を聞いた後、「実際にオレンジとグレープフルーツを食べ比べてみましょう」と先生の一言。
この授業の特徴は、食材を実際に食べ比べて、自身で感じた、色・味・香りなどの特徴を書き記すところにあるんです。
学生がクラスのみんなにアルコールスプレーで消毒に回ります。
先生がサンプル食材を配布。
みんな入念に、苦味、甘味、酸味などの特徴を確認。サンプルシートに記していきます。
ではここで先生から質問。
「基準となるバレンシアオレンジの方がグループフルーツより甘いと思った人!?」
人によってそれぞれ感じ方が違うことを知るのも重要です。
先生の説明通り、多くの人はそのように感じるようですが、
実際にそのように感じないこともあるのが、今回のことでわかったりします。
実際に食べて感じることはやはり重要ですね。
最後に「この食材を使ってどのようなお菓子に使えそうか」自分なりの感性を言語化します。
このように食品学では、他にもチーズや牛乳などお菓子に使う様々な食材について学びます。
農家さんが愛情をもって育てた食材や、加工業者の人々が、知恵と労力をかけて作った食材。
その"食材たち"のおいしさ(=ベストパフォーマンス)を引き出すこともまた、
パティシエ・菓子職人として大切な仕事の一つです。
「食材たちのベストパフォーマンスを引き出してあげてくれ!未来のパティシエたち!」
~プロフィール~
辻製菓専門学校 教務課
新宮 泰彦
担当授業「社会」「マネジメント論」
大阪府出身
未来の製菓業界を支える学生たちをサポートする裏方として日々奔走中の毎日です。
過去の授業紹介・SDGs推進プロジェクトのブログはこちら
夢と目標!~製菓業界での活躍へ向けての第一歩~
「目に見えない敵」との戦い~パティシエ・菓子職人としての責任~
始動!~SDGs推進プロジェクト~
活動!~SDGs推進プロジェクト②~