こんなお菓子を作りました。
今年度もたくさんのお菓子を実習したり、デモンストレーションしたりで、
あっという間に終わってしまいました。
卒業する人、進級する人、それぞれに有意義な春休みを過ごしていることでしょう。
ここでちょっと2023年度を先生の目線から振り返ってみました。
2年生の高度製菓理論を担当しているので、かなり専門的になりますが、授業で作ったお菓子をご紹介します。
どの回にもテーマがあり、お菓子の作り方だけでなく、周辺の情報もたくさん授業に取り入れました。
まずは「折り込みパイ生地の応用」です。
ミルフイユや、ガレット・デ・ロワなど、折り込みパイ生地を使ったお菓子は基礎で習っているので、
もう少し複雑な上級編のお菓子2品を担当しました。
ピュイ・ダムール(Puit d'Amour)は、ノルマンディーのデュポンさんのスペシャリテです。
研修中、毎日作っていた思い入れのあるお菓子で、久しぶりに授業で作るので気合が入りました。
小さいタルト状に作るのが定番ですが、デュポンさんで作っていた大きいものも作ってみました。
コンヴェルサシオン(Conversation)は、パイ生地と中身のアーモンドクリームと
表面のグラスロワイヤルの組み合わせが絶妙で、食べたときの口の中が楽しいお菓子です。
オーブンの中で立ちあがってくる様子が美しくてワクワクします。
授業の板書もお見せしましょう。
生地のことは以前の授業で解説済みなので、
ピュイ・ダムールで使うダブルクリームを説明するために、乳製品の製法を図解しました。
英語とフランス語(と日本語)が入り混じっています。
作るお菓子は決まっていても、話がどこに向かうかは先生によって違います。
なるべく興味を引く話題を心がけています。
6月の授業ではトレハロースという特殊な甘味料を使ったお菓子を紹介しました。
トレハロースには普通の砂糖にはない機能があって、
例えばギモーヴ(Guimauve)=マシュマロ(Marshmallow)に使うとやわらかい食感が長持ちします。
他にも、パウンドケーキのおいしさを長持ちさせたり、砂糖に比べて甘さが少ないので
砂糖の特性を保ちながら甘味をおさえることができたり、
冷凍ムースを解凍しても離水しにくくすることができます。
お菓子の素材や製造法は進化しているので、日々勉強です。
フランスの伝統的なお菓子を、地方ごとに取りあげる授業では「北西部」を担当しました。
フランスの北のほう(ノルマンディーやブルターニュ)は
りんごや洋なしの産地であり、また乳製品がおいしい地方です。
地方菓子は焼くだけの素朴なものが多く、作り方もそれほど難しいことはありません。
写真を撮るときも地味になりがちなので、いっしょに並べるものを工夫します。
乳製品のおいしさからエシレバターの話になり、A.O.C. とA.O.P.の違いを解説し、
ノルマンディーの3大チーズや、りんごのお酒のことまで話題が広がりました。
最後にまた地方菓子の授業、フランス校のあるローヌ=アルプ地方を担当しました。
少し前にフランス校から出張で来ていた同僚からのお土産で、
リヨンの銘菓「プラリネ・ルージュ(Praliné rouge)」をもらっていたのが、タイムリーでした。
ローヌはリヨンを流れる川の名前、アルプはアルプス山脈のこと、
つまりこの地方はリヨンのお菓子とアルプスの山のお菓子です。
これも焼きっぱなしのお菓子ばかりで時間があるので、
お菓子の由来から歴史、地図を描いてフランス周辺の国とのかかわり、
冬から春の行事であるカーニバルと復活祭の関係などを板書しながら話しました。
今、学校では来年度に向けての準備が始まっています。次はどんなお菓子が作れるかと楽しみです。
~プロフィール~
辻製菓専門学校 洋菓子担当
堀田朗子(ほったあきこ)
洋菓子を教えて40年!
フランス校に進学する学生に
フランス語の授業もしています。
------------------------------
2024年4月、
2024年4月の製菓学科をご希望の方は、
辻調理師専門学校ページよりご確認ください。
------------------------------