葛粉を使って涼しげなお菓子を
暑くなってきました。これからが夏本番ですね。
夏にぴったり、涼しげな葛粉を使ったお菓子を紹介します。
辻製菓専門学校では「葛饅頭」を実習で学びますが、今回は葛粉を
先ずは葛饅頭です。
水晶の様な透明感のある美しさがあり、中餡には漉し餡または用途に合わせて着色し、
紅餡、白餡、抹茶餡など様々な餡を包み、中餡が透けて涼しげに見えるのが特徴です。
見た目にみずみずしく、食べ口がプルンとした独特な食感と、のどごしの良さがあります。
葛饅頭の作り方を紹介します。
・葛粉を分量の水で溶き、漉しながら鍋に入れる。
・砂糖を加え、全体がなじむように木杓子で混ぜる。火にかけ鍋底からしっかり混ぜながら練る。
・半分くらいかたまりかけたら、火を止め、余熱で素早く練る。
全体が白濁して、もったりとなめらかになるまで練る。
=半返しと言う。
・生地が温かいうちに分割、包餡する。(冷めると、かたくなり分割しづらくなる)
竹べらと木杓子を使ってピンポン玉くらいの大きさにまとめて分割(または、種切りと言う)する。
Point: 生地のかたさが重要です(包餡しやすいかたさを求めます)
・ポリシートの中央に生地を置き、餡玉(手につかなくなるかたさまで炊く)をのせて少し押し込む。
生地を寄せて餡を包み、シートで茶巾に絞る。
・氷水にいれて冷やし固める。
・ポリシートを外し、せいろに入れ透明になるまで蒸す。
また、中餡を白漉し餡にして、生地に入れる砂糖を黒砂糖に置き換えて作りました。
金箔を施して夏の夜をイメージしてみました。
本来、葛生地本来の風味を味わう為に、あっさりと淡白に仕上げますが、黒砂糖風味は相性抜群です。
・「食べ頃」・・・葛粉を使ったお菓子は、基本常温でいただきますが、
食べる直前の30分間冷蔵庫に入れると、更に美味しく食べられます。
それ以上冷やすと、葛が老化して白濁(ボソボソした食感)してしまいかたくなります。
次に葛焼きです。
葛の美味しさが現れる素朴でシンプルな京都特有のお菓子になります。
繊細な甘みと、とろける食感が他にはない美味しさです。
葛焼きの作り方を紹介します。
・葛粉を分量の水で溶き、漉しながら鍋に入れて砂糖と餡を加える。
・泡だて器で全体をなじませ、火にかけて少しとろみをつけたら、流し缶に流し入れ、せいろで50分蒸して一晩おく。
・流し缶から取り出し、四角く切り分ける。表面に上用粉(または片栗粉)をまぶして、余分な粉をはらう。
・温めておいた鉄板(フライパンなど)にのせ、表面をさっと焼く。
・生地に着色して、蜜漬けの豆柚子ジャムを入れたり、風味替わりが楽しめます。
次に葛切りです。
ツルンとした食感とひんやり感がたまらない麺状の食べ物です。
葛切りの作り方を紹介します。
・葛粉を分量の水で溶いて漉して砂糖を加える。
・流し缶に3㎜程度流す。湯せんにやっとこで支えながらお湯に浮かべる。
・表面が乾き白く固まってきたらお湯に沈める。
透明になったら流し缶を引き上げ氷水に浸す。流し缶から取り出す。
・まな板へとり麺状に切る、器に盛り付けて黒蜜(好みで梅シロップなど)をかけて、召し上がれ。
・食べごろはできたてが一番。
生地は老化が進み、みるみるうちに透明感が失われ美味しさが損なわれます。
葛粉とは・・・。
葛の根の部分からとれるでんぷんです。葛は古くから日本に自生し利用されてきました。
採取など手間がかかるため、とても希少で高価なものです。また、葛の根は葛根といい、漢方薬として利用されてきました。
血行を良くし、発汗を促す作用があるとされ、風邪をひいたときによく言う、「葛根湯」が知られます。
葛粉に砂糖を入れお湯で練った葛湯は身体を温めてくれ、栄養も取れると言われます。私も何度かいただいた覚えがあります。
~プロフィール~
辻調理専門学校(1986年卒業 26期生)和菓子担当
金澤 賢吾
長崎県出身 歌をこよなく愛す、和菓子職人をめざします。
------------------------------
2024年4月、
2024年4月の製菓学科をご希望の方は、
辻調理師専門学校ページよりご確認ください。
------------------------------