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辻調の日本料理の先生たちにも、調理師一年生の時代がありました。どんなに教え上手の先生も、一年生の時には分からないことだらけで、失敗もたくさんしたのです。そんな時代を振り返り、「日本料理一年生」のみなさんに、できるだけ分かりやすく、本物の日本料理について解説してみようと思い立ちました。「こんなにおいしいものが自分で作れるのか!」という新しい発見と喜びがきっとあるはずです。
いまどきは、湯を注ぐと「具たくさんの味噌汁」なんてものがあります。便利で、しかもそこそこウマイいけど、ここは一番、チョットばかり手間かけて、香りが命!のほんまもんの「だし汁」を引いて自分流の汁物を作ってみませんか?「手間をかける」なんていうと「そんな面倒なこと……」という不満の声が聞こえてきそうですが、だしの材料を揃えるだけで、意外と簡単にできるんですよ。
さて、だし汁には色々な種類がありますが、日本料理のだし汁といえば「昆布とかつお節」で引いたものが代表です。おいしいだし汁を作ることを、料理用語では「だしを引く」っていいますが、これは強引に煮出したり、力を入れて絞ったりしないで「自然に旨味を引き出す」という意味を含んでいます。
上 利尻昆布 下 真昆布
昆布の大半は北海道周辺の海で収穫されて、日本中に供給されていますが、江戸時代には琉球王朝(現在の沖縄県)を経由して、中国にも大量に輸出されていたこともあったんです。今でも昆布消費の一番は、主産地からは遠く離れた沖縄県ってこと、知っていましたか?料理屋で使うだし昆布は、主に、「真昆布(まこんぶ)」と「利尻昆布(りしりこんぶ)」の名称で呼ばれる二種類です。昆布には、旨味成分であるグルタミン酸がたくさん含まれています。表面に吹き出ている白い粉(マンニット)はその証であることも知っておきましょう。汚れと間違えてきれいに洗い落としてはだめですよ。水で湿らせた布巾で軽く拭き取るだけにします。
本枯れ節
もう一つの材料である「かつお節」の語源は堅い魚、つまり堅魚(かつお)からきたといわれます。みなさんが「かつおのたたき」で食べるかつおをおろしてゆで、燻しながら乾燥させたものを「荒節」(あらぶし)、さらにかび付けをしながら約100日もの時間をかけて作り上げるイノシン酸が満タンのだし材料を「本枯れ節」(ほんがれぶし)といいます。手に持って打ち合わせると「カチン、カチン」と乾いた音のする木切れのようなものですから、初めて見る人にとっては、到底うまみの宝庫とは思えないでしょうね。
荒節
でも、かつお削り器のするどい刃で、透けるほど薄く削った削りたての「花かつお」の発する香りは、「日本料理の味そのもの!」といってもいい過ぎじゃないのです。
このような、昆布とかつお節の無理なく引いただし汁は、二つの材料が持つうまみの相乗効果によって、うまい・香りがよい・甘いとかいう簡単な言葉では表現できない「ふわっと軽く、はんなりとしつつも、底力のある味」なんですよ。日本料理の世界では、すべての料理の土台となるものという意味合いを込めて、だし汁のことを「地」ということもあります。
さて、作り方の解説は、若林先生にお任せします。ポイントをしっかり学んで、おいしい「一番だし」をぜひ味わってみて下さい。
調理師一年目の思い出
焼き上がった「杉板焼き」をオーブンから取り出す時、水でぬれた布巾で持ってしまいました。とうぜん、オーブンプレートは大変熱く、ぬれ布巾は瞬時に「熱湯ぬれ布巾」に変身しました。アッチッチー!と思った瞬間、できあがった料理はすべて床に転がっていました。今では遠い記憶です……。
日本料理教授K.Y.
このコラムのレシピ
コラム担当
かきたま汁
かつお節を削る
一番だし
タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
小谷 良孝
辻調の御言持(みことも)ち
重松 麻希
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