このコラムのテーマを何にするか考えながら辻調理師専門学校に出勤する日々を送っていると、ふと学校の裏手に植えられているオリーブの木が私の目に飛び込んできました。
よし、これだ!!オリーブを使った料理を紹介してみよう。(こんな決め方でいいのかなぁ、日本人にはオリーブが苦手の人も多いのでは…?)。 私も数年前までは苦手な方でした。
しかしながら、仕事の関係で欧州にいる間にいろいろな種類のオリーブを口にするうちに、今では抵抗なく食することができるようになりました。何といっても欧州では欠かせない食材の一つ(とはいっても大半はオリーブ油の原料になるのですが)。日本では、小豆島で栽培に成功したのがきっかけで、現在では香川県の県木にもなっています。オリーブは植物学的にはモクセイ科の常緑高木で、この実を塩漬けして食用とします。熟す前に収穫した黄緑色のグリーンオリーブと、熟して黒紫色になったブラックオリーブの2種類あることはご存知でしたか。 |
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ところで、フランスのオリーブ生産は南部のプロヴァンス地方が圧倒的に多く、生産量ではスペイン、イタリア、ギリシャにはおよびませんが、良質のオリーブがとれます。そのプロヴァンス地方の料理によく登場する、オリーブを使った、簡単で、ソースや薬味としていろいろ重宝するものをご紹介したいと思います。その名は、タプナードtapenade。プロヴァンス語のtapeno(ケーパーの意味)が語源とされています。このことからもわかるようにタプナードの材料はケーパーとオリーブがベースで、フィレ・アンチョビー、オリーブ油、にんにく、レモン汁、香草などを加えます。オリーブはちょっと苦手と思われる方にもお勧めです。近頃では、フランスからの輸入食材を多く取りそろえているお店で、瓶詰めなどの既製品を手に入れることもできます。 |
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このタプナードをトーストしたパンにのせて母に食べてもらったところ、「なんだか、味噌のような味がする」と言いました。意表をつかれる表現でしたが、まさに味噌を持たない国においてそれと似たような使い方ができるものという点では、あたらずとも遠からずのような気がしました。
タプナードの使用方法は多岐に渡ります。ディップとしてパンにのせて食べるもよし、生野菜につけて食べるもよし、肉や魚料理のソースとして使うもよし・・・。今回は、パイ生地を使った料理にソースとして添えたものをご紹介します。この料理は、フランスのリヨン近郊シャスレーにあるレストランのオーナーシェフ、ギー・ラソゼさんより教えていただきました。抜群のおいしさでしたので、ぜひ皆さんにも味わっていただきたいと思います。パイ生地は市販品でもかまいませんが、作り方も参照できるようにしてありますので興味のある方はご自分で作ってみてください。その他の材料は手に入りやすいものばかり。お試しあれ!それではレッツ・クッキング!! |
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