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連載コラム 半歩プロの西洋料理
「半歩プロ」をテーマに家庭でできる西洋料理を紹介するこのコラム。まずは個性豊かな担当シェフの声をどうぞ。「フレンチって難しくないよね」「語るで〜!」「対談がしたい!」「研修先のレストランではなー」。えー、お話し中すみません、それは「家庭でできる」料理なんですよね?みなさーん、聞いてますかー?だからテーマがあるんだってばっ!守って下さいよ〜っ!
じゃがいもの魅力
じゃがいもは、見かけは土まみれのデコボコ、皮をむいても何の良い香りもなく、愛想のない野菜。しかし、いったん料理をするとどんな食材とも相性が良く、縁の下の力持ち的な役割を発揮します。もちろん単独でもおいしい優れものです。煮てよし、揚げてよし、ロースト、ソテー、ポタージュ、グラタン、ゆでてサラダ・・・などと、食材の万能選手といえるでしょう。品種は大きく男爵系とメークイン系に分けられます。男爵系は肉質が粉質でほくほくしており、コロッケや粉ふきいも、ポテトサラダ向き。メークインは肉質がちみつで、煮くずれしにくいため、シチューや煮込み料理に適しています。

パルマンティエ原産地は南米のアンデス高地。16世紀はじめにスペイン人によってヨーロッパに伝わり、日本には1600年前後に、オランダ船によってジャガタラ(現在のジャカルタ)から長崎に持ち込まれたといわれています。ジャガタラから来た芋ということで、最初ジャガタラ芋と呼ばれ、のちにじゃがいもになったようです。
ちなみにフランスでは1780年代に栽培が広まりました。それには農学者アントワーヌ・パルマンティエ(1737〜1813)と国王ルイ16世(1754〜1793)が貢献していると言い伝えられています。当時フランスは深刻な飢饉におそわれており、救荒作物としてドイツではじゃがいもが威力を発揮していたことを知っていたパルマンティエが、国王にじゃがいも栽培を進言したことによってフランスでの栽培が普及しました。じゃがいもは主成分がでんぷんなので主食となり、またビタミンCやカリウムが豊富で野菜としても栄養学的にすぐれた食材です。フランス語では大地のりんごと呼んでいます。

左:BF、 中:ロズヴァル(皮がピンク色)、右:ヴィトロット(中まで紫色)

ドネルケバブ私がじゃがいもの素晴らしさに気づいたのは、料理を始めて5〜6年ぐらい経ったころでした。それまでは単につけ合わせの一つとしか思っていませんでしたが、フランス校勤務時代にパリのあるケバブ屋で、ドネルケバブ(薄切りにした羊肉を心棒に巻きつけて円筒形の塊にし、回転させながら直火で焼く中近東の料理)のサンドイッチを食べた時、おいしさと同時にじゃがいもの存在感と重要性を感じました。
ケバブのサンドイッチ具体的に説明しますと、このサンドイッチは香辛料の効いた羊肉と生野菜だけでもおいしいところに、フライドポテトも一緒に入っていたのです。これが、本当に、羊肉と生野菜のつなぎ役になっていて、じゃがいものでんぷん質が何ともいい役割を果たしていたわけです。
料理を作る人であれば皆さん感じ取っている事だと思いますが、主材料と野菜(つけ合わせ)、主材料とソース等の組み合わせの中に、なにかでんぷん質の素材が入っているだけで、全体の味わいがいっそう引き立てられて料理がおいしくなるものです。たとえばわかりやすい例をあげると、肉じゃががそうです。肉が主役でもなく、じゃがいもが主役でもない。お互いの相乗効果によっておいしさが一層増しています。そして、ここでご紹介する「若鶏のパン屋風」というフランスの伝統的な料理も、いうなればフランスにおける肉じゃがのようなものです。鶏肉と一緒に料理することによってじゃがいもに鶏肉の旨みがしみこんで味がのり、同時に鶏肉やその皮の味や食感とじゃがいものほっこり感がマッチする・・・。

このように世界各国には、じゃがいもに限らずいも類はもちろんの事、豆類のでんぷんなども巧みに使って、料理をおいしく食べる知恵のようなものが、長年の経験によって自然に身についているような気がします。
さて、じゃがいもは食材として値のはるものでもなく、手に入りにくいものでもないので、ぜひみなさん一度この料理をお試しください。心温まる一品になる事と信じています。


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 若鶏のパン屋風

T-chant
人物 杉本 匡
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