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連載コラム 半歩プロの西洋料理
「半歩プロ」をテーマに家庭でできる西洋料理を紹介するこのコラム。まずは個性豊かな担当シェフの声をどうぞ。「フレンチって難しくないよね」「語るで〜!」「対談がしたい!」「研修先のレストランではなー」。えー、お話し中すみません、それは「家庭でできる」料理なんですよね?みなさーん、聞いてますかー?だからテーマがあるんだってばっ!守って下さいよ〜っ!
学生時代の思い出の料理
   今回紹介する料理は、私が辻調理技術研究所(以下「技研」)のイタリア料理研究課程在学中に、卒業制作の1つ「メニュー・スペシャル」で作った前菜盛り合わせの中の1品です。

辻調理技術研究所

辻調理技術研究所

   技研というのは、辻調グループ校の1年次を卒業後さらにもっと勉強したいと思う人たちが進む上級校です。1年次との大きな違いは、レストラン・シミュレーション授業といって、レストランと同じ設備で学生が調理とサーヴィス、お客の3つの班に分かれ、それぞれの立場でより現場に近い実践授業をすることです。1人1人の作業量が多いので実力もつきますし、学生同士が味を評価するのでいい意味でライバル心もつき、刺激的な学校です。またハンズオン実習といって、先生が作る料理を目の前で見てすぐに同じ料理を再現する授業、学生用の大量の昼食を作るまかない担当など、実にたくさんのことが学べました。


   1年次のある時、雑誌を見ているとタコのゼリー寄せのような写真が目に入ってきました。どのように作っているのか興味を覚えて作り方のページを見ると、ゼラチンなどをまったく入れずにタコとそのゆで汁だけで固めている料理だったのです。肉類はゼラチン質などで固まることは知っていましたが、タコも固まるのか!!!とビックリして、何かの機会にぜひ作りたいと思い、そのレシピを保管していました。

   当時からよく本屋に行ったりして、専門的な雑誌から少し家庭向けの料理雑誌など幅広く見ていて、特にフランスとイタリアの地方料理に興味があったので、内容によっては買ったりしていました。そして、気づいてみれば、家の荷物の1/3くらいが本になっていました・・・・・。

技研のメニュー・スペシャルで作ったタコの料理(手前)

技研のメニュー・スペシャルで作った
タコの料理(手前)

   その後、技研に進み、班単位で料理を考える機会が来て、以前に見たこの料理を思い出し、試してみてうまく固まれば前菜の1つとして使おうと考えました。生からゆがいてみたり、ボイルタコからゆがいてみたりといろいろ試作をしていると、どちらでも固まることがわかったので、技研の時は生からゆがく方法で作りました。今回は、ぜひご家庭で作っていただきたいと思い、手に入りやすいボイルタコでの作り方を紹介しています。

   ちなみに技研の時は、ソースをセミドライトマト入りのヴィネグレットにして提供しました。今回は暑い時期でもさわやかに味わえるように、酸味のあるケイパー、コルニッションをヴィネグレットの中に入れるソースにしています。その他には、イタリアンパセリとバジル、にんにく、オリーブ油などを混ぜたグリーンソースなども合うと思いますし、固める時に、レモンやオレンジの皮を細かく刻んで入れても合うと思います。

   暑い季節に旬のタコとさわやかな酸味をぜひお楽しみください。


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ タコのゼリー寄せ

週末は家でワインとチーズ
人物 西口 拓志
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