冬支度 【辻日本料理マスターカレッジ】
概論の授業についてレポートします。
今回のテーマは「黒豆と柚子」です。
おせち料理にも使われる「黒豆」ですが、「まめに働けるように」という縁起をかついで用います。
煮方は「しわ」をよせるかどうかで大きく変わりますが、
今回は関西の料亭で作られる「しわ」を寄せずに炊く方法を紹介しました。
豆を選び、還元鉄を加えて戻し、静かに静かに炊いていきます・・・
完全にやわらかくしてから甘味を入れていきますが、下煮だけで4日かかることもあります。
ちょっとした傷のものまではじくと、きちんと仕上がる豆は全体の10分の1位以下です。
とても手間のかかる仕事なのですね。
続いて「編笠柚子」です。
形状が昔日本で使われていた「編笠」のような形が名前の由来といわれています。
柚子の皮の黄色いところだけをすりおろし、真っ白になった柚子の果肉を取り出します。
最後的にとても柔らかくなるので、ミョウバン水につけて、煮崩れにくくします。
くちなしと一緒にゆで、しっかり色がついたら冷めるまで置き、一度水にさらしてくちなしの匂いを抜きます。
そして改めて熱々のシロップに、砂糖をはさんだ柚子を鍋にならべて・・・
シロップがほとんどなくなるまで煮詰めます。
こちらも冬のおせちに入れたり、焼き魚に添えてもとてもきれいです。
右手前のカップには、イチョウと蝶の2種類の型抜きを紹介しました。
12月の日本料理のお店のほとんどが、忘年会やおせちで忙しくなります。
そのため、できることは早めに済ませ、瓶詰や真空冷凍にかけてとっておきます。
旬の材料を美味しいうちに加工し、冬の間中使っていきます。
今回は日本料理の冬支度ともいえる2品をご紹介しました。