Les Larmes du Levantレ・ラルム・デュ・ルヴァン 昇涙酒造訪問
Bonjour, フランス校教務部です。
フランス校のあるオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏には、北ローヌ、オーヴェルニュ、サヴォワといったワインの産地が多く含まれているのですが、中でも北ローヌは、コート・ロティ、コンドリュー、エルミタージュといった、世界的に有名な銘醸地があることで知られています。
その銘醸地の一つであるコンドリューから車で約20分、距離にして10キロ程のPélussinペリュサンという町に、何と、ワインではなく日本酒を造っている酒蔵があります。
酒蔵は、普段は一般開放していないのですが、先日、蔵開き(一般開放日)が行われるというので、訪問してきました。
蔵開きの様子。作り手の説明を聞きながら試飲できる。
フランスに日本酒を輸入するインポーターも、スタッフとして参加していた。
酒蔵を回りながら、醸造の工程を詳しく説明してくれる。
酒蔵の名は、Les Larmes du Levantレ・ラルム・デュ・ルヴァン。
日本名は、昇涙(しょうるい)酒造といいます。
Larmeは「涙」、Levantは「酵母」ですから、直訳すると「酵母の涙」という意味になりますが、そこに、日出ずる国、日本のイメージを持つ「昇」という文字を組み合わせたそうです。
素敵な名前ですよね。
なんと酒蔵の前にはミニ田圃が!
蔵元のゴレゴワール・ブッフ氏は、2013年に日本を旅行した際に日本酒の虜になり、フランスで日本酒を造ることを決意。
2015年に約半年間、鳥取県の梅津酒造で、酒造の工程やマネジメントを学んだ後、故郷のペリュサンに昇涙酒造を設立しました。
ペリュサンは、標高1431メートルのピラ山を望む、ピラ自然公園に含まれる自然豊かな町なのですが、硬水の多いフランスにあって、ピラ自然公園は、酒造に適した中硬水~軟水の湧水を豊富に有するそうです。
そのような場所に故郷を持つなんて、ブッフ氏が日本酒と出会うことは、半ば運命だったのかもしれません。
蔵元のブッフ氏。とてもお茶目。日本語も話せます。
ブッフ氏とタッグを組んで、酒を造っているのは、福井県の南部酒造場などで経験を積んだ、杜氏の田中光平氏。
元来、旅好きで、世界中をバッグパックを背負って旅した際に、各地で飲んだお酒がきっかけで酒造りを志すようになったという田中氏にとって、フランスで日本酒を造るというプロジェクトは、非常に魅力的だったとのことです。
杜氏の田中氏。看板は、ブッフ氏が修行した梅津酒造近くの酒屋さんが、わざわざフランスまで持ってきてくれたとのこと。
昇涙酒造のお酒のラインナップ。やや甘みを感じるしっかりとした造りで、食中酒として燗酒で本領を発揮する。
フランスには、アニメや漫画、ゲームといったポップカルチャーを通して日本に興味を持つようになった親日家が非常に多いこともあり、フランスは、日本政府が推進するクールジャパン政策の、ヨーロッパにおける最重要市場の一つとなっていて、日本酒のプロモーションも盛んに行われています。
また、近年、益々顕著になっている健康志向に伴い、フランスにおける日本の食に対する関心は確実に高まってきており、ミシュランガイドの星を持つ高級店などでも、日本酒を提供するところが増えてきました。
とは言え、一部の美食家を除き、日本酒は、ほとんどのフランス人にとって未知のものであることに変わりません。
最終的には、日本酒がフランス人家庭の食卓に根付くことを目指すというブッフ氏。
そこまでに、乗り越えなければならない壁は沢山あるでしょうが、ぜひ頑張ってほしいものです。
Les Larmes du Levant 昇涙酒造
住所:4 Rue du Regrillon, 42410 Pélussin
Tel :06 58 80 22 60
https://www.larmesdulevant.com/