La Maison du Comtéラ・メゾン・デュ・コンテ(コンテチーズ博物館)
Bonjour, フランス校教務部です。
前回のフランス校日記では、ワインの原料となるブドウの収穫についてお伝えしましたが、そのワインと並んで、フランスを代表する食品と言えばチーズです。
コンテチーズ博物館の外観。事前予約制で、ガイド付きツアーに参加できる。日本語のパンフレットも常備してある。
フランス第13代大統領、ド・ゴールの
「258種類のチーズがある国をどうすれば統治できるというのかね。」
という有名な言葉や、第二次世界大戦中、ドイツの支配下にあったフランスについて、当時、イギリスの首相であったチャーチルが
「400種類ものチーズを創造した民族が滅びることはあるまい。」
と語ったという逸話が示すように、世界に冠たるチーズ大国であるフランスには、現在、300から400種類のチーズがあると言われています。
そして、その数あるチーズの中でも、クセの無い濃厚な旨味によって、フランスで最も愛されているものの一つが、日本でも人気の高いコンテチーズです。
コンテチーズ博物館のガイドツアーの様子。コンテチーズの生産地や製造方等、動画を使用しての説明もあり、とても分かり易い。
コンテチーズは、スイスと国境を接する、フランス東部のジュラ山脈一帯で生産されていますが、先日、そのジュラ地方のPolignyポリニーという町にある、La Maison du Comtéラ・メゾン・デュ・コンテ(コンテチーズ博物館)を訪れてきました。
チーズ製造を学ぶ国立の学校や、コンテチーズ製造組合のチーズ熟成庫が複数あることから、ポリニーは、「コンテチーズの首都」と呼ばれているそうです。
冬季に牛の餌となる干し草の説明。触ったり匂いを嗅いだりできる。
コンテチーズ1個の重さは何と40キロ!原料となる牛の乳はその10倍の400キロ必要で、牛20頭が1日に出す乳の量に相当する。
さて、コンチーズは、1996年にAOP(原産地名称保護)に認定されていますが、2019年の生産量は67991トンで、フランスでAOPに認定されているチーズの中では、最大の生産量を誇ります。
また、フランス国内だけではなく、海外に輸出されていますが、中でも重要な市場としてベルギー、ドイツ、イギリス、アメリカ、日本の5か国が挙げられるそうです。
このデータからも、やはり、コンテチーズが日本でも人気があることが分かります。
ツアーの最後はお待ちかねの試食。コンテチーズは83種類ものフレーバーに分類可能とのこと。
コンテチーズの原料は、モンベリアード種(95%)とフレンチ・シンメタール種(5%)という牛の乳なのですが、何と牛1頭当り1ヘクタールの放牧地を確保することが、AOPによって義務付けられているというから驚きです。
広大な放牧地を有するフランスならではというところでしょうか。
また、夏季は牛が放牧地に生える様々な草花を食べるのに対し、冬季は干し草を餌にすることから、同じコンテチーズでも、熟成期間の長さはもちろんですが、作られる季節によって、色や風味が大きく異なるということは、あまり知られていないのではないでしょうか。
奥が4ヵ月熟成の冬に作られたもの。フレッシュで食べやすい。手前が12ヵ月熟成の夏に作られたもの。
より複雑で濃厚な味わい。
コンテチーズ博物館では、このような専門的な知識の他にも、美味しいチーズの選び方や、様々な食材やドリンク類との組合せといった、日常生活でも役に立つ情報を沢山得ることができます。
もしジュラ地方を訪れる機会があるようでしたら、是非一度足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
La Masion du Comté
住所:Avenue de la Résistance, 39800 Poligny
Tel :03 84 37 78 40
http://www.maison-du-comte.com/