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辻調グループ フランス校

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【5カ月間の研修で学べることを全て学ぶ!】藤澤 蘭さん:研修先 Maison Lameloise (メゾン・ラムロワーズ)

研修生レポート

2024.11.25

【ブルゴーニュ地方にあるミシュランガイド三ツ星のレストラン】
 研修先はブルゴーニュ地方のシャニーにあるホテルレストランで、ミシュランガイドで三ツ星を獲得しています。シャニーはディジョンから40分程度電車に乗って行くことができる田舎の町です。シャニーの駅からは徒歩10分でレストランに着きます。伝統的なフランス料理をベースにブルゴーニュの郷土料理を提供しています。
 レストランにはエントランスからテーブルまでに飾られた絵画やオブジェ、写真や書籍などがあり、ラムロワーズの長い歴史を感じ取る事ができます。フランスの伝統的なコロンバージュで建築されたオーベルジュは、白を基調にした内壁に木を露出させる事で、よりくつろぎのある空間をつくっており、レストランに訪れる方々に安らぎを与えるような内装です。

レストラン外観。調理研修生と、日本のホテルから研修に来ている方と一緒に。

レストラン内のサロン

ラムロワーズの歴史がわかる資料が飾られています。


【仕事を覚えればどんどん任せてもらえます】
 主な仕事は、アシェットデセールのドレッセ、仕込み、ミニャルディーズの仕込み、アシェットの拭きあげ(洗い物、掃除)で、パティシエ5人で回しています。
 シェフが前日に仕込むものを書き出していて、5人、お客さんの状況によっては4人、3人で仕込んでいるので、特定の仕事があるわけではないので一度教えてもらったものをしっかり復習して覚えればどんどん仕込むものを任せてもらえます。月に一回程度アシェットデセール、ミニャルディーズが変わるので新しいデセールの試作の仕込みを手伝う機会もあります。
 先日、記念日のデセールプレートのパイピングを任せてもらいました!(記念日の日は基本ガトーを出すのですが、その夫婦はメッセージプレートがいいと言うご希望で、たまたまその日はシェフがお休みの日でさらにパイピングが上手く描ける人員がいなく、私が試しで書いたところニッケル(完璧)!と言って、任せてもらいました。その夫婦はとてもよく書けていると大絶賛だったそうです。)これが研修に来て1番嬉しかった出来事です。
 シェフパティシエのシャルロットはとても明るい人です。でも仕事がテキパキしていてオンとオフがきっちりしている人です。周りからはとても可愛がられていて、誰にでも距離が近くめちゃくちゃフレンドリーな人です。あと、とても心が広い、メンタルも強い、周りをよく見ていてとても尊敬できる人です。私が失敗した時などは遠回しにきついことを言われたりしますが、そのあと取り返そうと頑張っていたら明るく振る舞ってくれるし、やる気さえ見せていれば仕事をたくさん任せてもらえます。


携わったデザートの一部

【はっきりしている同僚の皆さんと仲良くやっています】
 ラムロワーズの人たちは仕事が多く常に忙しくしていますが、ちょっとした一瞬でふざけてみたり、冗談を言ったりしてとても楽しそうに仕事をしています。さらに日本が好きな人も多く、アニメの名台詞などを言い捨てて通り過ぎていく人もいます。笑
 更にいい意味ではっきりしているので、不満があれば本人に直接指摘します。私も最初はびっくりして傷つくこともありましたが、本人に直接言われることで反省して直そうと思うし、私も不満があれば言い返すので、慣れれば日本にはない働きやすさがあります。
 ビール好きな人が多く、週の半ばでもバーに誘われたり、飲みながら愚痴大会がはじまります。寮には日本のホテルレストランでシェフをしているスタージュ生の方とフランス人がいて、週末は一緒に飲みました。この間はパティシエの日本が大好きで優しいジュリアンに運転してもらい、キュイジニエの研修生と3人で車でしか行けないシャトーヌフという街にドライブに行きました。

厨房の皆さんと一緒に

【ワインで有名なブルゴーニュ地方での生活】
 シャニーはとても小さい田舎町でレストランの前の広場以外はほとんど住宅です。ですが徒歩3分でスーパーがあったり、駅まで10分で着くので日常生活に不便はないです。
 更ににブルゴーニュワインの中でも高級なコートドールという地域に隣接しているので1時間ほど歩けば葡萄畑が広がるワイン好きにはたまらない町です。隣駅のムルソーは高級白ワインで有名なので歩いているだけでたくさんのカーブがありとても楽しいです。
 休みの日はパティスリー、ワイン、レストラン巡りをしています。せっかくこれだけワインで有名な地区に住んでいるのでカーブ巡りや、同じ寮の日本人グループでボーヌのレストランに行ったり、ラムロワーズの社員(希望制)でボウリング大会に行ったり、キュイジニエの研修生とメゾンピックにも行きました。ブザンソンに行ってパティスリーも巡りました。 さらにパリまで安い場合は19ユーロで行けるのでパリでパティスリー巡りやサロンドゥショコラ、ずっと行きたかったレストラン・ランブロワジーやヴェルサイユ宮殿にも行きました。寮は最大5人入れる寮でシャワー、トイレ、洗濯機、キッチンは共同です。
 私はキュイジニエの研修生と同部屋で仕事終わりに今日めっちゃ忙しかったねーとか気楽に話しています。週末は寮のみんなで飲むことが多く、ラムロワーズのそれぞれのポジションであった面白いことや、将来のこと、日本のことなどをワイワイ楽しく話しています。

ボーヌのレストランにて

最近少し雪が降り積もりました!

パリのサロン・デュ・ショコラに行ってきました

【ラムロワーズのデザートは全てゼロからの仕込み!】
 初めてレストランのパティシエで働くということもあり、組織やレストランデセールの仕組み、伝統的なデセールの組み合わせや、三ツ星の繊細なドレッセと三ツ星であるという心構えはもちろん、フランス人ならではの仕事を楽しむという精神、そして本音で向かういい意味での遠慮のなさがフレンドリーで、上下関係がないからこそのふざけ合える関係など仕事を楽しむパティシエの精神を学びました。感動したことはラムロワーズではフルーツピューレなどは買わずに全て生のフルーツを使って自家製ピューレを作って仕込んでいることです。フィグ(イチジク)などもドレッセようにくり抜いた外側などを集めてピューレにしたり、無駄がなく食材を大切にしていると感じました。記念日のガトーなども日本のホテルでは既製品の冷凍されたものを入荷してドレッセをして提供することがありますが、ラムロワーズではすべてゼロから仕込み、冷凍保存しています。そういうすべて自家製という食材や味のこだわりにはとても感動しました

【悩みも多い研修生活ですが、最大限の努力をします!】
 フランス校にいる時は研修生でもたくさん仕事を覚えて信頼を得て、三ツ星レストランの戦力になりたい、そしていろんな知識、感性を得て将来に活かしたい、フランス人と仲良くなって、楽しく仕事したいと思っていました。でも実際は働いてみるとそんなに甘いものじゃない、みんな自分のことに必死で、日本人の研修生だからとずっとゆっくり話して丁寧にゼロから説明してくれるわけでもない、私がパティシエとして働くのも初めてでやらかしてばかりでやる気を見せても空回り、言葉もわからない、伝えたくてもどう言ったら伝わるか、自分の語彙力が足りない、と初めはかなり大変な状況にいました。
 それでも認められたくて空回りにならないように丁寧に作業することに意識を向けるとそのうち丁寧に早く仕事ができるようになりました。そして日本人ならではの真面目な仕事ぶりなども認められるようになりました。今でもフランス語で会話をするのは難しく、話がわかっても語彙力がなくて話せない状況で日本語だったらもっと楽しいのかな、もっと吸収できるのかな、なぜフランスでわざわざ研修しているんだろう、と考え込んで落ち込んでいた時期があります。将来の目標も本当に合ってるのかわからなくなったり、就職活動も迫ってきてどうすればいいかもわからず、とにかくそれでも明日は仕事がある、明日も明るくいかなきゃ行けない、たった5ヶ月しかない三ツ星での経験で何か吸収しなきゃ行けない、だからどうすれば吸収できるか、もっと新しい仕事を教えてもらいたい、どうすれば信頼を得られるの?と常に考え今でも迷っている状態です。
 でもそんな時に友達や両親に相談して将来の目標を見つけて、今できる最大限の努力をして吸収する!結局はこの考えに行きつきました。だからこそ、今まで曖昧な理解度だったワインの勉強にも取り組んでカーブを巡ってみたり、積極的にフランス人と話さなくても伝わるふざけ合いをしたり、その上で作業を真面目に取り組んで掃除一つでも誰よりも丁寧に、綺麗に、早くという意識をつけてやっています。それが少し認められつつあるのか、最近ではアシェットデセールのドレッセを積極的に任されたり、仕込む量も少し多くなってきました。
 はじめは5ヶ月どうなるかわからなかったけど、つらいことがあってもお菓子が大好き、やりたいというやる気を見せる強さ、そしてそれを貫くパティシエとしての心構えを知りました。まだまだこれから怒られたり、落ち込んだりばかりだと思いますが、先輩パティシエたちはみんなそういう経験をしてきたからこそ強く、やる気があるからこそ美味しいお菓子が作れるのだと思います。今はシェフパティシエのような強くて明るい人間になりたいと思える研修です。

職場の皆さんと飲み会!

【将来の目標】
 残りのスタージュで三ツ星フランス人シェフのお菓子に対する熱意をもっと吸収し、これからのパティシエ人生のモチベーションに繋げていきたいです。そして将来はもっとフランス語で話せるようになってもう一度フランスに戻ってレストランで働きたいです。
 そして将来はアシェットデセールで感動させられる自分の店を持ちたいです。更にフランスの遠慮のない働き方を少しでも日本に取り入れられるとアットホームで働きやすい環境になると思います。

調理の同級生(研修生)が食べ歩きに来てくれました。

藤澤 蘭(Fujisawa Ran)

出身校 尼崎市立尼崎双星高等学校
辻調グループ出身校 辻製菓専門学校 課程製菓衛生師本科 製菓クラス
研修先 Maison Lameloise(メゾン・ラムロワーズ)
Maison Lameloise | Restaurant *** Hôtel | Chagny en Bourgogne