FRANCE

辻調グループ フランス校

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大鶴 彩香さん 研修先:Pâtisserie BENETOT(パティスリー・ベネト)

研修生レポート

2020.12.21

※新型コロナウィルスの感染拡大に伴うフランス校休校につき、卒業生の協力を得て過去の体験レポートをアップ・更新しています。

大鶴 彩香 OTSURU Sayaka
2019年春コース レクレール校 製菓研究課程
出身校 宮城・宮城野高等学校
辻調グループ出身校 エコール 辻 東京 辻製菓マスターカレッジ
研修先 Pâtisserie BENETOT(パティスリー・ベネト)

私の研修先はフランシュ=コンテFranche-comté地方のドールDoleという運河の町にあります。パティシエは私を含めて10人で、お菓子部門Pâtisserie、チョコレート部門Chocolaterie、製パン部門Boulangerieに分かれて毎日たくさんのお菓子を作っています。
お店にはオーナーシェフとラボの責任者のシェフがいて、シェフは誰よりも仕事が早くて綺麗な上、雑用や掃除も率先してやっている本当に尊敬できる人です。彼と仕事をすることが多いので、毎日一番近くで彼の作業を見られるのがとても勉強になっています。明るくて面白い彼の人柄も含め、私の憧れのシェフです。
仕事仲間たちはみんなとっても面白くて優しい、素敵な人たちばかりです。私にあだ名をつけてくれて、毎日たくさん話しかけてくれます。彼らのおかげで研修に来て若者言葉や変な言葉をたくさん覚えてしまいました!
クリスマスの時期はすごく忙しいですが、みんなでサンタの帽子をかぶって作業したり、とにかく陽気で元気な職場です。

私の一日はお店に出すケーキを全て仕上げることから始まります。研修ではじめに教えてもらった仕事がこれでした。とにかく学校とちがってお店は作る量が本当に多いです。50キロのムースを手で混ぜたり、30キロのキャラメルを作ったり、10キロのシュー生地を乾燥させたり、毎日腕がたくましくなる一方です(笑)。
作る量が多いので、綺麗に作るだけじゃなくて「素速くきれいに」作らなければなりません。きれいに作ることばかり考えていた最初の頃は、周りのスピードに追いつくのに必死でした。
ウェディングケーキに飾るマジパン細工も任せてもらえたのですが、それも短い時間でお客様に喜んでもらえるものを作らなければなりません。だんだんとやらせてもらえることが増えるにつれ、毎日クタクタですが、本当にやり甲斐を感じています。

私は一人暮らしのアパートに住んでいます。私一人には十分なくらい広く綺麗なおうちで、ごはんを作ったりお菓子の本を読んだりして過ごしています。
土曜の仕事終わりに、マルシェに行って新鮮な野菜やフロマージュ・ブラン、コンテチーズを買いに行くのが週末の楽しみです。街の人たちともだんだん仲良くなって値下げをしてくれたり、おすすめを教えてくれたりします!みんなあたたかくて本当に良い町です。
同僚たちとも、仕事のあとに一緒にバーに行ったり、シェフのおうちで皆でラクレットチーズを食べた夜は最高でした。彼らのおかげで毎日がとても楽しいです。

休みの日は、パリでパティスリー巡りをしたり、大好きなアルザス地方の各地を訪れ写真を撮ったりしていました。
パリのお菓子はとってもレベルが高くて毎回たくさんの刺激をもらえます!パリの美術館やアルザスの可愛らしい町並みなど、心動かされるものがフランスにはたくさんあります。
古い町並みのなかに突然だまし絵の壁があったりするドール(写真上)もいいですが、その中でも私がいちばん好きな村がアルザスのリクヴィルRiquewihrという村です(写真下)。ワインの産地にあるおとぎの国のような~カラフルな街並みの村で、うっとりするほど魅力的です。

研修に行く前、研修はフランス人の中に日本人一人で、過酷で辛い思いをたくさんするものだと覚悟して臨みました。たしかに研修当初は"Qu'est-ce que je vais faire ensuite ?(次は何をすればいいですか?)"と聞いても"Je ne sais pas.(知らない)"と言われ、シェフ以外の同僚や先輩からは仕事を振ってもらえないことも多かったです。でも、私はシェフたちの仕事をよく見て覚えて、毎日自分から"Je peux faire ça?(これをやってもいいですか?)"と聞いて仕事をもらうように努力していました。
ひたすら拭き掃除をする日もありましたが、毎日積極的に仕事を求めていたら、ムースやグラサージュ(トッピング)の作成、またお菓子の組み上げなどを一人で任せてもらえるようになり、最終的には基本何でも一人でやらせてもらえるようになりました。
自分から打ち解けていけば、お店のみんなはとても気さくで優しくて、毎日変なことをたくさん言って笑わせてくれる人たちばかりだということに気づきます。先生が「いじられキャラになった者勝ち」と言っていたのは本当でした(笑)。
写真はキャラ違いですが、クリスマスのチラシのデザインです。従業員の仲良し具体が伝わるでしょうか!?

私はフランス菓子の本場で、フランス人たちのなかで、お菓子作りを学ぶことができ、休みの日には各地に出向いてたくさんの綺麗なもの、フランスの文化を見てきました。20歳という歳でこの経験ができたこと、本当に感謝してもしきれません。
日本のように安全ではなくて、電車もバスも時間通りに来ないフランスですが、その一方で、フランスの良さもたくさん目にしました。今後は一人のパティシエとして、そのフランスの素晴らしさをお菓子を通して伝えていきたいです。

ラボのシェフのとツーショット