FRANCE

辻調グループ フランス校

ブログ

【パリで流行中!】大衆食堂Bouillon(ブイヨン)特集

フランス校 食べ歩き日記

2025.01.30

パリで外食!
フランス料理は食べたいけれどレストランは値段も敷居も高そう・・・。もう少しお手頃でカジュアルに楽しめるレストランに行きたい、と思っている方が多いかもしれません。そんな要望にお応えし、今回はパリで流行中の『Bouillon』(ブイヨン)を紹介します。『ブイヨン』と聞くと、パッと思いつくのはチキンブイヨンのようなスープ。フランス語でもスープのベースとして用いられる、肉や野菜をたっぷり使った出し汁のことを指しますがもうひとつあり、ブイヨンには『大衆食堂』という意味があります。

『ブイヨン』という言葉が労働者が食事をするための『大衆食堂』という意味合いで使われ始めたのは1855年。パリ中心部にあるレ・アールという食品市場の近くで、ピエール=ルイ・デュバル氏が肉屋を営んでいました。骨付き肉の余りを使った出し汁のスープと、肉料理だけを手軽な価格で提供する食堂に『ブイヨン』という店名をつけたところ大当たり。同様の店がどんどん増え、1900年頃にはパリに約250軒のブイヨンがあったそうです。それから時代は進み、大型の大衆食堂はだんだんと廃れていき、モンマルトル通りに1896年からある『ブイヨン・シャルティエ』という店だけが食堂として残りました。一時期は高級志向のレストランが人気だったからですね。更に進んで2017年頃からはカジュアル志向が人気になり『ブイヨン』という食堂がパリ9区のピガールを筆頭に徐々に復活するようになり、ここ数年の間にはパリ市内で10軒になりました。

連日、地元のパリジャンやパリジェンヌ、もちろん観光客に人気のあるお店の中から3軒紹介します。ひとつ目はパリのブイヨンといえばココ、9区にある『Bouillon Chartier』(ブイヨン・シャルティエ)です。



数あるブイヨンの中でも一番人気があり、常に賑わっていて一番活気のあるブイヨンです。予約を取らないシステムのためピーク時にはお店の前の通りが行列になるというほどの人気店なので、並ぶのを覚悟して訪れたほうがいいかもしれません。店内は古き良き時代を感じさせるレトロな感じで、天井からつり下がったランプもクラシック、壁には鏡が沢山使われているお陰でより広く見えます。

テーブルとテーブルの間隔が狭く混雑時は相席が基本ですが、これも楽しみのひとつかもしれません。そしてシャルティエの名物ですが、お店の中を動き回るギャルソンさん達です。注文を取る時にオーダーを紙のテーブルクロスに書き込んでくれます。追加注文をすると、その度にテーブルクロスに書き足していき、お会計の時にはそれを見ながら計算するんです。テキパキとした仕事っぷりには感心してしまうほどです。

テーブルクロスに取ったオーダー。面白いですね!

料理は本当にお安い!
『Filet de Hareng pommes à l'huile』 ニシンのマリネとじゃがいものサラダ仕立て 3.90€
『Pied de porc " Félicie " grillé』 豚足のグリエ 12€
『Pruneaux au vin glace vanille』 プラムの赤ワイン煮、バニラアイスクリーム添え 3.90€
この3品にピッチャーで頼んだロゼワインも含めて、トータル23€という安さ!



メニューも豊富でフランスの庶民の味ばかりですが、料理とデザートの美味しさは大満足。
お財布にも優しいブイヨンでした。

次に紹介するのは10区にある『Bouillon Julien』(ブイヨン・ジュリアン)です。1906年に開店し、「すべてが美しく、おいしく、安い」がモットーのブイヨン。一時期は高級ブラッスリーとして営業していた時もありましたが、2018年にブイヨンに戻り再スタート。歴史的建造物にも指定されている店内はアール・ヌーヴォーの感じが溢れており、必見です!ミュシャが描いた四季を表す女性像の壁画、マホガニー製のバーカウンター、トイレの入口にある陶製の孔雀の壁画などが飾られています。




オードブルは5€前後、メイン料理でも11€前後となっており、これまた嬉しい値段になっています。

『Œufs Mayonnaise』 ゆで卵とマヨネーズのオードブル 4.30€
『Le Bouillon Julien』 ジュリアン風ブイヨン 9.90€
『Baba au Rhum』 ラム酒風味のババ 6.90€




オードブルのウフ・マヨは私の大好物!
メイン料理のブイヨンはこのお店の看板メニューで、寒い時期にはピッタリの一皿です。やわらかく煮込んだ牛肉と小さなパスタ、コンソメ、コリアンダーとレモングラスの爽やかな香りが食欲をそそります。創業当時からお腹を空かせた労働者たちの胃袋を温めてきていたんですね!

最後に『Bouillon Racine』(ブイヨン・ラシーヌ)です。
1906年創業で6区にお店を構えています。他の2店と比べると値段は少し高めで普通のビストロと同じぐらいの価格帯です。アール・ヌーヴォーの装飾が豪華な店内ですがこちらも歴史的建造物に指定されており、1900年代の雰囲気を味わいながらゆったりと座って食事ができます。どちらかというと落ち着いて食べたい方にお勧めです。



『6 escargots de Bourgogne, beurre d'ail et persil』 エスカルゴのオーブン焼き 12.50€
『Velouté de châtaigne』 栗のポタージュ 9.75€
『Jarret de veau façon osso bucco』 子牛すね肉のオッソ・ブーコ風(トマト煮込み)28.00€
『Onglet de bœuf Angus』 アンガス牛のステーキ 29.00€
『Pavlova mangue passion』 マンゴーとパッションのパヴロヴァ 11.50€
『Dessert du jour』 本日のデザートはガレット・デ・ロワ 9.50€







フランスのビストロ料理や家庭料理、地方料理の他にも、イタリア料理のパスタやリゾット、煮込み料理などもありました。魚料理も多く取り揃えているので、お肉が苦手な方でも気軽に選ぶことができると思います。

フランスの定番料理が安く味わえるブイヨン。
パリ市内だけではなく、パリ郊外やリヨンといった地方都市にも『ブイヨン』が誕生しているので、まだまだブイヨンブームは続きそうな感じがします。数ある中からお気に入りのブイヨンが見つかるといいですね!

『Bouillon Chartier』
 7 rue du Faubourg Montmartre, 75009 Paris
 Tél:+33 (0)1 47 70 86 29
 HP:www.bouillon-chartier.com

『Bouillon Julien』
 16 rue du Faubourg Saint-Denis, 75010 Paris
 Tél:+33 (0)1 47 70 12 06
 HP:www.bouillon-julien.com

『Bouillon Racine』
 3 rue Racine, 75006 Paris
 Tél:+33 (0)1 44 32 15 60 
 HP:https://bouillonracine.fr