GRAINS DE SUCRES(グラン ドゥ シュクル)
今回紹介するお店は、リヨンのフルヴィエールの丘にあるシンボル的な存在のフルヴィエール大聖堂から徒歩15分の場所にある「Grains de sucres」(グラン・ド・シュクル)というパティスリー、ブーランジュリー、サロン・ド・テです。(現在サロン・ド・テは一時的に閉店していますが近日中に再開するそうです)
こちらのお店は2020年に3名のパティシエ、ブーランジェにより開店されました。
左:Nolwenn PELLET さん 中:Pauline DORANGEさん 右:Edouard DORANGEさん
Nolween(ノルウェン)さんはイギリスやオーストラリアなど世界各国で修業を積まれた経歴があり、またPauline(ポーリーヌ)さんは女性パティシエールであり、過去には「レジス エ ジャック マルコン」というリヨンの南西100㎞ほどの小さな町にある親子2代でミシュランガイドの三つ星を守り続けているレストランでシェフパティシエとして働いた経歴があります。
Edouard(エドワード)さんはブーランジェであり2019年には「クープ・ド・モンド・ブーランジュリー」という世界大会に出場された経歴があり、三名ともにすばらしい経歴の持ち主です。
ノルウェンさんとポーリーヌ さんは辻調グループのフランス校に講師として来ていただいたこともあります。またポーリーヌさんエドワードさんの父親は氷細工でフランスのチャンピオンになられたChristian DORANGE(クリスチャン・ドランジュ)さんであり、まさにパティシエ一家と言えるでしょう。
とても気さくな方々で、店内でもたくさんお話をしてくださいました。店内は白色のものや木材を使用し、また所々に麦などの原材料を飾った落ち着いた雰囲気です。ショーケースには、数十種類のお菓子、パンやサンドウィッチ、キッシュやパテなど多くの商品が並んでいます。丁寧に仕上げられたお菓子、良い香りを店内に香らせているパンを目の前に目があちこちに移ってしまいます。お菓子の値段は4€∼4.8€前後が平均価格です。
今回購入したお菓子を紹介します。
Le roulé pistache
ピスタチオを生地やクリームに使用し、ピスタチオの濃厚さと香り高い風味が楽しめます。またロール状に成形されたこのお菓子は、生地を一回しか巻いておらず、生地の食感とクリームの味をストレートに感じることが出来ます。使われているピスタチオのペーストはこだわりのようで、のちに紹介するお菓子にはヘーゼルナッツのペーストが使われていますが、ナッツのペーストはすべて自家製を使用しているそうです。そのためここでしか味わえない味を楽しむことが出来ます。
Mille-feuille
バニラの香りが食欲をそそう、サクサクの食感の楽しめるミルフイユ。通常のミルフイユではその意味の通り、千枚の葉が折り重なったような見た目でパイ生地を薄く焼き、クリームと重ねるのですが、こちらのミルフイユはあえて切ったそのまま焼かれており、より生地の層が膨らみ見た目と食感のプラスとなっています。クリームも薄く広げるのではなく丸い口金で絞り出すことで可愛らしくもありスタイリッシュなフォルムを演出しています。
Le Grain de cacao
滑らかなチョコレートのムースに、口どけのよいクレームブリュレ。食感の楽しめるカカオニブのキャラメリゼを使用した余韻まで楽しめるお菓子。このムースは味や食感はもちろんですが、仕上げにも二種類の方法がなされており下側の店名の入った部分はチョコレートを噴霧しており、上半分はグラサージュで艶を出してあります。特徴的な仕上げなのでどのようにされているか聞いてみたところ、まずは型から外し半分だけ見えている状態にし、噴霧する、その後凍らせたのちに底側から串などを使い、グラサージュでトランペをしているとのことでした。簡単なようで難しく、二種類の質感の違いが表現されておりたくさんのテクニックが詰まっているのも魅力的です。
左:La charlotte
マンゴーとパッションにココナッツを合わせたエキゾチックなお菓子。パーツ一つ一つにエキゾチックさを表現するために、ココナッツの食感やマンゴー、パッションでの爽やかさがしっかりと詰まっています。
右:Le P'ti Maé
シュー生地にヘーゼルナッツのムースで仕上げたお菓子。シュー生地のお菓子は、中にクリームを絞り少しはみ出させるような仕上げが多かったりするのですが、こちらのお菓子はほとんどのクリームが上に絞られており、見た目にもすごいインパクトを与えています。先ほどのピスタチオのお菓子では自家製のピスタチオペーストを使用していますがこちらのお菓子では自家製のヘーゼルナッツのペーストを使用しており、他では味わえないものとなっております。自家製と一口に言っても、ナッツのロースト加減などでペーストの風味を調整しながら作られているそうでお菓子ごとに違う風味も楽しめます。
左:Le Baba
ラム酒をしっかりとしみこませた生地にパッションやパイナップルのコンポテ、その下にたっぷりと濃厚なクリームの入ったお菓子。ババはこういう容器に入っていることありますが、クリームを上にではなく下に敷き詰めているものはそう多くないように思います。そういった仕上げ方、クリームの濃厚さとラム酒入りのシロップにしっかりと浸した生地を合わせることがこのお店のこだわりではないかと感じました。
右:La Pavl'Eva
サクサクのメレンゲの器に、レモンのコンフィとクリーム、オレンジを合わせた食感と香りお楽しめるお菓子。器がメレンゲであるということは、水分を吸って柔らかくなりやすいものですがこちらのお菓子のメレンゲはしっかりと焼かれており、なおかつ引き締まった食感であったので、そういう細かい部分まで計算されたお菓子であると思いました。メレンゲは卵白と砂糖で作るので甘くなりやすいですが、パーツごとに柑橘系の風味などが足されていることでさっぱりとしているのが特徴的です。
左:Le Mt Blanc
生地からクリームまですべてに栗を使った最後まで栗が楽しめるお菓子にアクセントでイチジク、カシス、フランボワーズを使ったジュレの相性がすごく良いお菓子。モンブランと言えばオーソドックスな形は、山の形にクリームが絞られているのが一般的ですが、こちらのお店ではムースのような形に組み立てられているのが特徴的です。クリームなどのできる限り滑らかさを表現するためにもチョコレートで周りを覆われていることが見た目にも食感にも計算がなされているなと感じました。栗にカシスを合わせることは相性としてすごく良いのは多くのお店でなされている表現ですが、イチジクの食感、フレッシュさを合わせている部分は新しく、すごく興味深いものだと思いました。
右:L'eclair chocolat
生地、クリームにたくさんのチョコレートを使った濃厚さが楽しめるお菓子。生地をしっかりと焼成することで、チョコレートにも負けないような存在感を出しており、食べた時の一体感は素晴らしいものだと思いました。エクレールが好きな方にはぜひ召し上がっていただきたい一品です。どのお菓子もきらきらと輝いており、食材そのものの香りを最大限に楽しめるようなお菓子だと感じました。使う材料一つにしても、例えばナッツのペーストにしても自家製を使用するなど所々でのこだわりが、このお店でしか味わえないお菓子や人気につながっているのではないかと感じました。お昼前には店の前ではケーキやパンを買いに来られたお客様が列になっておりショーケース内のお菓子がたくさん売れていました。
お店に行かれる際はぜひ朝の早い時間をお勧めします!!!
場所:45 Rue de Trion 69005 Lyon
営業時間:火曜日~金曜日→07:00~19:30
土曜日→07:00~18:30
日曜日→08:00~13:00
定休日:月曜日
HP:Grains de Sucres
インスタグラム:Grains de Sucres(@grainsdesucres) • Instagram写真と動画