Restaurant ES (レストラン・エス)
2013年3月、パリの7区、オルセー美術館のほど近い場所に「レストラン・エス」はオープンしました。
入口をアピールするようなものは何もなく、道を歩いていてもレストランと気づく人は少ないと思います。
だからこそ気づいた時はそのお店に興味をそそられるのかもしれません。私がお店に入るときも、気になった
家族連れの方がショップカードをもらいにいってました。
オープン1年にしてミシュラン1つ星を獲得。オーナーシェフは実は日本人!
本城昂結稀(Honjyo Takayuki)シェフ。
フランスや北欧など有名店で修業をしたすごい経歴の持ち主です。(パリ:アストランス、マルセイユ:プティ・ニース、
スペイン:ムガリッツ、デンマーク:ノマ、東京:カンテサンス)
「日本でお店を持とうと思ったことはないのですか?」と聞いたところ、
シェフは「フランス料理をやるならフランスでやることが一番理に適っている。
お世話になった先輩たちのいるこのパリでお店を持ちたい。だからこの地を選んだ。」とのこと。
少し歩けば、緑いっぱいのテロー広場やルーブル美術館もあり、パリを観光してから、静かで落ち着いたレストランは
如何ですか?
白を基調とした明るい店内。清潔感が感じられる。席数は20席ほど。
このお店に出会ったきっかけは、エスコフィエ校の卒業生です。
その彼がワーキングホリデーでこのお店に働いていて、「ぜひ来てください!」
ということで、さっそくパリに行きお店にお邪魔しました。
メニューはコースのみで、平日の昼のみの45€のコースと80€の季節のコース、
そしてシェフお任せの100€の3コースがあります。
今回は季節のコースをお願いしました。
ベトラーブ(ビーツ)の飴のケースに中にはベトラーブのクーリとホオズキの軽いコンフィ
(写真右)中はこんな感じになっている。
セヴェットという小玉ねぎのスープにアンギーユ・フュメ(ウナギの燻製)の泡
プージョランのパン(お店などにのみ販売)とル・ポンクレというドゥミ・セル(ダヴィット・アクパマグボ(David Akpamagbo)
は今の時期のものは春から夏にかけてミネラルたっぷりの草や花を食べた牛からとれたミルクを使ったバター。
黄色みがかったバターの色は自然のカロチンからのもの。どちらも希少価値の高いものです。
フォアグラのロティ、カブのジュレとウニのクレーム
鴨からとれたフォアグラに海のもののウニを合わせる大胆な発想!カブのやさしい甘味と脂分を流してくれる役割、
そして上に乗っている酸味のある葉によって、すばらしい組み合わせとなっている。
キャビヨー(たら)のポワレとアスペルジュ・ソバージュ(野生のアスパラガス)、緑のアスパラガス。
黒オリーブとクレソンの2種のソースに海ブドウを添えて。
たらをバターでこんがり香ばしくポワレしたものと、2種類のアスパラガスはほとんど生に近い状態で、
風味と歯ごたえを。ソースはオリーブの香りとクレソンの苦みで皿の中にいろいろな味の変化が楽しめる。
ピジョン(鳩)のロティ、ポム・ラット(小さいジャガイモ)とジロール(茸)、ヘーゼルナッツのピュレに
セージの花、ソースはカカオのソース。
鳩は皮はカリッと中はしっとりと仕上がっている。カカオソースなど重いイメージもあるが、
全体的に重すぎず、バランスのとれた一皿。
トム・ド・マルヌ(マルヌのトム)というヤギのミルクを使ったチーズと
オレンジのコンフィ、ユイル・ド・コンバワ(こぶみかんのオイル)
トムとはラテン語で「一部」という意味からきていて大型チーズに対し各農家が作る小型のチーズを指す。
いろんな所で作られているが、中でも山のチーズ「トム・ド・サヴォア」が有名。
今回はマルヌ(Marne)ということでパリの下に位置する地域のチーズ。
フリュイ・ルージュ(赤い果実)のデクリネゾン(再構成)
いちご、フランボワーズ、ブルーベリーとフリュイルージュのグラニテと紙のように薄いチュイル
間にレモンのジャムを挟んだバニラムースとマカロン、プラリネのシュー、
パッションフルーツのピュレを包み込んだチョコレート、ピスタチオのケーキ
一つ一つの皿にシェフの考えや感性、そして日本人的な繊細さやこだわりも感じられ素敵なひと時でした。
サービスも温かく迎え入れてくれる感じで、初めてガストロノミーのレストランに行くという方にも
ピッタリかもしれません。
Restaurant ES
91,rue de Grenell 75007 Paris
Tel +33 1 45 51 25 74
休み 日、月、火昼、8月の3週間