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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M.Jean-François MALLE(ジャン=フランソワ・マル氏)

フランス校教壇から

2023.11.27


今回講習に来ていただいたジャン=フランソワ マル氏は2013年にはパテ・アン・クルートの世界大会で優勝されたシェフです。今年3月には新たに始まったブレス地方のプレ・ド・ブレスの大会でも見事優勝!今期は初代チャンピオンの名前が刻まれた盾を持って来校いただきました。

ブルターニュ地方出身で、地元のホテル学校で料理を学びました。その後、地元のミシュラン星付きのレストランや三ツ星レストランであるレ・プレ・ドゥジェニーでミッシェル・ゲラール氏の下で働きました。そこからケストンベールの星付きレストラン、スイスの星付きレストラン、2005年からはリヨンのル・ベック、その後はボキューズ・ドール2021年の大会で優勝した、ダヴィ・ティソー氏がシェフを務めるヴィラ・フロランティーヌで4年過ごしました。そして、ホテル・メトロポールでシェフを務め、2012年からリヨン近郊の「ラ ロトンド」でシェフ務めておられました。

今回の講習ではブレスの大会で優勝した料理をベースに、季節の食材を使ってアレンジを加えた料理を作っていただきました。大会のテーマはブレス鶏のクリーム風です。

※ブレスの鶏の特徴については2023年2月16日のブログをご覧ください。


Poularde de Bresse « Maison Dégluaire » à la Crème ブレス鶏のクリーム風



まず、ブレス鶏1羽を全て使って作業します。
胸肉は皮を取って平らにし、中に詰め物を入れ筒状にし、ラップに包んで85℃のお湯に入れて火を通します。詰め物の中身はファルス・ア・グラタン(鶏の肝とエシャロットを炒めて火を通し、コニャックで香りをつけたもの)もも肉、フォワ・グラのテリーヌをミキサーでピューレ状にし、ブレス産の発酵クリームを加えて一度漉したものです。

次に、もも肉はシンプルに皮目をパリっと香ばしく焼きます。ブレス鶏はうま味が他の鶏よりも多く、特にもも肉はジューシーな肉汁と噛めば噛むほどうま味が感じられるので、シンプルな仕上げで素材をいかしていました。
捌いた残りは鶏ガラです。細かくカットしてソースのベースに使います。
食材はエシャロット、マッシュルーム、白ワイン、ヴェルモット酒(ハーブやスパイスが効いた混成酒)、黒粒こしょう、生クリームと発酵クリームを煮詰めて仕上げます。
このようにメインとなる食材の鶏は使える部位はすべて使っていました。

つけ合わせは2種類で、旬の食材のバターナッツかぼちゃを2種類共に使います。
まず、じゃがいもを使ったニョッキで中にモリーユ茸、エシャロット、ヴェルモット酒を使った詰め物を入れていました。シェフのこだわりは形です。年に1度ブレス鶏の品評会があります。その大会で飾られる鶏のルーラージュ(布で形を整えること)をイメージしているそうです。その上にはバターナッツかぼちゃとラルド(豚肉の脂身の塩漬け)、ポロねぎ、パセリを綺麗に切りそろえて火を通して飾っています。

アシスタントの研究生もシェフのフランス語を聞き取り積極的に動いていました。
もう1種類は、バターナッツかぼちゃのコンフィです。バトン状に切ったかぼちゃ、オレンジジュース、レモン汁、白ポルト酒、生姜を加え柔らかく火を通します。
大会は3月だったので春らしい食材を多く使っていたそうですが、今の季節に合わせてそのままのメニューでなく、旬の食材を取り入れて紹介していただきました。学生たちも自分たちで料理を考えるときに大切な食材選びの知識を改めて感じている様子でした。

研究生のコメントで「食材の選択や、作業やスピード、盛りつけの一つ一つに目的をもち説明の出来るようにされていて、自分も料理に対して目的や理解を深めていきたいと思いました。」
研究生からシェフへの質問も多く、コンクールで大事な料理の考え方や構成について新しい発見があったように感じました。

シェフと助手を務めた研究生で記念撮影です。