M. Sébastien CHAMBRU(セバスティアン シャンブリュ氏)/ L'O des vignes(ロ・デ・ヴィーニュ)
今回の外来講習は、Bourgogne(ブルゴーニュ)地方、Mâcon(マコン)市の南部、有名なAOC取得の白ワインPouilly-Fuissé(プイィ・フュイッセ)の生産地であるFuissé(フュイッセ)村にある、Restaurant L'O des vignes(レストラン ロ・デ・ヴィーニュ)より、Sébastien CHAMBRU(セバスティアン・シャンブリュ)氏にお越し頂きました。
シャンブリュ氏はポール・ボキューズや、リヨンのヴィラ・フロレンティーヌホテル内のレストランで修行された後、ロンドンやイングランド、日本などでフランス国内のみならず海外でも経験を積まれ、2007年にフランスでM.O.F.を受章されました。その後、スイスのホテルや、2009年にはプロヴァンス地方のムージャン村にあるムーラン・ド・ムージャンでシェフを務められました。2013年に故郷に戻り、「友人同士で集まることができる田舎のビストロ」をイメージした現在のお店を開店しました。2017年にミシュランの1ツ星を獲得、現在まで維持をされています。調理のテクニックはもちろんのこと、その調理の理論をわかりやすく言葉にして伝えることがとても上手なシェフです。
今回の講習では、トピナンブール(菊芋)を使った前菜と仔牛の胸腺肉を使ったメインの2品の料理を作っていただきました。
Topinambour voilé de comté à la truffe, perles de tanins à l'huile de pépin de courge
メインは今が旬のトピナンブール(菊芋)です。皮つきのまま塩ゆでにし、中身をくり抜き、器を作ります。
器の中に詰める材料は、火を通したエシャロット、菊芋のくり抜いた中身、フレッシュの黒トリュフを混ぜたものです。器にする菊芋を180℃の油で揚げて、香ばしく色をつけます。詰め物をたっぷり詰めて、仕上げはコンテチーズのスライスを揚げた菊芋の上に置いて、オーブンで溶かします。
淡白な味の菊芋に濃厚でうま味たっぷりのコンテチーズが覆われて、見た目にも食欲をそそる仕上がりです。
ソースはシェフのお店から持参された赤ワインベースの肉のうま味たっぷりのソースにかぼちゃの種の油を加えて苦みとうま味、香り豊かなソースに仕上げています。
飾りには揚げて食感のよいタピオカチップと香草です。
菊芋の形を活かした仕上がりと様々な香りやパーツが絡み合い、食欲をそそる前菜です。
Noix de ris de veau au beurre de Bresse, poireau brulé et vinaigrette butternut et pimprenelle
2品目は仔牛の胸腺肉と旬のバターナッツかぼちゃを使った料理です。
仔牛の胸腺肉は下処理に時間がかかります。まずは血抜きをするため冷たい水につけます。それから不純物を取り除くため、お酢を入れた水から沸く直前まで火を入れ一度取り出して不純物を洗い流します。次に沸騰しないように調節したお湯の中で香味野菜の香りと下味をつけながら胸腺肉の中心まで優しく火を通します。
シェフは下処理の手順が良く分かるように研究生に分かりやすく説明をしてくれました。
火が通った胸腺肉の外側には硬い膜や脂がついているので綺麗に取り除き、小麦粉をつけてブレス産のバターでカリっと香ばしいムニエルに仕上げます。
つけ合わせはポロねぎを鶏のブイヨンでしっかり茹で水気を十分とり、セルクルの高さに合わせて切りそろえて断面が上になるように敷き詰めます。
次に次にテフロンパンで底の面に焼き目をつけます。お皿に盛って上からはガスバーナーで筋が綺麗につくように炙っていきます。ポロねぎはしっかり焼いているので味に飽きることなく香ばしい所と柔らかい食感と口の中で楽しめるように考えられています。
ソースはヴィネグレットを作ります。まずバターナッツかぼちゃをスライスして3㎜ぐらいの角切りにし、シェリー酒酢にしばらく漬けて味がつけば水分をしっかり除いてヴァージンオリーブ油と香草のパンプルネル(サラダバーネット)を刻んだものを和えます。
仕上げは、アキレ・ミルフイユ(西洋ノコギリソウ)、揚げて食感を活かしたかぼちゃの種を飾っています。
温かい料理にヴィネグレットを合わせると酸味がより引き立ちインパクトがあるように感じました。
アシスタントをする研究生もフランス語に慣れてきている様子で、シェフの話を聞きながら積極的に切りものや調理をサポートしていました。
調理の合間にある詳しい理論の説明に、研究生も授業にくぎ付けになっていました。
現在研修中の研究生から、お店の紹介や今やっている仕事、後輩へのアドバイスなどを話してもらいました。
最後にシェフと研修生、アシスタントを務めた研究生で記念撮影を行いました。