調理外来講習 M.Alain PERRILLAT MERCEROT (アラン・ペリヤ=メルスロー氏) / Atmosphères (アトモスフェール)
今回講習に来ていただいたのは、フランス東部サヴォワ地方にある湖、lac du Bourget(ブルジェ湖)付近の小高い山の上にあるレストラン「Atmosphères」(アトモスフェール)のAlain PERRILLAT MERCEROT(アラン・ペリヤ=メルスロー)氏です。
このレストランは2009年よりミシュランガイド一ツ星を維持されており、また2022年4月現在世界でも359軒のレストランしか受けていない、サスティナブルな(エコロジーに積極的に取り組んでいる)レストランの称号グリーンスターも獲得されています。2009年に「世界のレストランベスト500」にも選出されました。さらに、フォワ・グラの名門ルジェ社より最優秀若手料理人として表彰されたこともあり、マルチな活躍をされている実力派シェフです。
ペリヤ氏のテーマは【地産地消】で、土地の食材や季節の食材を用いて構成されています。中でも野菜と魚料理に定評があり、湖から獲れる新鮮な淡水魚が入荷されて10種類以上を調理されています。
現在スタージュ中の研修生も来校しました。
今回の講習ではお店で提供しているアミューズと魚料理の2品を作成しました。
メニュー名は無いため、食材の説明になります。
まず、コールラビを使ったアミューズです。
アミューズは研修生が作成しました。お店でも担当しているそうです。
コールラビはキャベツやブロッコリーの仲間で、かぶらの本体から葉っぱが生えたような特有の見た目です。コールラビという名前は、ドイツ語のコール(キャベツ)とラビ(かぶら)からきたもので、日本名は「カブカンラン(蕪甘藍)」や「球茎キャベツ」などいくつか名前がありますが、コールラビという名称で広く認知されています。
ツマを作る機械で麵状にします。塩、クルミ酢、クルミ油を加えてマリネします。
フォークでクルクル巻きつけて上に燻製したマスの魚卵を盛りつけて完成です。
研修生と研究生でアミューズを作成している様子です。慣れた手つきで研究生に教えながら作成していました。最後はシェフに味見をしてもらい、コミュニケーションもとれていました。研修生の成長ぶりが見られる場面でもありました。
続いて魚料理になります。
オンブル・シュヴァリエというサケ科の魚を使った料理です。オンブル・シュヴァリエは湖に棲んでいる魚で、フランスでは幻の魚として珍重されています。
オンブル・シュヴァリエはフィレにして皮を外し、一人前の大きさに切ります。
身はフライパンで皮目だけを焼いていました。そうすることで身がパサつかず、ふっくらとジューシーな仕上がりになります。
つけ合わせには玉ねぎの薄切り、一口大に切ったかぼちゃ、バターをオーブンでローストして旨味を凝縮させて作ったピューレを添えます。手前にあるペーストは、香ばしくローストしたかぼちゃの種を粗く刻んだもの、かぼちゃの種の油、醤油を混ぜたペーストです。種の香ばしい香りと醤油が合わさり、淡泊な魚の身ととても良い相性でした。
続いてソースです。
バターでエシャロットを炒めて、サヴォア地方のヴェルモット酒、魚のだし汁を加えて煮詰めます。仕上げに生クリームを加えてハンドミキサーで泡立てて口当たりを軽くさせています。
最後に皮を乾燥させるようにカリカリに焼いて荒く刻み、ローストして荒く刻んだかぼちゃの種と混ぜたクロッカンを振りかけて完成です。
ヴェルモット・ロタンは、サヴォワ地方にあるシャンベリーで生産されるフレンチ・ヴェルモットです。 サヴォワ地方で特別に生産された白ワインに、35種類ものハーブやスパイス類を配合し、さらに原料の味わいを生かすため、4~6ヶ月もの長期間におけるマセラシオン(浸漬)を行っています。添加物や保存料などを一切使用せず、サヴォワ地方の原材料しか使わない、唯一のヴェルモットです。
講習後に研修生から研究生に向けて、お店の紹介やアドバイスを頂きました。お店での仕事内容、休日、学校で過ごしていた生活スタイルなどを話してもらいました。研修で1番苦戦しているのがフランス語でした。仕事場でのコミュニケーションの取り方が大変で、研修当初は全然分からなくて困ることが多かったそうですが、親切なスタッフが身振り手振りで教えてくれて少しずつ分かるようになっているそうです。研究生は普段からフランス語に苦戦しているので、改めてフランス語の大切さを感じることができる貴重なアドバイスでした。
最後に皆で記念撮影を行いました。