調理外来講習 M.Julien THOMASSON(ジュリアン・トマソン氏)/Restaurant Les Ambassadeurs(レ・ザンバサドゥール)
今回の外来講師は、M.Julien THOMASSON(ジュリアン・トマソン氏)です。
リヨンより約50キロ南にあるSaint-Chamond(サン=シャモン)という街のホテルレストランRestaurant Les Ambassadeurs(レ・ザンバサドゥール)の料理長です。
トマソン氏は「ピエール・ガル二エ―ル」「ジャン=ポール・ジュネ」「パトリック・ジョフロワ」などの店で勤務した後、2008年から現在のレストランで勤められています。
トマソン氏の料理は、繊細で美しい盛り付けはもちろんのこと、素材の持ち味を十分に引き出し、また季節の食材を上手く取り入れて作られています。
こちらのレストランはフランス校の研修先でもあり、現在研修中の平井健介さんにもお越し頂きました。
1品目
オマール海老の頭や殻でとった濃厚なフォンでリゾットを作って、丸く成形しパン粉をつけて揚げライスコロッケにしたものと、今が旬のグリーンアスパラガスを塩ゆでし、そのままスライスして、サラダの葉と混ぜ合わせたものが、盛り付けられています。
サラダを和えるドレッシングにも煮詰めたオマール海老のフォンが使われています。
講習中、リゾットの仕上げの状態や、グリーンアスパラガスを塩ゆでる時の塩の量や、火通りの確認の仕方について工程を、細かく丁寧に説明しながら仕上げてくださいました。
2品目
ブレス鶏を丸ごと一羽使用した一皿。
この鶏は、フランスの中東部ブレス地方で飼育されている食用鶏で、フランスで唯一A.O.P.(※注1)を取得しているフランスの代表的な食材のひとつです。
トマソン氏は、ブレス鶏の説明をしながら胸肉ともも肉をつなげたまま骨を取り除き、あっという間にさばかれました。
ハーブを加えた鶏肉のムースを中に入れロール状に巻き込み、低温でゆっくり火を通した後に、断面に香ばしく焼き色をつけました。
ソースは濃厚な鶏のジュ(骨やくず肉をもとに使ったソース)に、カレー粉とハーブを加えています。
付け合わせにはフヌイユ(注2)を、オリーブ油、カレー粉と共に柔らかくなるまで火を通し、仕上げにメインの鶏肉と同様にフライパンで色よく焼いています。
もうひとつの付け合わせは、ひよこ豆にレモンの風味をつけたペーストです。
助手を務めてくれた研修生の平井君はトマソン氏とコミュニケーションを取りながら料理の補助作業を行ってくれました。
レクレール校で生活していた頃よりもスピード感のある動きで、きびきびと作業しており、自信がついたような逞しい顔つきでした。
講習の最後には、現在の仕事内容や研修での話を聞かせてくれました。
少し先の先輩の姿を見て、学生達のモチベーションも上がったのではないでしょうか。
講習のアシスタントを務めたのは、左から中村 吉輝さん、研修生の平井健介さん、金井 巧真さん、高橋 和大さんでした。
※注1Appellation d'Origine Protégée(原産地保護呼称)
特定の生産物や加工品に対して原料、飼育方法や製法などを細かく規定した品質保証表示制度の省略。
※注2 Fenouilleフヌイユ(日本語名はういきょう)セリ科に属し、アニスの風味があり、爽快感がある。セロリのような歯ざわりで、フランスではよく生のままサラダにしたり、煮て食べられる野菜。