猿舘 英明さん「Patisserie Chocolaterie Ma Priere」 (パティスリー・ショコラトリー マ・プリエール)
猿舘 英明さん Hideaki Sarudate
[ エコール 辻 東京 ]辻製菓マスターカレッジ 1994年3月卒業
フランス校シャトー・ド・レクレール 製菓研究課程 1994年 秋コース卒業
研修先: Pâtisserie Chocolaterie DENOU (ドゥヌー) <ノルマンディー地方>
店名:Pâtisserie Chocolaterie Ma Prière (パティスリー・ショコラトリー マ・プリエール)
オーナーシェフ
東京都武蔵野市西久保2-1-11-1F
℡ 0422-55-0505
営業:10時~20時 (不定休)
HP: http://www.ma-priere.com/map.html
『フランス校は、パティシエへの第一歩』
JR・地下鉄の起点駅であるJR三鷹駅から、歩いて7分。
武蔵野警察署を過ぎてほどなくして見えてくる「マ・プリエール」は、フランス校卒業生の猿舘英明さんが経営する
パティスリー&ショコラトリーです。車や人が行き交う活気のある通りに面しているお店は、老若男女に愛される
優しく楽しい雰囲気が溢れており、お客さまが常に出入りしています。
猿舘シェフがお店を開店したのは2006年。
32歳での独立は、キャリアプランの一つだったそう。幼少からパティシエになると強く思い描いていた猿舘シェフが、
エコール 辻 東京、フランス校と進学することは自身にとって自然のことだったようです。
フランス校では、ノルマンディー地方のパティスリー&ショコラトリー 「ドゥヌー」でスタージュ(研修)を経験し、帰国後は
世田谷「アルパジョン」に就職しました。エコール 辻 東京時代、外来講師として来校されたオーナーの棟田純一氏に
感銘を受け「絶対ここで働きたい!」と、帰国後すぐに門を叩いたとのこと。
系列店「ヴォアラ」を含め計5年半勤務した後は、堀江シェフの「ラ・ヴィ・ドゥース」のオープニングスタッフとして
勤務しました。その後、奥様と共に再びフランスへ出発します。フランスでは留学時代の研修先でお世話になった後、
縁や出会いから複数の店舗で着実に経験を重ねると共に、ショコラ・ヴィエノワズリーもしっかり学び、積極的に参加した
コンクールでは実績も上げました。「フランスは3年」とキャリアプランで決めていたことからその後帰国。
物件探し・準備などを経て、開店日を迎えました。
今年で8年目を迎え、素材・イメージに徹底的にこだわったオリジナル菓子を求めて通うファンも多いようです。
お店の経営だけでなく、外部協力・取材・外来講習など休む間もなく働くシェフですが、「(取材などの仕事は)僕に
とってはこれが気分転換なんです」と笑いながら話してくれました。一見、爽やかで優しく非常に穏やかなシェフですが、
その内に秘めたパティシエとしての情熱が、力強い目と全ての言動に表れていました。
そんな猿舘シェフに現在のことやフランス校時代についてお話いただきました。
お店の外観。JR三鷹駅から徒歩7分ほどです。お店内外のデザインは奥様がなさったそう。
■開業するに至った経緯と苦心されたこと
32才で独立したのですが、中学・高校の頃には既に、「28~33才の間にお店を出す」と思っていました。
パティシエには幼稚園くらいからなりたいと思っており、とりわけケーキ屋さんの経営者になりたいという気持ちが
昔からありました。実家が和洋菓子店をしていますので、その影響もあるかもしれません。
開業するにあたっては、確かに大変だと思うことは沢山ありましたが、ただ苦労した、と感じたことは一度もありません。
■お店のコンセプトと名前の由来
"日常のふとした瞬間に 感動したり嬉しい気持ちになるような そんなおいしい幸せを 皆様にお届けしたい。
それがMa Prière 私の願い..."
これは、お客様へお渡しするお店のしおりにも掲載させていただいているのですが、
これこそが店名の由来であり、私の思い、お店のコンセプトを表しています。
■ パティシエとしてやりがいを最も感じられること
自分のイメージから創ったお菓子が店頭に並び、それを嬉しそうに買って行かれるお客様を見ること。
これはパティシエにとって本当に嬉しい瞬間です。
(写真左)店内は淡いピンクベージュに包まれた愛らしい空間。左側のショーウィンドー前には
2テーブルほどイートインスペースもあります。
(写真右)焼菓子の種類も豊富。この日は55種類並んでいましたが、普段はそれ以上作ることもあるそうです。
■仕事で常に心掛けていることやパティシエとして大切だと思うこと
まずは「綺麗で、すばやい仕事」をすること。床はもちろん身の回り、コックコートなどを汚さず、作業に時間を
かけないことです。そして、「物質の状態の理解」も重要です。常に理想のイメージを持って仕事をするように
心掛けています。また「素直であること」、「自分のことしか考えないのではなく周りの状況や人を考えられること」。
これは人として、職業人としても大切だと思います。そして、「パティシエとして続けていく情熱と覚悟」、
これが非常に大切ですね。
■今後の目標
ショコラトリー(チョコレート、チョコレート製品やアイスクリーム等を多数そろえた販売店)の出店を考えています。
(写真左)彩り豊かな生菓子のショーウィンドー。夕刻訪れたため、「今日はもう売れてしまい種類が少なっていますが、
この季節なら大体30種類は置いています」との話。
(写真右)ショコラティエでの修業や経験からチョコレートへのこだわりも並大抵ではありません。
夏季は60種類程度に抑えているそうですが、シーズンにはそれ以上のショコラが楽しめます。
100種類以上からなるクーベルチュールを、作品にあわせて自らブレンドしています。
■フランス校で得たもの
フランス校は、エコール 辻 東京に入学する前から行くと決めていました。
実際フランスへ渡り、フランスと日本の素材の違いや、人の感覚や考え方、文化の違いを肌で感じられたことは
私にとってかけがえのない財産です。そこから得たことが、新しいお菓子作りのイメージ力に影響しているように思います。
■今も記憶に残るシェフの言葉
具体的な言葉としては特にないのですが、ただ、フランスでは色々な経験をさせてもらい、一通りのことを
教えようとしてくださっているシェフの真摯な姿勢や思いを常に感じていました。
言葉ではなく、その生き方や考え方・姿勢が、心に強く残っています。
(写真左)店内にはフランス修行時代の思い出深い写真も
(写真右)辻調グループ卒業生も活躍中です!写真左のスタッフは、今年の3月にエコール 辻 東京 辻製菓技術
マネジメントカレッジを卒業した、志茂清久さん。現在2名の辻調グループ卒業生が頑張っているそうです。
■ 卒業して思うフランス校・スタージュの一番の魅力は?
フランス校には、当時M.O.F.(フランス国家最優秀職人)のメンディ先生がおられ、一緒にお菓子を作れたことは
今でも貴重な経験です。またスタージュ中は、住居がホームステイだったこともあるかもしれませんが、
朝から晩まで存分に本場のお菓子に触れることができました。
■ フランス校・スタージュ(実地研修)において印象に残っているエピソード
フランス校在学時代、元プロのサッカー選手だったメンディ先生と同じチームで、村や町の人達とサッカーの試合を
よくしました、良い思い出ですね。
あと、スタージュ先がりんごの産地であるノルマンディー地方だったので、エコノムでりんごを2ケース分、
毎日皮むきしていました。徐々に上達しベテランスタッフと同じスピードで出来るようになったことで、
「仕事を認められていく」ということを実感しました。
シャトー・ド・レクレールをバックに、ディレクターのベアル先生(左)、MOFのメンディ先生(右)と共に
フランス校は、「パティシエ」への第一歩
研修へ行くために、フランス校では本当に色々なことを学びました。そして、スタート地点とも言える「これからの人生を、
パティシエとしてやっていくんだ!!」という気持ちから、さらに一歩踏み出せた時間であり、場所だったのが
フランス校だと思います。
■フランス校を目指す後輩達へのメッセージ
自分からどんどんコミュニケーションを取っていってほしいと思います。
積極的に行動することで、日本では得られない様々なものを吸収することにつながっていきます。
悔いのないフランス生活を送れるよう、頑張ってください!