木村 眞世さん「菓子店 あまつひ」
木村 眞世さん Mayo KIMURA
エコール 辻 大阪 辻製菓マスターカレッジ 2012年3月卒業
フランス校シャトー・エスコフィエ 製菓研究課程 秋コース 2013年7月卒業
研修先:Pâtisserie REBERT(パティスリー・ルベール)
店名:菓子店 あまつひ
住所:〒534-0024 大阪府都島区東野田町5-9-19 エスト京橋1A
TEL:06-7220-9053
営業日・時間:不定休 平日14:00~19:00
土日祝13:00~19:00
instagram.com/_amatsuhi
大阪府JR京橋駅近く、近隣住民の憩いの場である公園沿いに2019年「菓子店 あまつひ」がオープンしました。
オーナーの木村眞世さんは27歳の若さで自身のお店を一から作り上げ、お菓子の仕込みから仕上げ・販売まですべてひとりで担当されています。
「お客さんの多くはご近所の常連さん」という木村さん、取材中も常連の方がお菓子を買いに来られたり、誕生日ケーキの注文に来られたりと、気軽に立ち寄られる方が多くいらっしゃいました。
道行く人がガラス越しにお店の中にいる木村さんに手を振る様子からは、オーナーの木村さんの人柄含め、「菓子店 あまつひ」が地元の方に愛されていることがわかります。
この8月には開業1周年を迎え、今後の活躍もますます気になる木村さんにお話を伺いました。
~ご自身のパティスリーについて~
■開業するに至った経緯と、苦心されたこと
フランスから帰国し、静岡・大阪と2か所の製菓店で勤務後、2019年に「あまつひ」を開業しました。
自分のお店を持つことは学生の頃からの夢であり、また現場での経験を通して、仕事であっても好きなことを楽しく、自分のペースでやりたいと思ったのが独立の大きな理由のひとつです。
大阪の京橋といえば飲み屋さんが多いイメージですが、お店がある場所は、繁華街を抜けた静かな住宅地なので、雰囲気も良く、また家賃を考えても自分の理想に当てはまったためこの場所を選びました。
もちろん大変なこともあり、特に資金面では苦労しました。
■「あまつひ」のコンセプトと店名の由来
特別な時だけでなく、普段の日常でも食べてもらえるようなお菓子を作っています。例えば駄菓子屋さんに行くような、そういう感覚でお菓子を買いに来てもらえるお店作りを目指しています。
お店の名前は、昔の言葉をずっと付けたいと思っていました。
「あまつひ」は昔の言葉で、漢字で書くと「天つ日」。
「晴れた日」や「太陽」という意味がある温かい言葉です。ひらがなで書いたほうがやわらかい雰囲気になるのでひらがなにしました。
木村さん手書きの看板。
営業開始と共にお店の前にひっそりと立て掛けられていました。
■仕事で常に心掛けていることやパティシエとして大切だと思うこと
「お客様においしいと思って食べてもらいたい。」といつも思いながら作る。
基本的なことですが、とても大切なことだと思います。
お店で出しているお菓子は、今まで働いていたお店やフランスにいた時のメニューなどを参考に考案しています。
■今後の目標について
「お店を続けていくこと」です。
今のお店の規模はそのままに、お店の名前が広く知れ渡ってもっとたくさんの方に来ていただきたいです。
今はご近所のお客様がほとんどなので、徐々にでも広まるように頑張りたいです。
~フランス校と実地研修について~
■フランス校の先生から教えられたことで今でも記憶に残っていること
エスコフィエ校のシェフパティシエ ドゥニ・キャメラ先生は、美しく作業ができているかに関して厳しい方だったので、作業のきれいさを注意されることが多かったです。
私自身作業が雑になりがちなので、フランス校の日々を思い出しては気を付けています。
■フランス校や研修での体験が与えた今の仕事や考え方や感性への影響
研修中に感じたことは、フランス人と日本人の仕事に対する考え方が全く違うこと。
日本は与えられた仕事を残業が発生してでも最後までやり遂げる、というのが美学的なところがありますが、フランスでは「残業=恥ずかしいこと」というイメージ。
終業時間がきたら切り上げて、後のことは次の時間帯の人にすべて引継ぎ、家に帰って家族や自分の時間を楽しみます。
その切り替え方がとても素敵で、それを知れたことで日本・フランス、お互いの良いところを取り入れて自分のお店で自分のペースで仕事をすることができています。
■卒業して思うフランス校・スタージュの一番の魅力
本場に行って、目で見れて、教えてもらえて、実際に食べて学べるところです。
せっかくフランスにいるので、学校の授業だけでなく週末や長期休暇を利用して、フランスの北東部アルザス地方を中心に食べ歩きにも行きました。
フルーツ全般とチーズ、パンの美味しさにびっくりし、その味を知れただけでもとても良い経験をしたと思います。
■フランス校・スタージュで印象に残っているエピソード
仕事のフランス語(指示を理解する、伝えるなど)は学校の授業で学べますが、日常会話はやっぱり自分でしっかり勉強しておかないと足りません。
研修に行ってから日常会話は一番困りました。
日常会話のフランス語もちゃんと勉強していれば休憩中にもっと同僚と話せたのに・・・と今でも思います。
でも研修先の同僚とは週末一緒に出掛けたり、研修中の住居の大家さん夫婦がとても良くしてくれ、食事や週末のお出かけに誘ってくれたりと、周りの方たちのおかげでとても素敵な時間を過ごすことができました。
研修先の同僚たちにサインを入れてもらったフランス校の白衣。
今も店内の作業場に飾っています。
大家さんと庭でサクランボをとったり、メッセージ付きでいただいたことも忘れられない大切な思い出です。
~フランス校に進学する学生へのメッセージ~
不安もあると思いますが、周りの人たちと助け合えば大丈夫です。
頑張ってください。