丸山 旋さん「Restaurant Sen(レストラン セン)」
丸山 旋さん Maruyama Sen
(現)エコール 辻 大阪 フランス・イタリア料理マスターカレッジ 1991年卒業
シャトー・エスコフィエ フランス料理研究課程 1991年 春コース卒業
研修先: Alain Chapel (ミヨネー/リヨン郊外)
店名:Restaurant Sen(レストラン セン)オーナーシェフ
東京都千代田区九段南3-7-2 九段みなみビル1F
℡03-6272-3393
HP:http://sen-tokyo.com
『フランス校は"夢"という山の一合目』
「Restaurant Sen」があるのは、靖国神社の通りを一つ入った閑静な通り。
向かいにはチュニジア大使館があり、お店の入口はフレンチらしく、落ち着いた心地よい高級感が漂います。
オーナーシェフの丸山旋さんはフランス校・シャトー・エスコフィエで学び、伝説のレストランといわれる
「アラン・シャペル」でスタージュ(実地研修)をしました。
その後、東京や神戸のレストラン、ホテルでの勤務を経て再びフランスへ。マルセイユの二つ星レストラン
「プティ・ニース」で2年間修業を積みました。
帰国後はエコール 辻 大阪・フランス校の同期であった多田雄亮さんが当時勤務していた
ビストロワインバー「ラグー」(兵庫県)で共に働き、その後再び上京します。
(多田さんのレポートはこちら⇒ https://tsuji.fr/blog/sotugyo/_la_tablede_courage.html)
レストラン「モナリザ」で副料理長、料理長を経験した後は、料理人としてだけでなく
支配人兼シェフソムリエとしても活躍し、次のレストラン「ピエール・ガニェール・ア・東京」では
取締役・関連事業部長等と、料理の現場から一時離れ様々な仕事を経験しました。
そして2010年10月、「Restauran Sen」をオープンし、現在は常連のお客様が行き交う落ち着いた空間で、
舌に心に美味しく優しい料理を提供されています。
定休日には地元の主婦層に人気の料理セミナーを開き、また近くにあるルクセンブルク大使館で行われる
晩餐会の食事を依頼され出張料理人をすることも!素晴らしい経歴を持ちながら、
でもそんなバックボーンを微塵も出さず本当に気さくに素敵な笑顔で迎えてくれる丸山シェフ。
今でも昔勤めていたお店の常連さんが遠方からもわざわざ足を運んでくれるとか。
それでは、丸山シェフにフランス校時代を振り返っていただきましょう。
お店の外観・左が入口。写真右の通りの突き当たりに見えるのが靖国神社です
■ 開業するに至った経緯と苦心したこと
幼少の頃からレストランを持つことが夢でした。レストランにおけるすべての業務を経験し、
開業の準備が出来たかなと思ったのがきっかけです。
苦心したことは、やはり資金面でどの部分にどれぐらいの資金を割り当てるのかに頭を悩ませたことです。
■ お店のコンセプトと名前の由来
コンセプトは、「個室のある、やさしくておいしい幸せフレンチ」。
開業するにあたって、来られるであろうお客様をイメージして、予約からお帰りになるまでを
ストーリー仕立てで考えコンセプトを書き出すようにしていました。
詳しくはお店のホームページをご覧いただけたらわかります(笑)。
(http://restaurant-sen.jp/archives/category/restaurant-open/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%88%E7%B7%A8)
店内はベースとなるベージュ系が全体を包み、青や黄色・オレンジといった色が
心地よいアクセントになっていて、バランスの良い優しく落ち着いた雰囲気を作り出しています
■ 料理人としてやりがいを最も感じられること
お客様から「おいしい」という言葉をいただけたときです。
■ 仕事で常に心掛けていることや料理人として大切だと思うこと
お客様は料理だけを食べに来店するわけではない、ということをいつも心がけています。
料理人として大切だと思うことは、「ひとの2倍働いて、3倍頭を使う」こと。
遊び心の詰まった一品。ヨーロッパの緑のハートと呼ばれるルクセンブルクをイメージした
アミューズです。メインは真鯛のポワレ。いずれもとても手間のかかっていて丁寧で繊細なお料理でした
■ 今後の目標
お客様に小さな幸せを感じていただけるレストランを末永く続けていくことです。
また、ミシュランガイドの星獲得も目標の一つです。
■ フランス校で得たもの
10代の頃にフランスに留学出来たおかげで、海外での仕事や外国人との仕事に
スムーズに溶け込むことが出来たと思います。
フランス校時代の同級生とは今でも年に1回くらいのペースで同期会をしていますが、
みんなそれぞれに活躍しているのでとても刺激になりますし、お店をオープンしてからも
色々な面で支えてくれています。
(同期の岩崎出さんのレポートはこちら⇒ https://tsuji.fr/sotugyo/so090625.html)
お店の絵は全て教師であり美術の先生でもいらっしゃる二人の伯父様の作品
■ 今も記憶に残るシェフの言葉
「フランス人でも立派な料理人は汚い言葉を使わないものだよ」というアラン・シャペルのシェフ、
フィリップ・ジュス氏の言葉です。
あれから21年。私がお店をオープンした時にジュス氏がわざわざ来てくれたのですが、
サーヴィス中私の仕事をずっと見た後で「あれからシャペルのキッチンには沢山の
日本人がやってきたけれど、やっぱりお前が一番だよ」と言ってくれた時、全身が震えました。
■ 卒業して思うフランス校・スタージュの一番の魅力は?
スタージュすることにより、それからの人生での大きな支えになります。
苦しいことやつらいこともあると思いますが、それがその後の心の支えになると思うし、
またフランスに旅行や仕事で行った時に、自分を知ってくれているレストランがあることは
すごくすばらしいことだと思いませんか?
■ フランス校・スタージュ(実地研修)において印象に残っているエピソード
クリスマスは日本と同じで忙しいものだと思っていたらディナーは休みだと言われました。
クリスマスを重んじるフランス人スタッフは家族と過ごすためみんな家に帰って行き、
寮に帰るのは自分ひとりだけ。。。普段は誰かの車に乗せてもらうのですが
それも無いので10km離れた寮まで歩いて帰り、食べ物も買っていなかったため
カチカチのバゲットをかじった、寂しい思い出のクリスマス。
ポール・ボキューズ氏と一緒に(中央が丸山シェフ) 外来講師のジャルーシェフと
フランス校は、「夢という山の一合目」
フランス校を一言で言うならば、「"夢"という山の一合目」でしょうか。
目に見えないものだから登っているうちに頂上近くまで行っているのにあきらめてしまう人、
まだまだなのにあともうちょっとだと思って頑張っている人、平坦な方ばかり選んで上ろうとしない人・・・
今後を決めるのは"自分"です。
でもフランス校のときは間違いなく、夢という名の山に登る一合目に立っていますよ。
そして、頂上に着いた!と思ったらもっと高い山があります、きっと・・・
■ フランス校に進学する後輩たちへのメッセージ
自分なりに頑張るのではなく、人からおかしいと言われるくらい勉強してください。