一度本場に行って、自分の目でフランスの菓子・文化に触れて、フランス人の考え方を身につけたいと思い、フランス校留学を決めました。留学生活ももう半分が過ぎましたが、こちらで生活してみると日本とのたくさんの違いに気づきます。日本と比べてよいと感じるところもあれば、逆に日本よりも不便と感じることもあります。ですが、街にひんぱんに出るようになって、フランス生活に慣れてくるにつれて、その不便さも普通のことのように感じるようになりました。そして、こういう体験こそがフランス人の考え方を理解するうえで必要なんだということに気づいてきました。



とはいえ、フランス語に関してはやはりまだまだ苦労しています。ですが、最初のころと比べると、デュラン先生の言葉とか外来のシェフの説明を少しずつ聞き取れるようになってきて実習がとても楽しくなりました。



寮での生活は特に不便はないです。もちろん、共同生活ですし、日本の生活とはだいぶ違いますが、毎日楽しくやっています。唯一、インターネットの回線が非常に遅いので、ヴァカンスの予定を立てるときにちょっと苦労しました。でもフランスでは、プリペイド式の携帯wifiが売っているので、それを買っておけばなんとかなります。どんな状況でも、その場、その場でなにか対処法があるので、とにかく自分で行動して情報を集めることが大切です。



たとえば、フランスのバスは日本のように時間通りに来ることがまずなく、最長で１時間待たされたことがあります。最初はかなり困りましたが、色んなバスのコースを知ってからは、乗りたいバスが来なかったら別のバス停から別のラインのバスに乗って目的地まで行くことを覚えました。たまに間違えて全然違うところに行くこともありますが、そのときはバスの終点まで行って、もう一回同じバスに乗れば元の場所まで行ってくれるので問題ないです（笑）。あと、この地方のバスは日本とちがって１回１ユーロちょっとで、そのバスのコースの最初から最後まで乗れるのでバスで街を見るのも楽しいと思います。



リヨンの旧市街はとても楽しいところだと思います。一回は丘の上の大聖堂に行った方がいいです。すごい景色なので。少し大変だけれど、階段で登るのがおすすめです。旧市街から丘の上にむけて、いくつも階段があります。どの階段をつかっても、古いリヨンの町並みを体験しながら、ゆっくりとハイキング気分で頂上の教会まで行くことができます。いま本当に実感していることは、日本にいるうちに買い物ときとかに使う日常会話を覚えて来たほうがいい、ということ。そうすれば街に出るのが倍以上楽しくなると思います。



リヨンのパティスリー巡りはとても勉強になります。ほとんどの有名店のシェフがフランス校の外来講師としてデモンストレーションに来てくれていますが、実際にそのシェフのお店の雰囲気や、並んでいるお菓子、デコレーション、客層など、ひとつひとつのお店に色々な個性があって、見ていてすごく楽しいです。



学校の授業でも、ブルゴーニュ地方のワインのメッカ、ボーヌという街の有名ワイン生産者のもとを見学に行きましたが、最新のワイン工場をみることができ、１日とても楽しく勉強になりました。何より、とても広くて驚きました。工場見学の後にボーヌの街を散策する自由時間があったんですが、フランス校卒業生のお菓子屋さんもあって、驚きました。また、中世の城壁や昔の町並みを楽しむこともできました。



フランスにはまだまだこういった特徴的な街がたくさんあるんだろうなと思うとワクワクします。僕は研修を希望していますが、フランスのひとつの地域に住んで、フランス人と一緒に働くことは、自分の価値観を広げるための、とても貴重な経験ができるだろうなと思います。



最後に、休日、夜のまかないをとっているのが僕一人だけだった日に、休日当番だった先生が、僕の目の前で僕だけのためにコース料理をつくってくれたことがありました。心からうれしかったです。ひそかに現段階でのフランス校での一番印象的な思い出です（笑）



岩崎航平
IWASAKI Kohei
レクレール校 製菓 2013年秋コース
[エコール 辻 大阪]辻製菓マスターカレッジ 卒
出身高校：大阪・泉大津高等学校 卒