FRANCE

辻調グループ フランス校

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池北 涼治さん:調理・2013年春コース

在校生レポート

2013.07.10

1年次の夏に就職を本格的に考え始め、積極的に食べ歩きをするうちに、現代的なレストランで出される美しくおいしい料理に惹かれ、そういった店で働きたいと思うようになりました。でも、そんな先端の料理は土台なしには成り立たない。フランス文化や風土とともに原点に立ち返ってフランス料理を基礎からより深く体系立てて学びたい。そう思ってフランス校進学を決めました。

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1日のサイクルがハードで最初の1ヶ月は追われるように過ぎましたが、生活リズムに慣れて余裕が出てくるとコミュニケーションの大切さを感じるようになりました。フランスの文化を学ぶわけですから、授業はもちろんですが普段からフランス人と話をし、交流を楽しんでいます。交流のなかで最近の一番の思い出は、リエルグ村のベテランチームとの「サッカー親善試合」、そしてフランス人の家庭に招待してもらい交流する「家庭招待」です。

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サッカーはフランス人が大好きな国民的スポーツです。せっかくフランスにいるので、フランス人がどのくらい、どんな風にサッカーに触れているのかを見てみたいと思って、機械体操とバドミントンしか経験のなかった僕ですが、思い切って参加してみました。試合まで毎週末、グラウンドに練習に来る村の子供たちに混じって一緒に練習をしていましたが、本気の大人との試合が本当に楽しみでした。

結果は7対3で負けてしまい、本当にくやしかったですが、同時にとても楽しかったです。平均年齢45歳のベテランチームと聞きましたが、彼らはとにかく体力がすごいです。足のリーチも違いますし、体格も違いました。もちろんテクニックも!子供のころからサッカーに親しんできたフランス人の実力ですね。そんな彼らが、試合後の交流バーベキューでは、プレイのことを褒めてくれたり、いろいろ話しかけてくれてなんだかすごく嬉しくなりました。

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サッカー当日の様子はこちら https://tsuji.fr/blog/diary/post_329.html

そして家庭招待は週末、リエルグ村のご家庭にお邪魔して交流するフランス校の伝統イベントです。もう何年もフランス校の学生を歓迎してくれている近隣のフランス人のお宅にお邪魔して約半日を過ごしますが、おいしい家庭料理をご馳走になった後は、広い庭で家族みんなで卓球をしたりするのに参加して、フランス人がみんな家族との時間を大切にしていて、毎日の生活をすごく楽しんでいるんだなと感じることができました。

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仕事面でもこちらに来て知った新しい価値観があります。フランスで3ヶ月を過ごした今、フランスと日本では仕事における時間の観念が違うと感じています。日本は「何時まで仕事!」と決めると、思ったより早く仕事が終わっても時間が来るまで別のことをやろうとします。でもフランスでは早く終われば、早く切り上げて休憩したり、たとえ時間内に終わらなくても、時間がきたらしっかり休憩をとります。ある意味カルチャーショックでしたが、自分の時間を大切にするフランスならではの価値観から学べることがたくさんあると感じています。

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(写真左)厨房では常に料理の組み立てと作業の流れの計算、料理の数も多いのですべて時間との戦いです。
(写真右)毎週のように各地から有名現役シェフが講習にきてくれます。

食材の面でも驚きがありました。今、卒業制作のムニュ・スペシャルに向けて食材選びをしているんですが、日本の感覚で味を想像してメニューを組み立てても思っていたようにならないということがわかってきました。たとえば当初主材料として使いたいと思っていたウナギは、フランスのものは脂が多く、大味なものが多いということがわかり、再検討中です。こんなふうに日本と同じものでも、味の濃さが違ったり、扱い方が変わったりするので、とても勉強になります。このほか味の違いに驚かされるといえば、なかでも印象的なのは野菜やフルーツです。こっちのトマトは本当に甘いです。サクランボをはじめ、フルーツも全般的に味が濃くて感動的です。さすが農業大国フランスだと思い知らされます。

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(写真左)チーズの専門家による講義では数種類のチーズを試食。それぞれの特徴を学びました。
(写真右)季節ごとに色とりどりの野菜や果物が並ぶ市場に行くだけも勉強になります。

ところで僕は、日本では実家から通っていたので、一人暮らしや寮生活の経験がなく、この全寮制の生活に最初は不安でした。でも、実際はフランス料理・フランス菓子が好きな人ばかりが集まっているので、打ち解けるのに時間はかからず、3ヶ月たった今では家族のような存在になっています。

設備面に関しては日本人、フランス人の先生方のおかげでとても快適です。学校があるあたりは一面ブドウ畑で、自然豊かなので、よく散歩に出かけます。シャルキュトリー(主に豚肉加工品を売っているお店)に寄って、いろんなお惣菜を買ったり、朝は焼きたてのパンを買いに出たりします。今のところあまり観光名所には行けていないので、ヴァカンスが楽しみです。

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(写真左)サッカーのとき応援に駆けつけてくれた仲間たちと。見よ!このナイスコンビネーション!(笑)
(写真右)村人との交流を深めるため、リエルグ村主催の運動会に仲間とチームを編成して参加しました!

食べ歩きは、友達と3名でホテル・ブリストルのエピキュールに行きました。フランスで行く初めての3ツ星でした。味もさることながら、細やかな仕込みとフランス人ならではの組み合わせや色使いに驚きました。フランスの3ツ星の内装は想像以上です!

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また、3ツ星の何がすごいかというと、サーヴィスです。予約のときには日本語対応可能な人が対応してくれ、お店についたときも日本人のサーヴィスの人がテーブルに話しにきてくれて、(これはちょっと残念でしたが)メニューも日本語メニューが出てきました。お客さまがスムーズに楽しめるように心遣いがされているんだなと感心すると同時に、パリの3ツ星レストランに日本人のサーヴィスマンがいるということも、とても励みになりました。
食事が終わると、僕たちが料理人の卵だと察してくれたらしく、快く厨房を案内してくれ、本場の現場の雰囲気を見ることもできました。裏方で働く人の多さに圧倒されました。

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僕はこれから研修を目指してがんばっていきますが、正直、まだフランス語で苦労するイメージがあります(汗)。
でもフランス料理をもっと深く理解するために研修は最高のチャンスですし、がんばりたいと思います。そして、いまフランス校進学を考えている人にはぜひフランス校に来てたくさんのことを吸収することをオススメします。

僕はフランスは個人主義の国だと身構えていたので、ここにきてフランス人がとてもやさしいことに驚きました。どこに行っても、僕のつたないフランス語を一所懸命に聞き取ろうとしてくれるんです。また、彼らはお互いを尊重し合い、年齢・国籍・性別に関係なく他人に寛容でとても親切です。特に、さまざまな違いを認め受け入れるという姿勢は日本より強く感じられ、自分も見倣わなければならないと思っています。
シャトー生活はもうあと2ヶ月ですが、精一杯満喫して、研修に出たいと思っています!

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池北 涼治
IKEKITA Ryoji
レクレール校 調理 2013年春コース
[辻調理師専門学校] 調理師本科 卒
出身高校:奈良・桜井高校 卒