「地域プロデューサーとしての製菓技術者育成講座」収穫体験第2弾
(エコール 辻 大阪(辻調グループ、校長:辻芳樹)が、2014年より取り組んでいる和歌山県との共同プロジェクト「和歌山食材テロワール事業」全8回)
~「ひかえおろう」~
「和歌山むき」で食べてみました。
「いもむしむき」っていうのもあるみたいですが。
11月22日、今回はエコール辻大阪の製菓マスターカレッジの学生40名が収穫に出かけました。
さて、どんな体験になるのか。今回も盛りだくさんです。
先だって10月24日、産地から坂田寛樹氏(JAながみね・しもつ営農生活センター係長)にお越しいただき、講義「みかんテロワールについて」を実施。
和歌山のみかんについてご説明を受けました。
▲坂田寛樹氏(エコール 辻 大阪で)
11月22日曇り、いよいよ「みかんの収穫」に出発です。
岡本芳樹氏の岡本農園でのみかんの収穫作業の体験と、土井章弘氏のみかん貯蔵蔵の見学を中心に、最後は生産者の方々との交流会も行いました。
和歌山県はみかん(ウンシュウミカン)の収穫量日本一。
和歌山のみかんと言えば「有田みかん」が有名ですが、今日の訪問先は海南市下津町。
「しもつみかん」として地域団体商標登録されています。
日本農業遺産に認定された「しもつ蔵出しみかんシステム」により、糖と酸の絶妙なバランスを生み出します。
ブランドには糖度13%以上の最高級品「ひかえおろう」、12%以上の「雛みかん」などがある。
「ひかえおろう」は全体の1%という貴重なものなのだそう。
しもつ蔵出しみかんシステム
このシステムに組み込まれている「みかん貯蔵蔵」は、急斜面の段々畑に木造・土壁で造られており室内の温度、湿度を一定に保ち、糖や酸味のバランスが良くなるまで貯蔵される。
▲蔵の内部(12月になるとと左の棚の箱にみかんが入る)
一般のみかんに比べてかなり労力がかかり、蔵の中では毎日手間暇を惜しまず空気の入れ替えや品質管理を行い、約2か月後に出荷が始まる。(それでも15%くらいはかびや傷みで出荷できなくなるそう)
選果場にて形、色、糖度のチェックなどを行った上で品質・サイズ別に箱詰めされ出荷されていく。
※蔵に入れるみかんは晩生(おくて)と呼ばれ、温州みかんの中でも一番最後(12月以降)に収穫される品種の総称。
これらは皮があつく酸味も強いのが特徴で、貯蔵することで甘くおいしいみかんに変身させる。
みかんとお菓子の神さま
次にお邪魔したのが、橘本(きつもと)神社。
みかんの先祖と言われる「橘(たちばな)」(かんきつの一種)の木が植えられ、みかん発祥の地であるとともに、橘は昔は加工して「お菓子」として食されていたことから、ここではその両方の「みかんとお菓子の神様」が祀られている。
前山和範宮司よりそれらの説明を受け、みかんの資料館「常世館(とこよかん)」の見学をした後、みかん畑に。
▲橘(たちばな)の木
▲橘(たちばな)の実
▲橘本神社
みかん畑
いよいよみかんの収穫体験。
岡本農園でおいしいみかんの見分け方などを聞きながら、みんな楽しそうに熱心に収穫していました。
今回収穫体験させていただいたのは早生(わせ)のみかんで、これらは蔵には入れずそのまま選果場に運ばれ出荷される。
選果場
選果場ではコンピュータ管理された選果システムを見学。
▲選果ライン
交流会
次に生産者の方々との交流会ですが、それに先立ち大庭先生。
通常は捨ててしまう摘果(てきか)みかんをなんとかうまく利用できないかと、現地に7月と9月に赴き、摘果作業を行い、学校に持ち帰って11月のみかんも含め3種類のマーマレードを製作していました。
※摘果(てきか)...よい果実を実らせるためや枝を保護するために、余分な果実をつみ取ること。
▲1回目の摘果みかん(7月)
▲2回目の摘果みかん(9月)
▲マーマレード製作
このマーマレードをテーマに生産者との交流会では、何と併せると良いか、商品化するにはどうすれば良いか、などについて話し合いをし、最後に発表会を行いました。
▲左から11月のみかん、9月の摘果みかん、7月の摘果みかんのマーマレード
生産者や女性会の方々を交えて3種類を食べ比べ、自分の意見を出し合い、その意見をまとめて発表しました。
このマーマレードは来年の辻調グループ・フェスティバルで食べられるかも。
▲発表の様子
最後に「とれたて広場」でみかんの流通の現状の話を伺って帰路に。
お疲れさまでした。