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塚越 慎之介さん 研修先:「Patisserie MONNET」

研修生レポート

2013.01.29

塚越 慎之介さん
TSUKAGOSHI Shinnosuke
山梨・塩山高校 卒業
[エコール 辻 東京] 辻製菓マスターカレッジ 卒業
2012年春コース エスコフィエ校 製菓研究課程
研修先:「Pâtisserie MONNET」

今回のレポートは「パティスリ・モネ」で研修中の塚越くんです。
このパティスリは、リヨンからもエスコフィエ校からも30kmほど東、
電車で20分ほどのモン・リュエルMontluelという町にあります。
パティシエにとってはハイシーズンの12月を乗り越えた、元気なレポートが届きました。

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(左)モネシェフとは外来講習の助手をつとめたときからのご縁を感じます!
(右)「町のお菓子屋さん」という雰囲気がぴったりのフランスの地元に根付いたお店です。

「フランスの小さな町の大きなお菓子屋さん」
僕のスタージュ先は小さな町の地元に根付いたパティスリです。
外から見ると小さいパティスリーですが、
中に入ると外観や店舗からは想像できないくらい広い厨房があります。
基本的な仕事をするラボ、アイスや冷凍を利用するガトーのときに仕事をするグラッスリー、
チョコレート製造をするショコラトリーの三つに分かれています。
シェフの指示でそのつどそれぞれの場所をうまく利用して仕事を進めていきます。

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(左)朝の10分休憩にシェフとマダムと。とてもフレンドリーです。
(右)遊びごころ満載のお菓子のカート。注文が入ればこんなお菓子もつくります。

住んでいるところはお店の二階です。
部屋は一人で、とにかく感動したのは湯船があることです。
ほかは狭いですけど十分快適な部屋ですね。
食事は店の隣のシェフの家で家族と一緒にとります。

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(左)僕の部屋の机。「質実剛健」のコトバを胸にがんばっています!
(右)シェフの家での食事風景。常にフランス語で話すしかないので勉強になります。

「やる気を見せて、どんどん吸収」
いまは毎日一人前のガトーのフィニッションをしています。
その後はシェフの指示でいろいろな仕込みをします。
やっていることは研修を始めたころとあまり変わりはないのですが、
新しいクリームや生地の準備、製造を任されるとやっぱりうれしいですね。
フランスのパティスリに自分がつくったお菓子が並んで、
それをフランス人が買って行ってくれるんですから!
だから新しいことをもっと任せてもらえるよう、シェフや他のパティシエの動きを見て、
器具の準備などを先にして、毎日アピールしています!

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(左)広いラボを動き回る毎日。仕込みの量もシャトーとは違います!
(右)自分が仕上げているお菓子いろいろ。

「フランス人と働く、それが醍醐味です」
研修中、仕事仲間はもちろんフランス人です。
スタッフは仕事のみの交流ですが仕事のことを聞くと、
僕の下手なフランス語を一生懸命理解しようと聞いてくれます。
そして簡単な単語で動作をつけて説明をくれます。
シェフはとにかく仕事には厳しいです。ラボの中ではけっこう怒っていることが多いです(笑)
スタッフのする仕事で、シェフが気に入らない思ったら、必ず注意がきます。
でも、ただ怒るだけではなくて、必ず説明と動作をしてくれます。
そしてラボを出ると仕事のことは忘れます、まさにフランス人だなと思いますね。
そしてさらに、家に帰ると普通の二児のパパです(笑)

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(左)仕事場では厳しいけど、仕事が終るとやさしいパパになるモネシェフ。
(右)愛する娘の名前のついたお菓子「エナ Hénna」。

「プライベートも楽しんでます!」
プライベートの時間や、特に休みの日には僕はとにかく出かけます!
外に出ればいろんな経験や新しいことに出会えますから。
特にパティスリーやレストラン巡りには力を入れています。
行ってみたい町を決めて、次にその周辺を調べていきます。

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(左)やっぱり欠かせないのはレストランやパティスリのガイドブック。
(右)リヨンの老舗「ピエール・オルシ Pierre ORSI」に食べ歩きへ。オルシ氏とのツーショットに感激!

あるとき、カンペール焼き『陶器』が欲しくなって、思い立ちカンペールまで行ってきました。
まずルートを考えレンヌ、カンペールの順に向かいました。
もちろんパティスリー巡りもしました。
レンヌではルレ・デセールに加盟している
M.O.F.(フランス最優秀技術者)のお店「LE DANIEL」に行きました。
日本人の有名パティシエも修業をしたりしているお店です。
僕は食べ歩きのために、常にマイ・フォークを持っているのでTGVの移動中に食べました(笑)。

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(左)カンペール焼きは素朴なのに本当に味わい深い陶器。ブルターニュ地方の特産品です。
(右)移動中のTGVにて。マイ・フォークで「ル・ダニエル」のお菓子をいただきまーす!

近所にもよく行くお店があります。家から徒歩1分!手作り雑貨のお店です。 とにかくかわいいです!
僕はこの店で材料を買って、ちょっとした小物ケースを作ったりして楽しんでます。

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(写真)製菓材料もそうですが、こういう材料を見るとわくわくして創作意欲がわいてきます!

「研修で学んだのは"切り替え"」
研修に出て一番よかったことは、「切り替え」を知ったことでしょうか。
シェフが仕事とプライベートをしっかりと切り替えているように、
僕も仕事でどんなにミスをしても、反省しても、引きずりはしません。
一度のミスで思い悩んで一日を無駄にするよりもその後の仕事でミスを巻き返すくらい頑張っています!

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(写真)お店で出しているアントルメのいろいろ。色使いが印象的です。

あと学校で習ったことの復習や学校との違いの利点を知ることができました。
たとえば、店ではとにかくつくる量が多いので、
ずーっときれいな状態の手や器具で作業を続けるというわけにはいきません。
なるべく同じ状態を保ち、もう汚れないと判断した時点で手を洗ったり、
器具を洗い場に移動したりすることを学びました。
また、一日の動きを考えた器具や材料の片付けも身につきました。
無駄に出し入れはしません。
まだ使う可能性のあるものは最低限の洗い物ですませ、材料は近くに保ちます。

学校で学んだことはとても役に立っています。
研修のおかげで実際のお店の方法と比べることで、
自分の中でそれぞれのやり方のいいところ、工夫の仕方が、よくわかってきました。

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(左)お客さんからの注文に応えて、サッカーコートをモチーフにしたお菓子を製作中のシェフ。
(右)ホールケーキだけでなく、カットケーキもいろいろあります。

「後輩のみなさんへ」
僕は研修で、心が強くなりました。
シャトーを出て、フランスという外国の中で生活しているんだということを前よりずっと強く実感しています。
お菓子のこともたくさん学べたのですが、一番はまったく違う土地にきて、
そこで自分でちゃんと生活することができたこと、それが一番の自信になってます。
これから留学を目指す人、お菓子の道に進もうと思っている人には
「笑顔と努力を忘れないこと」、 それを伝えたいですね。
努力をしている人を見ると『すごいな』と尊敬しますし、
笑っている生活の方が普通の生活の何倍も楽しいと感じているからです。
そして迷ったときには「自分の思ったとおりにとにかく進むこと」です。
僕は小学生のころからパティシエになりたかった僕が、いまこうしてフランスで学んでいるのは
率直でまっすぐな父の影響が大きいと思いますし、いま改めて感謝しています。

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広いお風呂場の鏡に向かって、ハイ、ポーズ!(笑)