Le Procope (ル・プロコープ)
今回の食べ歩き日記ではパリで最も古いレストラン ル・プロコープ(Le Procope)を紹介します。
はじめにお店の歴史を少し紹介します。
皆さんはパリで初めてカフェを開店したのはいつ頃だと思いますか。
ルイ14世の時代にアルメニア人のパスカルという人物がパリで初めてカフェを開きました。
そのカフェの従業員だったシチリア人のフランチェスコ・プロコピオ・ディ・コルテッリが1686年、36歳の時にル・プロコープというカフェを開きました。今年で337年目になる老舗のカフェ・ レストランです。
名前のプロコピオをフランス語にするとプロコープと言います。 創設者であるプロコピオはフランスでコーヒーを楽しむ場所を作り、初めてジェラートを売った人物です。当時は一般市民向けではなく貴族や芸術家たちの社交場でした。
また当時カフェという場所は女人禁制でしたが、プロコープは女性にも門戸を開きました。次第にカフェというスタイルがパリ中で熱狂的にはやり、1700年ごろには300軒ほどカフェができたそうです。 今では当たり前のようにあるカフェやジェラートもこのプロコープから市民へ広まったと言われています。
そこから3世紀を経て、現在も同じ場所で変わらず営業を続け、今ではフランスの伝統を感じられる料理が楽しめるカフェ・レストランになっています。
内装は赤と金を色調としたシチリア風で、貴族や芸術家たちを虜にするような造りとなっており、とても素敵です。 訪れればその歴史を現在まで維持していることへの驚きと、多く人に愛されているレストランということを同時に感じることができるでしょう。 入店してすぐに2階へつながる階段があり、周りには著名人のサインや写真がいくつも飾られていました。
お店は1階と2階があり、テラスも含めて370席あります。 デートや会食など人数問わず様々なシチュエーションで食事が出来るよう大部屋から個室まであり、店内のどこを見ても素敵なインテリアが数多くありました。まるで3世紀前までタイムスリップしたような気分を味わう事が出来ます。
平日のランチタイムで食事をしました。
1階席は3フロアに分かれており、どのフロアも満席で観光客はもちろんですがフランスの現地の方々にも人気のレストランだと感じました。
今回はアラカルトで5品いただきました。
1品目は
Soup à l'oignon gratinée à la parisienne
まずパリ風のオニオンスープです。 メニュー名に地名が入っていることからお店でもよく提供される1品だそうです。玉ねぎをキャラメル色になるまで炒め、しっかり甘味を引き出しながら水分を飛ばします。そこに鶏のだし汁を加え、味を調節します。 仕上げはスープの上にバゲットとチーズをのせ、オーブンでグラタンのようにチーズを香ばしく焼いて提供します。この仕上げ方はパリ発祥と言われています。オニオンスープのうま味をたっぷり吸収したバゲットが口の中でじゅわっと広がり、チーズの香ばしさがある飽きのこないスープでした。
2品目は
Feuilleté de bar aux cèpes
魚料理は鱸のポワレです。皮はパリっと香ばしく身の方はしっとり火が通されていました。ソースも古典的なブール・ブランで白ワインと白ワイン酢の酸味とバターのうま味が鱸ととても相性が良く、周りにかけられているエスペレット唐辛子もアクセントになっていました。つけ合わせはほうれん草のバターソテーとセップ茸のクリーム煮で、 素材をいかした味に仕上げていました。パイ生地は焼けた小麦粉とバターの香ばしさがあり、ふわっとジューシーに焼かれた鱸の食感とよく合います。
3品目は
Vol-au-vent de volaille
肉料理は、鶏の胸肉と鶏のムースをパイ生地で具材を挟み、たっぷりのソースをかけた料理です。今ではレストランでなかなか出会う事がないクラシックな1品です。下からパイ生地、ほうれん草のバター炒めと角切りにしたシャンピニョンクリーム煮、ロティした胸肉、モリーユ茸を贅沢にたっぷり使用したのクリームソース、鶏のムース、パイ生地で挟むように盛り付けられていました。
名前のVol-au-vent ヴォルオヴァンとはパイ生地の器に具材や濃度のあるソースを詰めることを言います。お店の盛り付けは中の具材が見えるように工夫をされていました。ソースの甘味と鶏肉やモリーユ茸のうま味が老若男女問わす好かれる味だなと感じました。
4品目は
Traditionnel coq au vin "Ivre de Juliénas"
この料理は昔から変わらないレシピで作られている鶏の赤ワイン煮込みです。ボジョレー地区のAOCに認定されているジュリエナ村の赤ワインを使って作られています。また、濃度を付けるため鶏の肝が使用されていて鶏を余すことなく使用し、赤ワインの風味と重厚感を生かした奥深いコクのあるソースでした。鶏肉はもも肉と胸肉の2種類が盛りつけられていて、ナイフがいらないぐらい骨からスッと身が離れるほど柔らかく仕上がっていました。
5品目は
Crêpes flambées au grand marnier cordon rouge
最後はデザートでオレンジのクレープフランベです。お店のサーヴィスの方が目の前で作ってくれました。ソースにはたっぷりのバターとオレンジジュース、そこにクレープ生地を入れてしっかり絡ませて煮詰めます。そしてオレンジのリキュールであるグランマルニエをたっぷり使用し、一度アルコールを飛ばすためフランベをします。とっても素敵な演出ですよね。たっぷりのバターが生地にしみ込みオレンジの甘味と酸味、グランマルニエの香りが丁度よく、目分量でスマートに作業をしているサーヴィスの方にも感動しました。
そして最後にプロコープで最も有名な話を1つ皆さんに紹介します。
フランス革命で有名なナポレオン1世のナポレオン・ボナパルトも若き日にこのプロコープに訪れ、お代の代わりに帽子を置いていったそうです。
この帽子は現在も店内のガラスのショーケースに入れられ大事に保管されています。古き良き歴史とおいしい伝統料理が詰まったレストラン ル・プロコープ。 お店に訪れた際には料理と共に歴史を感じる写真を撮ってみてはいかがでしょうか。
ル・プロコープ Le Procope
住所:13 rue de l'Ancienne Comédie 75006 Paris
電話:01 40 46 79 00
https://www.procope.com
Instagram :restaurantprocope1686