FRANCE

辻調グループ フランス校

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製菓外来講習 M. Nicolas BONNARD(ニコラ・ボナール)

フランス校教壇から

2023.03.16


今回の製菓外来講習はいつもと違ってお菓子ではなくパンがテーマで、お越しいただいたのは二コラ・ボナール氏です。

ボナール氏はブルゴーニュ地方の製粉会社NICOT社で専属講師を務めた後、リヨン旧市街の入り口に人気ブーランジュリーのオーナーシェフとして腕を振るわれていました。惜しまれながらの閉店となりましたが、現在はフランス国内外問わず、パンの技術指導に取り組まれています。

今回は5種類のパンを披露していただきました。

BAGUETTE DE TRADITION FRANÇAISE バゲット・ドゥ・トラディスィオン・フランセーズ 写真右

フランスで日常的に食べられる伝統的なバゲットです。とてもシンプルですが焼く前の生地はとてもソフトで取り扱いが難しく、成形の際に無駄に触りすぎないよう細かく指導してくださりました。ボナール氏曰く、表面の切込みはそのお店の「看板」といえ、それほど重要だそうです。

PAIN BEAUJOLAIS パン・ボジョレ 写真左

「ボジョレ」の名前の通り、生地に使用する水分だけはフランス校のある地域で作られる赤ワインのみ!焼いてしまうとアルコールも抜けて豊かな香りに満たされます。具材にソーセージとヘーゼルナッツを使用し、成形もソーセージに似せています。

SEIGLE AUVERGNAT セーグル・オーヴェルニャ 写真右

グルテンを含まないライ麦粉(セーグル)で作られたパン。小麦粉とは異なる独特な香りと酸味、グルテンを含まないため歯切れの良い食感などが特徴です。一見、焦げているようにも見えますがボナール氏は「これぐらいしっかり焼いてちょうどいい」とおしゃっていました。

PAIN MEULE DE PIERRE SUR LEVAIN パン・ムール・ドゥ・ピエール・スュール・ルヴァン 写真左

昔ながらの石うすで作った粉を使用し、製法もイーストではなく天然酵母を使うという伝統的な食事パンです。ルヴァンと呼ばれる発酵種を使用するため酸味と旨味をしっかりと感じることが出来ます。

PAINS AROMATIQUES パン・アロマティック 写真右

アロマティックとは「香り・芳香のある」という意味で、中に様々な具材を入れることでバリエーションを出すことが出来るパンです。今回はレーズン、クルミ 、を加えましたが、チョコレートとオレンジ、ミックスハーブに焼いたベーコンとシェーブル(山羊のチーズ)、乾燥トマトとオリーブ、といった組み合わせもおススメだそうです。

COURONNE BORDELAISE クーロンヌ・ボルドレーズ 写真左

上のバゲットの成形違いです。フランス西部のボルドーで見ることが出来る成形方法です。このように地方のパンなども色々と説明してくださりました。






今回のアシスタントは生地の分割から成形までたくさんの作業を体験することが出来ました。

フランス校の実習でもクロワッサンやブリオッシュといったパンを作っていますが、生地が変われば扱い方もまったく異なります。普段の生地よりも繊細に、慎重に慎重に。

パン生地の製造手順や生地の発酵に最適な温度の計算の仕方といった理論的な説明はホワイトボードを使って一から丁寧に教えてくださりました。フランス語だらけのホワイトボードですが、5カ月のフランス校生活で全て理解できるようになります!

こうして2日間のパン講習は手も頭もフル回転して充実したものとなりました。

アシスタントを務めた研究生のコメント

「普段の実習ではクロワッサンやブリオッシュなどを作っていますが、今回の様な伝統的なパンはじめてでした。いつもと違う生地は取り扱いが難しく、手にくっついて成形が上手くできませんでしたがボナール氏の作業を見ながらなんとか上達できました」

「パン生地を扱うときに手に粉をつけることが通常ですが、ボナール氏は生地によっては手に水を付けて作業していてとても驚きました。作り方だけでなく発酵や温度管理など理論的な事も多く学びました。」

「ただパンを作るだけでなく、地方によってさまざまな成形やそのパンの成り立ちを教えてくださりました。今回のようにワインを入れるなどの特徴の出し方などはとても参考になりました。」

「いつものパン実習とは違う生地でしたが、次に何が必要かなど予想をしながら動くことができ、頭の中が整理されてとても良く覚えることが出来ました」

Merci,M. BONNARD!!