CLOWN BAR(クラウンバー)
お洒落な雑貨店に最新のアパレルショップやアートギャラリー、新規オープンのバーやレストランが軒を連ね、流行に敏感な、感度の高い美食家たちが集まる、パリ11区の北マレ地区。今回食べ歩きで訪れたのは、その北マレ地区にあるCLOWN BAR(クラウンバー)です。
聞いただけではレストランとは思えない、そのユニークな店名は、同じ通りにあるCirque d'hiver(シルク・ディヴェール)というサーカス小屋にちなんだもので、元々は、既に1世紀以上の歴史を持つ老舗ビストロでした。1995年にはパリ市から歴史的建造物にも指定されています。
そのビストロを2014年に買い取り、リニューアルをプロデュースしたのは、パリ2区のSATURNE(サチュルヌ)。北欧モダンのインテリアに、高品質の素材を用いたシンプル&スタイリッシュな料理と自然派ワインの組み合わせで、群雄割拠のパリグルメ界を席巻した超人気店ですが、クラウンバーのリニューアルに当たっては、歴史的建造物に指定されている元々の内装をうまく活かし、昔ながらのビストロの雰囲気はそのままに、モダンでカジュアルなスペースに作りかえることに成功しています。
そして、現在、そのクラウンバーでシェフとして腕を振っているのは、フランス校シャトー・エスコフィエ卒業生の渥美創太(あつみ そうた)さん。VIVANT TABLE(ヴィヴァンターブル)のシェフとして、パリのグルメたちの間では既にその名を知られた存在であった渥美さんですが、サチュルヌがプロデュースする新生クラウンバーのシェフに抜擢されたことで、一躍話題の中心に躍り出た感があります。現在、パリで多くの日本人の料理人が活躍しているのことは周知の事実ですが、その中でも、今一番勢いがあり、今後が最も期待される若手料理人として、日仏のメディアで度々取り上げられています。
クラウンバーのメニューはア・ラ・カルトのみで、タパス的な小皿料理、前菜、主菜がそれぞれ約5種類ずつ。チーズ盛り合わせが1つ、デザートは3種類用意してありました。価格は7~28ユーロ。ワインはもちろん自然派のみのラインナップで、リストにはボトルの値段しか記載されていませんが、好みを伝えればグラスでも提供してくれます。
今回は、小皿料理から2品、前菜から1品、主菜から2品、デザ-ト3品を頂きました。(デザート担当は若い日本人女性です)。
huître/cresson
殻ごと1分間ポシェした牡蠣にパウダー状のクレソンとオリーブ油を合わせている。たっぷりとした牡蠣の濃厚な旨味とヨード香に、クレソンとオリーブ油の爽やかな苦味と風味がマッチして美味しい。
bulot panéビュロ・パネ
一口大に切ったビュロ(巻貝の一種)をパネして揚げたもの。アイオリにパウダー状の唐辛子が散らしてあるので、雰囲気はまるで日本の居酒屋の定番おつまみである鶏軟骨とマヨネーズ。
saint-jacques/ricotta fumée/radis帆立貝/リコッタ・フュメ/ラディッシュ
軽くポシェした帆立貝に、生のラディッシュと燻製にかけたリコッタチーズを散らしたもの。
ris de veau/palourdeリ・ド・ヴォー/パルルド
やや強めにアセゾネされたリ・ド・ヴォーの表面はカリッとキャラメリゼされ、中のクニュっとした食感と魅惑的なコントラストを奏でる。そこにパルルド(浅蜊)の旨味が重なり重層的な美味しさを演出。たっぷり盛られたアスパラガスの緑とのコントラストも美しい。
pigeon/aubergine鳩/茄子
完璧な火通しで、力強さと繊細さを引き出した鳩と、オーブンで焼いた後、油で揚げて味を凝縮した茄子、生卵黄のエスプーマの組み合わせ。お皿も同系色で合わせ、ブリュットなデザイン性を持った一皿。
tarte au citron/sésame/mielレモンのタルト/胡麻/蜂蜜
レモンのタルトの生地に胡麻が練りこんである。プチプチの食感は楽しいが香りはあまり感じない。クリームに合わせてある蜂蜜はレモンとは間違いのない相性。
chocolat/foinチョコレート/干草
干草の香りを移したチョコレートのムースにグラス・ア・ラ・ヴァニーユを添えて、キャラメリゼしたヘーゼルナッツで食感のアクセントを付けている。味もデザインもシックな一皿。
fraise/vanille苺/ヴァニラ
フレッシュ、コンポート、グラニテという苺の3種のデクリネゾンに、クレーム・パティシエールの小さなパイで食感をプラス、グラスは定番のヴァニラで苺とは黄金の組み合わせ。
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CLOWN BAR(クラウンバー)
住所:114 RUE AMELOT, 75011 PARIS
TEL:01 43 55 87 35
HP:http://www.clown-bar-paris.fr/