Le Benaton(ル・ベナトン)
今回紹介するのは、ブルゴーニュワインの聖地ボーヌを代表する1ツ星レストラン"Le Benaton"です。
長年ボーヌに訪れる人々から愛されたレストランは、長年スーシェフをしていた杉村圭史氏が2015年9月よりオーナーシェフ(共同経営)となりました。
シェフの杉村圭史氏は、1996年に辻調グループ・フランス校シャトー・エスコフィエを卒業、その後"Le Benaton"で研修をされ、日本で約10年間経験を積まれた後、学生時の研修先でもある"LeBenaton"で働き始めます。
アルコールを好んで飲むことのなかったという杉村氏ですが、ボーヌという場所ということもあり葡萄栽培者やドメーヌを回りながら、試飲をしていくうちにお酒が好きになってきたそうです。
2013年に行われたパテ・アン・クルートの世界大会では見事優勝するなど実力を兼ね揃えた杉村氏に転機が訪れます。日本人の方とフランス人の前オーナーから経営権、店舗を買い取り、共同経営のオーナーシェフになりました。
夫人の樹里さんは、もともと料理人でしたが結婚、経営を機にサーヴィスに携わっています。
お店の規模は約30人程度がゆったり座れるぐらいの大きさで、夏は裏庭をテラスとして使用しているそうです。
34€、60€、79€、95€のメニューがあり、4~6皿構成になっています。もちろんアラカルトも準備されています。
ワインリストにはボーヌならではのワインが並んでいますが、2度見をする値段です。
今回は下記メニューを選びました。
Menu Terre et Mer ( 2 plats au choix + Œuf Croustillant + Fromages et dessert ) 95 €
Amuse-bouche
左:滑らかなフォワ・グラのムースに軽いクレーム・ド・クリュスタッセを合わせた1品。
右:泡状の栗のスープにホタテのスナッケ(さっと焼いたもの)、栗、今が旬のトリュフ・ブルゴーニュがたっぷりとスライスされており食材の甘味とフランスの香りを感じる1品でした。
Pâté en Croûte( Pigeon, faisin, foie gras, ris de veau, cèpe ) Pickles maison, kumquat <Vic champion du monde 2013>
2013年にパテ・アン・クルートの世界大会で優勝を勝ち取った1品。
鳩、雉、子牛の胸腺肉、セップ茸などを使用し、真ん中にはトリュフ、フォワ・グラと肝蔵を使用しセップの形を表現した見た目にも可愛らしいパテ・アン・クルート。
金柑のチャツネ、焼きナスのピュレ、季節の野菜のピクルスなどが良いアクセントとして添えられている。
きっと時間が経つと食べたくなるフランスの思い出の味になります。また食べたい!!!
L'Œuf mollet croustillant Caviar " Perle Noir" écume de pomme de terre, anguille fumées
パータ・カダイフを巻き付けて揚げた半熟卵。その上のキャビアが塩味のバランスをとっている1品。
ガンベロッソのポワレが添えられ、ジャガイモのエスプーマの下には食感と香りのアクセントでフヌイユとウナギの燻製のソテが隠れている。
Filet de bœuf « Galice » poêlé, légumes saison, jus vin rouge et cassis suppl 5€
スペイン・ガリシア産の牛フィレのポワレには、程よく酸味が効いたカシス風味の赤ワインとポルト酒のソースがデッサンされている。
付け合わせには、グラッセ、ピュレ、生スライスといったバリエーション豊かな人参が牛肉の味を引き立てたり、ソースの味を丸くさせたりと重要なアクセントの一つとなっている。
Mont d'Or Chaud et froid
フランス、スイスの国境付近のジュラ地方で作られるモンドールは9月~5月までの限定発売。
温かくフォンデュ状にしたものとそのままのものの食べ比べが出来る。溶けたモンドールは本当に美味しい!!
Le Dessert
Meringue Souple, crème de mascarpone
きめ細やかな乾燥メレンゲの球体の中にマスカルポーネのクリーム、バナナのピュレ、イチゴが入っている。
デザイン性が強く見えるイチゴのクーリーの酸味が皿のバランスをとっている。
Les Mignardises
上:プラリネ・ショコラにフィヤンティーヌ
下:チョコラブランにクレームパッション、ノワゼット
【感想】
実は杉村氏に取材をした私はフランス校シャトー・エスコフィエで同級生という事もあり、食事後にゆっくりと話をする時間を作って頂きました。
オーナーシェフになって約1年経ちましたが、変えたことはほとんどないそうです。ボーヌに住む古くからのお客様の事を考えると急ぐ必要が感じられず、実際ここ数年は杉村氏がメニューを考え調理していた為、更なる変化を求めていないということでした。しかし、来店されるお客様は「日本の要素が含まれている料理になって良くなった」などと評価されるそうです。
今後はゆっくりと現状と向き合いながら、人とワインに恵まれたボーヌという土地で息長く頑張っていきたいという事でした。
Le Benaton(ル・ベナトン)
25, Faubourg Bretonnière
21200 BEAUNE
Tel : 03 80 22 00 26
reservation@lebenaton.com
http://www.lebenaton.com/
定休日:水曜、木曜昼、土曜昼