FRANCE

METT (メッツ)

フランス校 食べ歩き日記

2024.12.09

今回私はフランス校から車で30分の場所にあるLurcy(リュルシー)という街にあるレストラン『METT』(メッツ)に行ってきました。

お店のすぐ側にはリュルシー(サン=テティエンヌ)教会があり、少し高台に位置しています。
ここは9世紀に聖ステファン(殉教者)の加護のもと建てられ、リヨンにあるメトロポリタン教会の一部でした。

そんな閑静な住宅地の中にも関わらず店内は予約席でいっぱいでした。もちろん私たちも事前に予約をしています。予約必須です!

METTのシェフであるM.Nicolas Dousset(ニコラ・ドゥセ氏)は、幼い頃より料理をし、なんと13歳の時には料理を職業にしようと決心するほど情熱を注いでいたそうです。ミシュランの星付きレストランでの修業を経て、2021年1月ニコラ氏が40歳の時に自身のお店『METT』をオープンしました。ちなみにニコラ氏はフランス校のフランス人シェフであるナレ先生とお友達だそうです!今回そのご縁もあり、お店に伺わせていただきました。
また、奥様であるMme Marion Dousset(マリオン・ドゥセ氏)は、美食家の父のもとで育ち、ホテルにてホスピタリティとレストランでの仕事を学んでいます。お店に入るとマリオン氏に笑顔で出迎えてもらえます。

METTには面白いメニューがあります。写真左側はよく見かける、料理やデザートを選ぶメニューです。しかし右側のメニューには品数だけ書いてありますが、内容が全く分かりません。
私はその右側メニューの中からMenu inspiration(ムニュ・アンスピラスィヨン)を頼みました。カルト・ブランシュと言って、どんな食材が使われているか、どんな料理やデザートが出てくるのか提供されるまでわからないメニューなんです!

そのため、普段なら料理に合わせて頼むワインも、魚が来るのかお肉が来るのかわからなかったので、どちらが来ても組み合わせ良く、且つボジョレ(フランス校のある地域)であるロゼワインを選びました。ぶどうの香りを持ちつつもさっぱりとした後味はどんな料理が来ても相性がよさそうです!

何が来るのかわくわくした気持ちの中、運ばれてきた1品目がこちらです。




ガランガル(生姜に似ており、辛味が強く、東南アジアの料理に使われる植物の根茎)のクリームの上に塩の効いたレモンコンフィ、ぴりっと辛いカプシーヌの葉、ガンバス(海老)、丸く薄くカリッと焼かれたパンの上にピキオスという赤ピーマンの燻製ソースが盛られています。客前で、リンゴで甘みをプラスしたトマトのガスパチョをかけてくれました。

下にはガンバスのエキスたっぷりのパンナコッタ、その中に夏野菜と乾燥トマトを小さくカットしたものが入っています。残暑が続いた今年のフランス。そんな時期に食べるにはさっぱりしていてとてもぴったりでした。

続いて2品目はお魚です


Lieu jaune(リュ・ジョンヌ)というタラ科の魚の上に、鮮やかなパセリのゼリー状シート、ケイパーとオレンジのパウダー、下にはナスのカポナータのピューレが敷いてあります。ソースには魚の骨からとった出し汁に、香り付けでパセリとオレンジが混ざっています。

パセリシートの下には、パリパリに焼き上げた薄い生地の中に、ジャガイモのムースが入っていました。

続いて3品目はお肉です。

メインはポワレ(蒸し焼き)した鴨肉です。ポティマロン(かぼちゃ)のソテーとピューレ、ポレンタ(粗挽きトウモロコシ粉を練ったもの)のコロッケ、薄切りにした赤ビーツを何層にも重ねて形にしたものはソースをしっかり含んでおり噛むたびに中から溢れ出てきました。そのソースにはピノ・ノワールの赤ワインやジュニパーベリー(ジンの香りづけに使われるスパイス)を使用して香りをつけています。上にはほうれん草や蕪のピクルスが添えられています。

最後はデセールです。

この黄色いマシュマロが柑橘であることは分かるのですが、何の種類か分からず「柚子かな・・・。」と話していると遠くから「Ce n'est pas yuzu~♪(柚子じゃないよ~♪)」と声が・・・。とても悔しいです!
正体は酸味の効いたカラマンシー(柑橘類)のマシュマロでした!いちごのメレンゲと濃厚なチョコレートクリーム、チュイル、シトロン・ノワール(レモンを塩茹でし乾燥させたもの)のソルベ。シトロン・ノワール(黒いレモン)は私も初めて食べたので、強いレモンの香りがするのに酸味は柔らかく、爽やかな清涼感で虜になりました!

何の食材か分からず食べると料理やデザートと真剣に向き合い、いつもより味を強く感じ取ることができ、またそこから会話が広がるという最高のループを体験することが出来ました!ぜひ皆様もゲーム感覚でコース料理を楽しみながら自分の味覚と記憶に挑戦してみませんか?

『METT』

16 Le Bourg , 01090 Lurcy , France

Tel: +33 (0)4 74 69 42 56

HP:Restaurant Traditionnel | Mett | Lurcy

Mail:mett.lerestaurant@gmail.com

Instagram:MetT(@restaurantlemett) • Instagram