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RESTAURANT PIERRE ORSI(レストラン ピエール オルシ)

フランス校 食べ歩き日記

2023.04.25

いきなりですが・・・2023年3月30日、48年間続いたリヨンの老舗レストラン「Pierre Orsi(ピエール・オルシ)」が、4月29日に閉店するというニュースが飛び込んできました。

ご存じの方も多いでしょうが、オルシ氏はリヨンを代表するシェフの1人で、私の尊敬する辻調の先輩方が研修されていたガストロノミーレストランです。オルシ氏は現在83歳!非常にお元気で、調理場とレストランを行き来し、お客様に挨拶されていました。

1956年、オルシ氏はポール・ボキューズ氏の父、ジョルジュ・ボキューズ氏の弟子になり、料理人人生を始め、その後の1967年にシカゴに店を開き、アメリカで運試しをした最初のフランス人シェフの1人となったと
氏の経歴がフランスネットニュースに掲載されています。
その後、1972年にMOFを受賞し、1975年9月17日「Pierre Orsi」をリヨンの6区にオープンします。1978年に1つ星をとると翌年にはブラッスリー「Le Cazenove」をオープン、そして1980年に2つ星を獲得します。まさしくリヨンのガストロノミーを牽引した1人と言っても過言ではないでしょう。

レストラン内は非常にシックで華やかでロマンチック。まるでオルゴールの中に入ったような感覚になります。赤を基調とし、絵画、家具、そしてバカラのクリスタルがたくさん並んでいて、この空間だけ古き良き時代が止まっているかのようで、非常に居心地が良いです。


そんな「Pierre Orsi」がなぜ店を閉めるのか。マダムに聞くと健康的な理由や経済的理由では全くない。人手が足りないとのこと。ご高齢でありながらアグレッシブに動かれているのを見てとれ非常にお元気です。ただクオリティを下げずお客様に満足いただける料理を作り続けるためには右腕となるシェフが必要ですが、そのシェフたちもこの店を巣立ち、現在は若い従業員や研修生しかいないということです。オルシ氏は、毎日のように朝から晩まで働くこともできるが、この数か月間スタッフと話し合い、そろそろ限界ではないかという判断に至った・・・ということです。もしかしたら2019年に星を失ったこと、そしてコロナ事情で従業員が減ったということも影響しているのかもしれません。

今後、この店は売却を予定していますが、買い手はいろいろあるようで、まだ決まっていないと仰っていました。
 今後はどうされるのという質問に・・・私は働き続ける!隣接されたブラッスリー「Le Cazenove」で腕を振るわれるそうです。

さて、前置きが長くなりましたが、今日はその最後の記念メニューということで、我々フランス校調理スタッフと、このレストランに思い入れのある事務の松本先生と一緒に食事をしてきました。

83歳オルシ氏の渾身の料理をご覧ください。

メニューは特別メニューということで190€といつもの値段設定よりはお高めですが、スペシャリテが盛り込まれた贅沢メニューです。

まずはシャンパン。おすすめのテタンジェを!

アミューズ・ブーシュは、ラパンのテリーヌ、サーモンのタルタル、クロック・ムッシュ。
クロック・ムッシュは1つ多く、少し色づき濃いかなあなんて言っていたら、これはシェフが焼きました!と、サーヴィスの方がウィンクして言ってました(笑)


白ワインはムルソー。久しぶりに味のしっかりしたワインを飲んで大満足。

次にグリーンピースのポタージュ。ちょっと薄目かな?なんて思っていたら、中のフレッシュプティポワのパンチ力を引き立てている素晴しいバランス。

いよいよ、オードブルです。5品から選ぶのですが、以前食べたフォワ・グラのラヴィオリをチョイス!同僚はオマールとさやいんげんのサラダ仕立てを頼みました。
フォワ・グラのラヴィオリ、懐かしく涙が出るくらいの美味しさ。このポルトの甘味と少し軽い濃度のソースがフォワ・グラとよく合うんです!
オマールのサラダは見ての通り1尾分とたっぷり。酸味のきいた味付けとオマールの甘味でベストマッチです。

メイン料理は7品あるうちからみんなで3品チョイス。
スペシャリテの鳩のココット焼きは、鳩のすべての部位がしっとりと仕上がり、肉、ワイルドライス、たっぷりのジュで絡めると味が一体化して最高の味になります。
牛フィレ肉やオマールのグラタンなどどれもクラシックで美味しいものばかり。その他の料理も食べたかったと思いましたが、すでにお腹いっぱい。


チーズは3種類、ルブロッション・ド・サヴォワ、サン・マルスラン、シャロレにアプリコットのピューレが添えられます。お腹いっぱいの私はフロマージュ・ブランで。

デザートは7種類あるうちからみんなで3種類をチョイス。

エキゾチックのフルーツを使ったムースとシャーベット、ソルベの盛り合わせ、チョコレートとキャラメルのムースをいただきました。




最後にコーヒーとプティ・フールをいただきました。

食事中オルシ氏やマダムと話ができて本当に良い時間を過ごせました。

食後には調理場とその横になる第一カーヴ、地下の大きなカーヴを見学させていただきました。


今後このお店がどのようなものになるのか、お伝えできるかもしれません。


Restaurant PIERRE ORSI

3 Place Kleber - 69006 Lyon
2023年4月29日にて閉店