調理外来講習 M. Frédéric DOUCET(フレデリック・ドゥーセ氏) et Mlle Alisée CHAUVAUX(アリゼ・ショヴォー氏)/ Maison DOUCET(メゾン・ドゥーセ)
今回、調理外来講師としてお越しいただいたのは、リヨンから北へ約90km離れた、上質な牛として有名なシャロレー牛の産地Charolles(シャロル)にあるミシュラン1つ星のお店、Maison DOUCET(メゾン・ドゥーセ)でシェフを務めるフレデリック・ドゥーセ氏です。
ドゥーセ氏はグルノーブルの調理師学校を卒業後、Pierre ORSI(ピエール・オルシ)、Paul BOCUSE(ポール・ボキューズ)、TROISGROS(トロワグロ)という名立たるレストランで修業を積み、ご家族がシャロルで経営されていたお店を引き継ぎ、現在は同店のオーナーシェフとして活躍されています。
今回はシェフ・パティシエのアリゼ・ショヴォー氏にお店で提供されているデザートを披露していただきました。
写真左:ドゥーセ氏 写真右:ショヴォー氏
今回の講習は肉料理1品、アシェット・デセール(皿盛りデザート)1品を作成していただきました。
Bœuf Charolais《cularde》jus de nos prairies
1品目はお店でもメインで使用されているシャロレー牛を使った料理です。
今回使用したお肉はサーロインでもリブアイと呼ばれる比較的脂肪が少ない部位を使いました。肉にフルール・ド・セルとこしょうを振り、バターで表面に焼き色をつけながら加熱し途中でバターをかけて肉の表面が乾燥しないように火を通していきます。
その後、網の上に取り出し、焼いた時間と同じ時間だけ肉を休ませます。
ソースは2種類作成し、1つは干し草を使用したソースです。
今回使った干し草はRegain(ルガン)というもので、1度収穫した草を再び成長させ、2度目に収穫したものを指します。1度目に収穫したものに比べて茎が少なく繊維質の部分が減り、葉が多くたんぱく質が豊富です。でんぷん質と糖分も多いので、甘い香りがするのも特徴です。
牛肉のばら肉の部分を鍋で色づけるように焼き、香味野菜を加え炒めて、白ワイン、にんじんのジュース、タイム、ローリエ、にんにく、ミント、干し草、鶏の出し汁、子牛の出し汁を加えて香りを移しながら煮出していきます。漉してから仕上げにお肉を焼いた時に出てきた焼き油と、セロリのムースリーヌを漉す時にシノワに残ったものを加えて完成です。
もう一つのソースは、卵黄と水を湯煎にあてながらかき立てて菜種オイル、生クリーム、ミントオイルを加えて香りを移し、サイフォンにいれてガスを注入してミント風味のサバイヨンの出来上がりです。
つけ合わせはセロリのムースリーヌです。根セロリと普通のセロリを牛乳でやわらかくなるまで火を通し、ミントオイルと一緒にミキサーにかけてピューレ状にして仕上げにミントの葉を細かく刻んだものを加えます。
お皿にエシャロットを赤ワイン酢とこしょうでマリネしたもの、ポトフの肉を乾燥させてパウダーにしたもの、菜の花を乾燥させてパウダーにしたもの、セロリのムースリーヌ、肉は長方形にカットしてフルール・ド・セルと黒こしょうをかけています。ソースは別添えで2種類盛りつけました。
さらに別皿で縦半分にカットした牛のすね骨を器に見立て、クルトン、骨髄を軽くゆでたものに、フルール・ド・セルと黒こしょうを振りかけたものを盛りつけます。
シンプルに焼いたお肉にしっかりとした干し草のソースや爽やかなミントの風味のソースを合わせていて、しっかりとしたボリュームがありながらミントの爽やかさがあり、コースのメイン料理として食べ飽きることない1皿でした!
Dessert signature
2品目はホワイトチョコレートとレストランの近所にある農家産の牛乳で作られたデザートで、スペシャリテにもなっています。
ホワイトチョコと乳製品で様々なパーツを作り、組み上げていきます。
メインのお菓子の構成は下から、
パート・シュクレ(薄く伸ばして焼いたタルト生地)、
クルスティヤン(フィヤンティーヌやホワイトチョコレートを混ぜたパリパリとした食感の生地)、
マドレーヌ(レモン風味のマドレーヌ生地を薄く焼きあげたもの)、
カラメル・ヴァニーユ(ヴァニラ風味のカラメルクリーム)、
ナメラカ(ホワイトチョコレートを使ったなめらかなクリーム)、
これらを重ねて層にし、冷し固めます。
そして生クリーム、牛乳、ホワイトチョコレート、ゼラチン、7分立てにした生クリームを合わせて牛乳のムースを作り、それをお店のロゴが入った専用の型に流し入れ、中に先程冷やし固めた生地とムースの層を入れてしっかりと冷やし固めます。型からはずし、カカオバターとホワイトチョコレートで作った霧状のチョコレートを表面に吹きかけてコーティングしていきます。
別皿には、牛乳を3時間煮詰めて作った自家製の牛乳のコンフィチュール、牛乳、生クリーム、ホワイトチョコレート、ゼラチンを合わせて、サイフォンに入れてガスを注入した牛乳のムースの上に、先程の材料に安定剤を入れて作った牛乳のアイスクリームをのせて、仕上げにフルール・ド・セルを振っています。
ホワイトチョコレートと乳製品を使ったたくさんのパーツの組み合わせの驚きと、濃厚な甘みのあるデザートでした!
最後にシェフと研修生とアシスタントを務めた研究生で記念写真を撮りました!