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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 / M. Nicolas BONNARD (ニコラ・ボナール氏)

フランス校教壇から

2024.06.03

今回の外来講習はパンの特別授業です。2日間にかけてハンズオン実習を行いました。
講師は毎期授業に来ていただいているニコラ・ボナール氏です。

ボナール氏はブルゴーニュ地方の製粉会社NICOT MEUNERIE社で専属のブーランジュリー講師を務め、その後リヨンの旧市街にて「L'EPIAISON(レピエゾン)」のオーナーシェフを長らく務められていました。現在はコーディネーターやパンの講習を行い、技術指導に取り組まれています。 今回は6種類のパンの実習とフランスの各地方のパンの紹介をしていただきました。

まず、実習で作成した6種類のパンを紹介します。

BAGUETTE DE TRADITION FRANCAISE バゲット・ドゥ・トラディッション・フランセーズ

日本でもおなじみのフランスの伝統的なバゲット。材料は小麦粉、塩、イースト、水の4種類のみで作られたとてもシンプルなパンです。単純に混ぜるだけではなく、その中にいくつもポイントがあります。まず、焼く前の生地はとてもソフトで取り扱いが難しく成形の際に無駄に触りすぎないことや生地の表面に切り込みを入れる角度など、細かいところまで指導していただきました。2022年にユネスコ無形文化遺産に登録されるほど、フランスの食文化に欠かせないパンです。さらに同じバゲットの生地を使って様々なパンの成形も見せていただきました。

BUN'S バンズ

ハンバーガーに使われるパンでお馴染みのバンズです。このパンの特徴は牛乳を使うことでシンプルなパンに乳脂肪分が入り、リッチな味わいと柔らかさをプラスすることができます。ノーマルのバンズとイカ墨を練りこんだ黒いバンズを仕上げました。上にはゴマ、ケシの実、かぼちゃの種をつけました。

PAINS AROMATIQUES パン・アロマティック

アロマティックとは「香りの良い、芳香のある」という意味で、中に様々な具材を入れることでバリエーションを出すことができます。今回はレーズン、クルミ、ヘーゼルナッツを練りこんで焼き上げました。
焼き上がりは小麦の香りと焼けたレーズンやナッツの香りが漂っていました。

PAIN BEAUJOLAIS パン・ボジョレ

学校があるボジョレ地区の赤ワインを使って練り上げたパンです。ワインを使うことで水よりも発酵する速度は遅くなるので、今回は冷蔵庫で一晩寝かせて1次発酵させます。中にはヘーゼルナッツとリヨン産のサラミを練りこんで焼き上げています。ロースト用の糸を先端に入れて乾燥ソーセージのような見た目にしています。

PAIN MEULE DE PIERRE SUR LEVAIN パン・ムール・ドゥ・ピエール・スュル・ルヴァン

石臼挽きをした小麦粉を使って焼き上げたパンです。このパンの特徴はルヴァンと呼ばれる発酵種を使用することで酸味と旨味をしっかりと感じることができます。冷蔵庫の中で12時間かけて発酵を行います。そのため小麦粉の香りや甘味が出て、ハード系のパンですが中は柔らかく仕上がります。

SEIGLE AUVERGNAT セーグル・オーヴェルニャ

ライ麦粉を使って焼き上げたパン。小麦粉とは異なる独特な香りと酸味、グルテンを含まないため歯切れの良い食感などが特徴です。今回はパン種を前日に作って常温で1次発酵させて、翌日にさらにライ麦粉と水分を足して生地を練り上げました。綺麗な模様はオーブンで焼いている間に自然と表面が割れてできた焼き目です。

初めて聞くパン用語が出てくる授業でしたが、ボナール氏の分かりやすいフランス語で戸惑いなく取り組めている様子でした。パン作りの理解を深める良い機会になったと思います。




 パン生地の製造手順や生地の発酵に最適な温度の計算の仕方など、理論的な説明はホワイトボードを使って一から丁寧に教えていただきました。
 また、地方のパンの紹介も実際の写真や、布巾で分かりやすく成形の仕方も見せていただきました。

焼きたてを切って香りや生地の状態も確認しました。

今まで名前も知らなかった多くのパンの種類や作り方を知る機会となりました。
今後、今回学んだことを活かして、自分たちが作りたい料理に合うパンも考えられるようさらに勉強を重ねていくと思います。

そして最後に研究生が作ったたくさんのパンと、シェフを囲んで記念撮影をしました。