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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M. Romain BARTHE(ロマン・バルト氏)/ Restaurant Auberge de Clochemerle(オーベルジュ・ド・クロシュメルル)

フランス校教壇から

2023.12.10

今日の外来講習は、ロマン・バルト氏が現在研修をしているスタージュ生とともに来校してくださいました。


バルト氏はボジョレ北部、Vaux-en-Beaujolais(ヴォー・アン・ボジョレ)にある、モルゴンの丘のふもとで、オーベルジュレストラン「オーベルジュ・ド・クロシュメルル」のオーナーシェフをされています。
シェフは仕入れした材料からインスピレーションを得てコース料理の内容を決めるため、メニューには食材名しか書かれていません。そのためレストランでは注文後、どういう料理が出てくるのか興味深いです。また、ソムリエであるマダムに提案されるボジョレのワインと合わせることも楽しみです。
ロアンヌ近郊のミシュランガイド三ツ星レストラン「トロワグロ」やランスの「レ・クレイエール」、「オー・ザルム・ド・シャンパーニュ」、スイス・シェールの「デディエ・ド・クルタン」のなどのレストランで腕を奮った後に2007年に独立し現在のお店を購入、2011年にはミシュランガイドで『期待のシェフ』に選ばれています。

講習では2品の料理を作っていただきました。


人参/ビーツ/黄金カブ/マッシュルーム/ココナッツ/グリーンカレー

人参、ビーツ、黄金カブ、セロリを薄く切り、型にそれぞれの野菜をミルフィーユのように重ねて層を作ります。90℃で約40分間加熱したあと、冷ましてテリーヌにします。
ここで使っている黄金カブは、ヨーロッパの古代種の黄色のカブです。ピンクや白いカブと違いまろやかで甘く、苦みはほとんどありません。
ソースとして、マッシュルームを薄切りにし、バターで水分を飛ばしながら炒め、白ワイン、醤油、ココナッツピュレを順に加えながら煮詰めます。味が十分に出ればしっかりと漉し、最後に香草とバターと一緒にミキサーにかけて仕上げます。
ココナッツフレークをオーブンで薄茶色になるまで焼き、ココナッツミルク、きび砂糖、ライムの皮、混合スパイス(クローブ、生姜、サフランをベースにしたもの)、グリーンカレーを混ぜます。
これは、テリーヌの横に添える薬味になります。
皿にテリーヌを置き、人参から作ったパウダー、ココナッツミルクのジュレ、ココナッツフレークの薬味を飾ります。ソースを泡立て、横に添えました。
動物性の食材を一切使わず、ベジタリアンの人にも出すことができる一皿として作られています。マッシュルームと醤油を使ったソースでうまみを出し、ココナッツや様々なスパイスの複雑な香り、テリーヌにした野菜の甘さなどが複雑に絡み合う興味深い一皿です。

シェフの作業を真剣な目で見つめる研究生と、現在の研修生の姿です。


ホタテ貝/オレンジ/ターメリック/トピナンブール(菊芋)

野菜で取っただし汁と和食で使われる白だしを混ぜて煮詰めます。途中でリンゴとパイナップルのピュレ、醤油を加えます。煮詰まって味がまとまれば、生クリームを加えて仕上げます。
玉ねぎの薄切りを炒め、生のターメリックを加えてさらに炒めます。オレンジとレモンの果肉とジュース、生姜のしぼり汁を加えて煮詰めます。最後に味を調え、ミキサーにかけてピュレにします。
トピナンブール(菊芋)の皮を乾燥させたもの、バター、砂糖、ヘーゼルナッツで作ったプラリネ、アーモンドパウダー、パン粉を混ぜて薬味を作ります。
トピナンブール(菊芋)の実の部分は塩ゆでにし、ホタテ貝は両面を強火でさっと火を通しジューシーに仕上げます。
最後にAndouille de Guémené(アンドゥイユ・ド・ゲムネ)というブルターニュ地方で作られる豚の腸などで作られたソーセージの薄切りを温めて、盛りつけます。

普段の実習では使わない食材の使用に注目をする研究生たちです。

研究生に感想を聞くと、やはり和食材を使っていたことに興味を覚えた様子でした。

「フランス料理の中に和食材やスパイス、グリーンカレーなどが入っていて、それでもフランス料理として成立しているのがとても面白かった」

「研修生が自信をもってシェフとコミュニケーションを取りながら作業をしているのが印象深かったです。自分も研修に行くまでにフランス語に慣れていきたいと思う」などの感想がありました。

最後にアシスタントをしてくれた研究生と記念写真。