FRANCE

辻調グループ フランス校

ブログ

調理外来講習 M. Sébastien CHAMBRU(セバスティアン シャンブリュ氏) L'O des vignes(ロ・デ・ヴィーニュ)

フランス校教壇から

2024.05.21

今回の外来講習は、Bourgogne(ブルゴーニュ)地方、Mâcon(マコン)市の南部、有名なA.O.C取得の白ワインPouilly-Fuissé(プイィ・フュイッセ)の生産地であるFuissé(フュイッセ)村にある、Restaurant L'O des vignes(レストラン ロ・デ・ヴィーニュ)より、Sébastien CHAMBRU(セバスティアン・シャンブリュ)氏と研修生も一緒に来校してくれました。

シャンブリュ氏はレストランポール・ボキューズや、リヨンのヴィラ・フロレンティーヌホテル内のレストランで修行された後、ロンドンやイングランド、日本などフランス国内のみならず海外でも経験を積まれ、2007年にフランスでM.O.F.を受章されました。その後、スイスのホテルや、2009年にはプロヴァンス地方のムージャン村にあるムーラン・ド・ムージャンでシェフを務められました。2013年に故郷に戻り、「友人同士で集まることができる田舎のビストロ」をイメージした現在のお店を開店しました。2017年にミシュランの1ツ星を獲得、現在まで維持をされています。調理のテクニックはもちろんのこと、その調理の理論をわかりやすく言葉にして伝えることがとても上手なシェフです。

今回の講習では、牛肉と牡蠣を使った前菜と、魚料理の2品を作っていただきました。

Merlan de bœuf mariné et huître pochée, vinaigrette iodée
まず1品目は、牛肉の内ももと牡蠣を使ったタルタル仕立てです。
日本ではなかなか目にすることができない生肉のタルタルは、内ももの部位を使用していました。この部位は筋がなく、柔らかい食感で生食するタルタルに適している部位です。
次に牡蠣を開け、最初に出てきたジュースは、うま味いっぱいでとても美味しいのでマリネ液に使用します。時間を置くと2度目のジュースが出ますが美味しいジュースではないので使用しません。このようにシェフは食材を知り尽くしているので、理論的な話も聞くことができ勉強になることが多いなと感じます。
殻を開けた牡蠣は魚の出し汁の中で短時間ゆで、表面だけが火が通った状態にします。
飾り用以外はタルタルに合わせるので適した大きさにカットします。
マリネ液は牡蠣のジュース、エシャロット、ケイパー、レモン、オリーブ油です。ソースは行者にんにくのオイルと卵黄のコンフィです。
最後に牡蠣と黒にんにくのスライス、そして香りのあるハーブを飾って見た目にも美しい彩り豊かな一品です。

Omble chevalier au naturel, asperge et radis, émulsion d'arêtes

2品目はオンブル・シュバリエというフランスで珍重される淡水魚を使った一品です。
オンブル・シュバリエを卸して、身は1人前のポーションにカットしてオリーブ油、塩をして冷蔵庫に保存します。
魚のあらと香味野菜で出し汁を取ります。まず、水に魚のあら、香味野菜、生姜、レモンを入れ沸騰させます。灰汁が出たら取り除き約30分煮出します。この方法は学校の取り方と全く違う方法で、澄んだ出し汁を取ることができます。新たなテクニックに学生も釘付けの様子でした。
つけ合わせは旬のホワイトアスパラガスとラディッシュです。どちらの食材も生食可能で薄くスライスし氷水でパリっとした食感にします。別にアスパラガスは焼き色をつけ、最後にバターを加えて風味を足します。ラディッシュは水、バターで食感を少し残すように火を通します。生の食感と、加熱した食感の2種類を楽しめるように工夫されていました。
食感を与える食材で自家製グラノーラも持参していただきました。
ソースはオランデーズソースです。バター、魚の出し汁、レモン汁、アルコール酢を計量して沸騰するまで温めます。生卵を溶いて温めた液体を加えよく混ぜます。サイフォンに入れて、湯煎をして温かい状態を保ちます。

仕上げに魚はオーブンで火を入れます。オンブル・シュバリエはとても火入れの難しい食材なので細心の注意を払っていました。計算し尽くされた加熱時間と温度で完璧な仕上がりでした。
各パーツを盛りつけます。サイフォンのソースはオンブル・シュバリエが見えないほどたっぷりと覆い、醇なバターの香りが食欲をそそる一品となりました。
アシスタントをする研究生は研修生から指示を受け一緒に作業をしていました。
初回の外来講習で緊張していましたが、シェフはとても分かりやすいフランス語を話してくれていました。


現在研修中の研究生から、お店の紹介や現在行っている仕事、後輩へのアドバイスなどを話してもらいました。研究生からも質問が出て、研修について身近に感じられたのではないかなと思います。
最後にシェフと研修生、アシスタント班の研究生で記念撮影を行いました。