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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M. Sébastien CHAMBRU(セバスティアン シャンブリュ氏) / L'O des vignes(ロ・デ・ヴィーニュ)

フランス校教壇から

2024.12.12

今回の外来講習は、Bourgogne(ブルゴーニュ)地方、Mâcon(マコン)市の南部、有名なA.O.C.取得の白ワインPouilly-Fuissé(プイィ・フュイッセ)の生産地であるFuissé(フュイッセ)村にある、Restaurant L'O des vignes(レストラン ロ・デ・ヴィーニュ)より、Sébastien CHAMBRU(セバスティアン・シャンブリュ)氏にお越しいただきました。

シャンブリュ氏はポール・ボキューズや、リヨンのヴィラ・フロレンティーヌホテル内のレストランで修行された後、ロンドンやイングランド、日本などでフランス国内のみならず海外でも経験を積まれ、2007年にフランスでM.O.F.を受章されました。その後、スイスのホテルや、2009年にはプロヴァンス地方のムージャン村にあるムーラン・ド・ムージャンでシェフを務められました。2013年に故郷に戻り、「友人同士で集まることができる田舎のビストロ」をイメージした現在のお店を開店しました。2017年にミシュランの1ツ星を獲得、現在まで維持をされています。調理のテクニックはもちろんのこと、その調理の理論をわかりやすく言葉にして伝えることがとても上手なシェフです。

今回の講習では、2品作っていただきました。

Gnocchi de pomme de terre au comté, bouillon de topinambour beurré

まず1品目は、じゃがいもとコンテチーズのニョッキです。
じゃがいもは皮つきのままアルミホイルで包んで、余分な水分を飛ばすために、オーブンを使いしっかり火を通します。じゃがいもの品種はたくさんありますが、古くからあり、男爵いものようなbintjeバンジュという品種を使います。この品種は、ピューレやニョッキを作成するのに向いています。そして、裏ごししたじゃがいもの果肉と、卵、小麦粉、コンテチーズを均一な状態になるまで練って生地を作ります。
成形は、パスタを作る器具を使い、ニョッキに筋を付けていきます。中にパンプルネルというきゅうりの様な香りの香草を、一緒に巻き込んで成形していきます。

ソースは鍋にエシャロット、栗、セロリ、トピナンブール(菊芋)の皮、水を入れて煮だし、野菜のブイヨンを作成し、たっぷりのバターを加えた泡のソースです。季節の野菜の皮まで使い、食材を余すところなく調理していきます。
小さく切ったトピナンブールのソテをニョッキの下に敷き、仕上げに、ail des ours(野草の熊にんにく)で作った香草オイルと、コンテチーズを削ってかけました。爽やかな香りと濃厚なニョッキの一品が完成しました。
こちらの料理は、レストランではベジタリアン対応メニューとしても提供されているそうです。

Noix de Saint jacques snackées et bardes en tripe, courge brûlée en vinaigrette

2品目は、帆立貝を使った料理です。
貝柱の部分は、グリーンペッパーのペーストを軽く塗り、マリネをしてオリーブオイルでポワレにします。そして、帆立貝のひもの部分も使用していきます。日本では、帆立貝のひもはよく食べられますが、フランスではあまり食べられない部位です。シャンブリュ氏は日本で働いていた時に、ひもを食べる習慣を知ったそうで、
今回はこのひもを、エシャロットや白ワインと一緒に柔らかくなるまで煮込み、フランスのノルマンディー地方の内臓料理の≪Tripes à la mode de Caenトリップ・ア・ラ・モード・ド・カン≫のイメージで考案されたそうです。
つけ合わせはバターナッツかぼちゃを使用し、塩ゆでした後にバターをのせ、表面をバーナーで炙り、香ばしい香りと焼き色を付けます。最後に、食感の違いを出すために、半分をフォークで粗く砕いて提供されます。

甘みのある帆立貝に合うように、エシャロットの辛味やお酢の酸味をアクセントにしたソースを合わせます。
炒めたエシャロットのみじん切りに、シェリー酒酢、ローストしたカボチャの種を粗く砕いたもの、カボチャの種のオイルを使い、温かいドレッシングを添えます。
仕上げに、ピエモンテ産のノワゼット、灰色の小さなエビcrevette griseをソテしたものを添え、マスタードの葉を飾った、酸味と香ばしさを感じられる一品になりました。

研修生から、お店の紹介や現在行っている仕事、後輩へのアドバイスなどを話してもらいました。研究生からも質問が出て、研修について身近に感じられたのではないかなと思います。

最後にシェフと研修生、アシスタント班の研究生で記念撮影を行いました。