FRANCE

辻調グループ フランス校

ブログ

調理外来講習 M.François MOUREAUX(フランソワ・ムロー氏) / AZIMUT(アジムット)/ LA POUTRE(ラ・プートル)

フランス校教壇から

2023.06.06

サヴォワのクールシュヴェルCOURCHEVELにあるレストラン「アジムット」とジュラ地方のボンリューBONLIEUにあるホテルレストラン「ラ・プートル」のシェフM. François MOUREAUX(フランソワ・ムロー)氏にお越しいただきました。

季節に応じて2ヵ所のレストランを交互に営業されています。冬から春の時期は多くのスキー客が訪れる「アジムット」にて、最高の食材をベースにシンプルで現代的な料理を、春から秋の時期は父親の後を継いだ「ラ・プートル」にて、ボンリューの湖、山、川、森などの自然から着想を得た料理を提供されています。
ムロー氏は「ラムロワーズ」やパリの「トゥール・ダルジャン」など著名店で研鑽を積み、2001年より「ラ・プートル」を父親から引き継ぎ、2007年より「アジムット」のシェフに就任。2010年にはミシュランの1つ星を獲得しました。ボキューズ・ドール2015年フランス国内大会では2位に輝くなど、確かな実力の持ち主です。
コンクールに出場するために何回も試作を重ねてより良い料理を作っていた経験がレストランの料理構成に繋がっているそうです。

今日の講習では2品作成していただきました。

LANGOUSTINES SNACKEES, MOUSSE D'EPINARDS ET SAUCE A L'AIL DES OURS

1品目はラングスティーヌを使ったリゾット仕立てです。ラングスティーヌは殻をむいて背わたを取り、背中側だけ強火で香ばしく焼きます。殻を使用してブイヨンを取ります。リゾットで使う黒い米は、焼きたてのパンを思わせるような香りで鉄分、食物繊維、ミネラルが豊富な玄米を使用し、ブイヨンで火を通します。ソースはエシャロットのみじん切りをバターで炒め、白ワイン、クレームエペスを加えて更に煮詰めます。ail des ours (野草の熊ニンニク(ラムソン))のみじん切りを加えて香りを移します。香りを移したらハンドミキサーで泡立てて仕上がりを軽くします。最後に塩ゆでしたほうれん草とバターを加えてミキサーにかけ、エスプーマ仕立てにしたムースを絞ります。


ail des ours・・・熊にんにく、熊にら、ラムソン
寒い地域も山に生息するユリ科ネギ属の山菜。ネギやニラの仲間でにんにくに似た香りで、ヨーロッパでは春の食材です。

2品目はほろほろ鳥とじゃがいもを使った料理です。

BLANC DE PINTADE CUIT BASSE TEMPERATURE, PUREE FUMEE ET JUS DE PINTADE

ほろほろ鳥はキジ科の鳥で、鳴き声がホロホロと聞こえることに由来しており、フランス全土で飼育されています。クセのない柔らかい肉質が特徴です。ほろほろ鳥の胸肉に塩、胡椒をしてラップで丸く整形します。57℃で2時間かけてゆっくり火を通すことでしっとり仕上げています。仕上げに皮目をオリーブ油でパリッと香ばしく焼きます。つけ合わせのじゃがいもは皮ごと塩ゆでし、火が通ったら燻製します。香りが移れば裏漉し、バターと牛乳を加えてピューレにします。スライスしたじゃがいもに澄ましバターを塗り、オープンでパリっと焼いてチップスにします。ソースはほろほろ鳥の骨から取ったソースにreine des prés(セイヨウナツユキソウ) の香り移した生クリームを加え、ハンドミキサーで泡立てたソースを添えています。

シェフの横でアシスタントをしている研究生の様子です。

講習を受けた研究生に感想を聞くと「食材と調理法の組み合わせで想像しただけで絶対美味しいと思えて、シンプルに仕上げられていて素材を生かし方の勉強になりました。」

「ホロホロ鳥の料理でじゃがいもの燻製の香りとソースのreine des prés(セイヨウナツユキソウ)の2つの異なる香りがどのように共存するのかが分からなかったが、食べてみると1皿に2種類の香りがマッチしていていることが分かり、新しい発見になりました。」などの感想がありました。

最後にアシスタントを務めた研究生とシェフで記念撮影を行いました。