調理外来講習 M.Guy LASSAUSAIE(ギィ・ラソゼ氏) / Restaurant Guy LASSAUSAIE(レストラン ギィ・ラソゼ)
本日の調理外来講習は、リヨン郊外にあるChasseley(シャスレー)という町のミシュラン1ツ星のお店、Restaurant Guy LASAUSAIE(レストラン ギィ・ラソゼ)でシェフを務めるギィ・ラソゼ氏にお越しいただきました。
ラソゼ氏はリヨン出身で『Restaurant la Pyramide レストラン・ラ・ピラミッド』などの有名店で研鑽を積み、1993年にM.O.F(フランス優秀職人章)を受賞されました。また、トック・ブランシュ・リヨネーズ(料理人協会リヨン支部)の会長を務められていました。現在はシャスレーのお店と、リヨンの街が一望できるフルヴィエールの丘の上にある『Bulle ビュル』というレストランにも携わられています。また日本のレストランとも技術提携をして、フランス国内にとどまらず世界で活躍されているフランス料理界の重鎮の1人です。
今回の講習では3品作成していただきました。
Purée de carottes,Jus de carotte réduit citronnelle et gingembre pickles de carottes au vinaigre de citron et Œuf mollet au caviar
まずは人参を様々な形や調理法を用いて提供される、ラソゼ氏のシグニチャーディッシュの内の1つです。まずは人参をジューサーで絞り、生姜とレモングラスを加えて煮詰め、最後にバターとレモン汁で仕上げてソースを作ります。
次に人参を薄切りにして炒めて味を凝縮し、鶏の出し汁や生クリームを加えて煮詰めたものをミキサーでピューレ状にし、味を整えます。
続いて同じく人参をスライサーを使って1mm厚の薄切りにしたものを煮崩れないようにゆでて火を通し、レモン風味の甘酸っぱいマリネ液に漬けます。それを花びらのようにくるくると巻きます。卵を沸騰したお湯に入れて6分間ゆでて半熟卵を作り、殻をむきます。
殻をむく際は、白身が破れて中の柔らかい黄身が出てこないように注意が必要です。今回は研究生が上手に割ってくれました!
盛り付けの際に、キャビアや炒ったそばの実、ハーブオイルを使用することで見た目もより鮮やかに仕上がっています。普段から見慣れている人参ですが、このように食感や形を変えてひとつの皿に落とし込むテクニックはさすがです。
Vapeur de barbue marinée au poivre de Malabar et huile de noix salsifis confits et beurre blanc Vin Jaune
2品目はバルビュ(平目)を使った一皿です。平目は上身に卸して皮を引き、1人前のポーションにカットしてから塩、こしょうで味をつけ、クルミ油でマリネします。香りが十分移ったら85℃のヴァプール(蒸気で蒸して火通しをする調理法)で3~4分火を通します。
ソースはエシャロットのみじん切りを炒めて香りを出したところにVin Jaune(ヴァン・ジョーヌ)と呼ばれるフランス東部にある、ジュラ地方特産のワインを加えて煮詰め、鶏の出し汁と少量の生クリームを加えてさらに煮詰め、バターで仕上げ、ハンドミキサーで軽さを出します。
つけ合わせはsalsifis(サルシフィ)と呼ばれる西洋ごぼうを使用し、蒸し煮にしたもの、薄くスライスして油で揚げてフライにしたものそれぞれを準備します。
また、セップ茸というキノコとフォワグラ、クルトン、ペカンナッツをソテーし、こちらもつけ合わせとして添えます。
実はこのメニューがベースとなった実習メニューを研究生たちは実習で行っていたので、講習の途中にどこかで見たことあるような...食べたことあるような...と気づいた研究生もいました。淡白な味わいの平目を引き立てるサルシフィ、セップ茸、フォワグラのうま味やクルトンやナッツ、フライの食感が見事に調和した一皿になっていました。
Saint Jacques poêlées au beurre noisette soupe paysanne au lard fumé, chou Romanesco, châtaignes et truffes
3品目は帆立貝を使った一皿です。帆立貝は貝柱の状態にしてから表面に包丁で鹿の子模様になるように切り込みを入れ、その面に柔らかくしたバターを塗り、熱したフライパンにオリーブオイルを引いて焼きます。
次にソースを作ります。角切りにした玉ねぎ、人参、セロリ、ポロねぎ、エシャロット、シャンピニョン、豚バラ肉の燻製をバターでじっくりと炒めます。白ワインを加えて煮詰め、鶏の出し汁、ローズマリー、生姜を入れてゆっくりと煮詰め、味が出たら漉します。
つけ合わせはシュー・ロマネスコと呼ばれるブロッコリーやカリフラワーに似た野菜を小房に切り分けて塩ゆでにしたもの、トリュフの薄切り、栗、豚バラ肉の燻製です。
カリっと香ばしく焼けた帆立貝にソースのうま味、ロマネスコの食感やトリュフ、栗などの季節の食材が一体となった素晴らしい一皿です。
いざ講習が始まると穏やかな雰囲気とは打って変わって、きびきびとした動きで調理を進められ、次々と料理を仕上げていきました。アシスタントを務めた研究生もそれに負けまいとついていく姿が印象的でした。
最後に、アシスタントを務めてくれた研究生と記念撮影です!