FRANCE

辻調グループ フランス校

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製菓外来講習 / M.Paul KLEIN(ポール・クライン氏)

フランス校教壇から

2024.06.04

 外来講習に来ていただいたのは、ポール・クライン氏です。

 フランス東部にあるベルフォールにある「パティスリー・ショコラトゥリー・クライン」を経営されています。同店では、プロフェッショナル向けの研修も行っており世界各国から受講者が訪れています。飴細工とアントルメを制作する世界大会のコンテスト"Charles Proust(シャルル・プルースト)杯"で2012年に21歳という若さで見事優勝されており、卓越した技術と躍動感あふれる細工は、世界でも高く評価されています。

 今回紹介していただいたのは、「コンフィズリー=砂糖菓子」7品を披露していただきました。

 写真右のお菓子は、「Calisson d'Aix」 カリソン・デクスです。
 南仏エクス・アン・プロヴァンスの銘菓で、南フランスのお土産屋さんや、サービスエリアには必ずと言っていいほど見かけることができる地方菓子です。メロンとオレンジのコンフィとアーモンド、シロップを練り合わせてペーストにしたものを型に敷き詰め、表面を砂糖の糖衣で仕上げた地方菓子です。
 写真左の渦巻の黒い菓子は、「Réglisse」 レグリスです。
 フランスでポピュラーな甘草(かんぞう=薬草の1種)を使ったグミ。独特な甘い香りを持ち、昔からフランスで食べられているお菓子です。

 写真右の白いお菓子は、「Nougat de montélimar」 ヌガ・ド・モンテリマールです。
 卵白に煮詰めたラベンダーの蜂蜜とシロップを加え泡立て、ナッツ類をたくさん加えた、フランス南東部の都市"モンテリマール"の銘菓です。
 左のお菓子は、Caramel Vanille」 キャラメル・ヴァニーユ
 バニラをたっぷり使用したキャラメル。クライン氏が作るキャラメルはバターの配合が多く、とても柔らかく仕上げられています。


 ヌガ・ド・モンテリマールは泡立てたシロップ入りの卵白を、"dessécher"という水分を蒸発させる作業を行います。アシスタント研究生に重要な役割を任せててもらいました。研究生はとても嬉しそうですね。


 上から、「Bonbon rock」 ボンボン・ロック
 飴で作った文字を飴で覆い、リボン状に引いた飴で包み、細い棒状にしてカットしたキャンディ。飴の中心部に「KLEIN」の文字が入っています。
 右側は、「Bonbon fourré framboise」 ボンボン・フーレ・フランボワーズ
 リボン状に引いた飴でラズベリーのパート・ド・フリュイ(ゼリーのようなもの)を包み、細い棒状にしてから小さくカットしたキャンディ。
 左側は、「Berlingot Violet」 ベルランゴ・ヴィオレ
 甘いスミレの香りをつけた、フランスの伝統的なキャンディ。
 これらのキャンディは太い円柱状の飴を細い棒状にした後、機械・押し型・ナイフでカットします。切り方の違いでそれぞれ形が異なるキャンディができます。

 ボンボン・フーレ・フランボワーズを押し型でカットしています。力いっぱい押し型を使って印を入れると、綺麗な印が付きました。

 飴が冷え固まると自然に1つずつに外れます。

 ボンボン・ロックは、"KLIEN"の文字が崩れないように、細く伸ばした飴を冷やし、包丁でカットします。綺麗な断面にするのが難しい作業なので、毎期シェフがされている作業です。今回は"je veux faire ça=私はそれをしたい"とアシスタント学生がフランス語で頼むと、直接指導していただき作業させてもらう事ができました。


 研究生達はフランス語を聞き取り、任された作業をシェフに確認しながらお菓子を仕上げていました。

 隣のテーブルでは、マダムがお菓子を飾るための飴細工を組み立てていました。繊細で綺麗な飴細工とお菓子のディスプレイですね。鑑賞用ですが全て砂糖菓子で構成されており、食べることもできます!

アシスタントを務めた研究生のコメント
 「世界一のパティシエの講習を間近で受けることができ、とても貴重な体験になりました。見たことはあるけれど、どうやって作られているのか?と考えながらアシスタントをしていました。飴を切る固さの違い、ナイフで切るときのポイントなど、飴細工の知識だけじゃなくクライン氏の考え方など、多くのことを学べました。私も好きな文字を入れた飴を作ってみたい!と思いました。コンフィズリーのための道具なども実際に使用するところを見れたので、面白かったです。」
 「アシスタントをして改めてフランス語でコミュニケーションをとる大切さを感じました。クライン氏の作業にはとてもこだわりがあり、フランス語をよく聞きとらないとすぐに行動できず、クライン氏が作業されました。それでも自分にできることを考え、片付けや次に使うものを準備することで、少しでもアシスタントとして行動できたと思います。そうすると終盤にはクライン氏のこだわりのある飴を沢山触らせてもらう事ができました。その中で一番印象に残っているのは、ボンボン・ロックをナイフで切る作業です。最後にはクライン氏から"スーパーアシスタント"と言われたことが本当に嬉しかったです。アシスタントができ本当にいい経験になりました。」


 Merci!Mme et M.KLEIN !!