製菓外来講習 M.Paul KLEIN(ポール・クライン氏) / Pâtisserie chocolaterie KLEIN(パティスリー・ショコラトゥリー・クライン)
今回製菓外来講習にお越しいただいたのは、ポール・クライン氏です。
毎期フランス校に講習に来てくださっているクライン氏を皆さんはご存知でしょうか?
フランス東部のベルフォールにある「パティスリー・ショコラトゥリー・クライン」を経営されています。クライン氏のお父さん、ステファン・クライン氏は飴細工の第一人者として有名で数々の本も執筆されていますが、息子のポール氏も同じように飴細工を得意とし、飴細工とアントルメ制作をする世界大会のコンテスト"Charles Proust(シャルル・プルースト杯)"では2012年に21歳の若さで見事優勝しています。他にもプロフェッショナル向けの研修を行うなどお菓子を通して様々な活動をされています。ぜひ前回お越しいただいた際のブログもご覧ください。
https://www.tsuji.ac.jp/college/france/blog/seikatu/_mpaul_klein.html
今回一日お時間をいただき、コンフィズリーを7品作成していただきました。
コンフィズリーとは・・・キャンディ、ボンボン、キャラメルなどの砂糖菓子の総称です。フランスでは数多くのコンフィズリーが売られていますが地方によっても名物が違っていることがコンフィズリーを勉強していて楽しいところの一つです。リヨンではクッサン・ド・リヨンが有名です。クッサン・ド・リヨンはチョコレートのガナッシュをキュラソーの香りをつけたアーモンド生地でコーティングしたコンフィズリーです。鮮やかなブルー色をしており、Voisin(ヴォワザン)というお店が考案したお菓子です。リヨンに訪れた際はぜひ召し上がってみてください。
①「Caramel mou vanille/キャラメル・ムウ・ヴァニーユ」
これは日本でも有名ですね。クライン氏のキャラメルはヴァニラをたっぷり使用しており、バターの配合が多いのでとても柔らかく仕上げられています。
②「Nougat de Montélimar/ヌガー・ド・モンテリマール」
卵白に煮詰めたラベンダーの蜂蜜とシロップを加え泡立て、ナッツ類をたくさん加えた糖菓です。
モンテリマールはフランス南東部の街の名前で、ヌガー発祥の地として有名です。しかし、モンテリマールのヌガーと名乗るには規定があります。全体量に対し、28%以上のアーモンド、2%以上のピスタチオ、25%以上の蜂蜜を含まなければいけません。シロップの煮詰め具合で固さが変わるおもしろいお菓子です。ふわっと泡立てられたヌガーは食感が軽く、ラベンダーの香りとナッツの香ばしさが口の中に広がります。
③「Calisson d'Aix/カリソン デクス」
アーモンドにメロン、オレンジのコンフィ、煮詰めたシロップを合わせ、練り合わせてペースト状にしたものを型に敷き詰め表面を砂糖の糖衣で仕上げたお菓子です。フランス南部のエクス・アン・プロヴァンスの銘菓です。
学生もシェフの作業を確認しながら一緒に作業をしていきます。
この型は3段になっており、生地を敷き詰めたあと一番上の型を重ねると糖衣を敷きこめるようになっています。最後に一番下の型にはめると綺麗に型からはがすことができます。出来立てはやわらかいマジパンのような状態なので5日ほど室温で乾燥させて完成です。初めて作るカリソンに興味津々でした!
④「Réglisse/レグリス」
フランスでポピュラーな甘草(かんぞう=薬草の一種)を使ったグミです。日本ではタイヤの形に似ているということから"タイヤグミ"という名前で一時期流行っていましたね!
出来上がった生地を温かいうちに素早く絞っていきます。
ゼラチンや煮詰めたシロップが入っているので冷めるとグミのように固まります。
それを端からぐるぐる巻いていくと完成です。このお菓子もカリソン同様出来上がってから3~4日置いておくそうです。
ここからはボンボンを3種類作成しました。
⑤「Bonbon fourré framboise/ボンボン・フーレ・フランボワーズ」
煮詰めたパート・ド・フリュイ(果肉を砂糖とペクチンで煮詰めたフルーツゼリー)を、しっかり空気を入れリボン状にした飴で包み棒状にします。つやつやの飴が出来上がると研究生から"おぉ~~!"という歓声が上がりました!
研究生も積極的に声をかけて参加します。
⑥「Berlingot/ベルランゴ」
ストライプの四面体の飴のことをベルランゴと言います。今回はミント味ができあがり、ラボ内が爽やかな香りになりました!
出来上がった飴を機械に入れてぐるぐると回すことにより三角形に切れ目が入ります。
⑦「Bonbon Rock/ボンボン・ロック」
濃いピンクと白い色の飴でなにやら成形をされています・・・。あれ?よく見ると文字が・・・
何が書かれているかわかりましたか?
シェフのお名前のKLEINという文字が出来上がりました!
お店や商品として見たことはあるけれど実際に目の前で作っていく様子を見ることができることは本当に貴重な経験です。
実際に作業するととっても難しい飴細工をとっても簡単そうに作られている姿を見て研究生は驚いていました。
そしてクライン氏がお菓子を作成してくださっている横で奥様が飴細工の方をずっと作成してくださっていました。キング・ジュリアンというWebアニメのキャラクターをモチーフに作成されたそうです。下の部分はパイナップルを表現されています。一つ一つが丁寧で、揃っており、飴細工で一番大事な艶もありますね!最後に全てを飾って今日の講習が終了です!一日かけて様々なフランスの伝統的なコンフィズリーを勉強でき、研究生も楽しそうに作業をしていました。
研究生からコメント
『助手をさせていただき、一番近くで作業を見ることができて嬉しかったです。名前は知っているコンフィズリーでも、実際に作るのは初めてなのでとても新鮮でした。今回助手は二回目でしたので前回よりもフランス語を聞き取れるようになっていて自分の成長も感じることができました。』
『普段作る機会が少ないコンフィズリーに触れることができて、とても良い経験になりました。今回の講習では、"自分もやりたい、私もしていいですか?"5か月間で習ったフランス語を使って助手をできたことはフランスに来たばっかりの自分と比べて成長を実感できました!沢山アシスタントできて楽しかったです。』
Merci ! M.KLEIN !