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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M.Romuald FASSENET(ロミュアルド・ ファスネ氏) / Château du Mont Joly (シャトー ・ デュ ・ モン ジョリー)

フランス校教壇から

2025.02.21

今回の講習は、フランシュ=コンテ地方のジュラ県にあるDole(ドール)近郊にある、1つ星レストランChâteau du Mont Joly(シャトー・デュ・モン・ジョリー)からシェフのM.Romuald FASSENET(ロミュアルド・ファスネ)氏が来校してくれました。

シェフの経歴はホテル・マティニヨン、トゥール・ダルジャン(パリ)やアメリカ、ドイツなどでレストラン勤務を経験し、2004年にM.O.F (フランス国家最優秀職人章)を受章。2007年に現在のシャトーを購入し、ソムリエである奥様と一緒にホテルとレストランを経営しています。
土地の食材をいかした料理、イベントなどにも積極的に参加しています。シェフの料理は食材自身が持っている魅力を最大限に生かしている料理が多く、見た目も美しく、繊細な味や香りを楽しむことが出来る料理を提供しています。
また、国際的にも活躍されていて、2009年、2011年、2013年、2015年のボキューズ・ドール大会で日本代表のコーチを務められました。2013年大会では日本代表最高位3位という快挙に大きく貢献しました。2019年の大会ではフランス代表のコーチも務められました。今年行われた2025年大会ではフランス代表の一員として、優勝という輝かしい成績にも貢献されていたのが記憶に新しいです。

今回の講習では前菜と肉料理の2品を作成していただきました。

Carpaccio de Noix de Saint-Jacques Vinaigrette de Légumes marinés et Gingembre Frais

まずはホタテ貝をメインとした使った冷たい1皿です。
最初にホタテ貝を下処理します。身の部分を取り出して薄い輪切りにしていきます。貝ひもの部分は今回の料理では使いませんでしたが、美味しい出し汁の取り方を披露してくれました。アシスタントについた研究生にも丁寧に指導してくださって、一緒に作業をこなしていました。

次にマリナードを作ります。オリーブオイルで小さなさいの目にカットした人参と根セロリを炒め、軽く火が通ったらみじん切りにしたエシャロットと生姜を加えてさらに炒めます。白バルサミコ酢を加えてしっかりと煮詰めて、オリーブオイルを加えて冷やします。冷めたらシブレットを加えてマリナードの完成です。
お皿にマリナード、薄切りのホタテ貝を並べてさらに上からマリナードをかけて、ハーブやお花とパン・デピスのクルトンを飾り、周りにハーブのピューレを流して完成です。
ホタテ貝に白バルサミコ酢の酸味が効いたマリナードの相性がばっちりの爽やかな一品でした。

Ris de Veau clouté, de Comté aux parfums de Mélilot Carotte jaune Doubs glacée et éclats de Châtaignes

リ・ド・ヴォを使った1品です。リ・ド・ヴォとは子牛の胸腺肉のことをいい、ミルクを飲んでいる時期に必要な部位で、成長につれて失われる器官です。(成長とともに小さくなる希少部位です。)肉質は柔らかく濃厚でミルキーな味わいが特徴です。
リ・ド・ヴォは水の中で血抜きをしてから、水から沸騰して1分ほど茹でてから冷やします。その後、表面の膜と筋を取って1人前に切り分けますます。中心に切り込みを入れてコンテチーズを棒状にカットしたものを差し込みます。

塩、こしょう、キャラウェイシードのパウダーを振り、網脂で包んでラップで巻きます。その後真空パックに入れ、63℃のオーブンで25分間火を通してから一度冷やします。仕上げににんにく、タイムと共に澄ましバターで表面にこんがりと香ばしい焼き色をつけ、最後にフレッシュのバターを加えて香りを足します。
ソースは、エシャロットのコンフィと角切りにした栗をエシャロットのコンフィの油で炒め、子牛のソースとキャラウェイシードのパウダーを加えてつやが出るぐらいまでしっかり煮詰めて漉します。仕上げにリ・ド・ヴォを焼いた時の油を加えてつやと香りをプラスします。

つけ合わせは2種類です。1つ目はエシャロットのみじん切りをバターで炒めて鶏のだし汁を加えて沸騰させます。そこにトウモロコシの粉とsemoule de Gaudes(スムール・ド・ゴード)と呼ばれる、炒ったトウモロコシの粉を細引きにしたものを加えてオーブンに入れて粉に火を通します。仕上げにコンテチーズを加えてから型に流し入れて冷やし固めます。

最後にスムール・ド・ゴード周りにつけてから澄ましバターで香ばしく焼き上げます。
2つ目は葉付きにんじんの皮をむいて、バットに鴨の脂、にんじん、塩、タイム、キャラウェイシードのパウダーを入れます。アルミホイルで蓋をしてオーブンでにんじんに火を通します。

その後、煮汁を煮詰めてにんじんにかけながらつやを出します。仕上げににんじんの表面を平らになるようカットしてソースに使っていたエシャロットのコンフィと栗を飾って上からイタリアンパセリの細切りを飾ります。お皿につけ合わせ2種類、リ・ド・ヴォ、ソースとセルフィーユを飾って完成です。
リ・ド・ヴォのミルキーな風味と香ばしさにコンテチーズのコク、しっかりとした子牛のソースの風味がマッチしていて上品かつインパクトのある一皿に仕上がっていました!

シェフの講習は理論的で大切なポイントが研究生に伝わるように身振り手振り、白板に書くなど工夫して分かりやすく教えてくださいました。コンクールのコーチを務めたこともあるシェフの手際の良さや分かりやすい説明に研究生も勉強になったように感じました。


最後に記念撮影を行いました!