調理外来講習 M.Xavier BEAUDIMENT (グザヴィエ・ボーディマン)氏 / Le pré(ル・プレ)
3週間にわたるヴァカンスも終わり、フランス校生活も後半戦になりました。ここから先、自分達のスペシャル
メニューをコース仕立てで提供するムニュ・スペショーまで一気に進んで行きます。
今回は地理的にフランスの真ん中に位置するオーヴェルニュ地方の中心都市クレルモン・フェラン近郊にある、この地方唯一のミシュラン2つ星レストラン「ル・プレ」より、オーナーシェフのボーディマン氏に
お越し頂きました。
料理のコンセプトとして「自然」、「地域性」を掲げられています。しかしそれは昔からある地方料理を提供
するのではなく、その地方で採れる食材を使い、その時期に美味しい旬の食材で、食材をより美味しく
食べられる温度帯で提供することを指しています。
今回紹介頂いた料理の解説でも、
「自分で香草、きのこ、花、果物などを山に取りに行き、加工・乾燥させて使っています。」
「この地方では、冬の時期にはたくさんの豚製品を食べます。そのため、多くの豚肉加工品を使い、
旨味を出します。」
「私の店では海で取れる魚は提供しません。それは周りには海はなく、湖や川があるからです。」
など、これから自分達のスペシャルメニューを考える研究生にとって、「料理を考えるための背景」を
感じられたのではないかと思います。
☆今回披露いただいた料理2品。
Escargots tilleul, pâde persil et ail
柔らかく加熱されたエスカルゴに濃厚な低温料理の卵黄、自家製ティユール(菩提樹の花と葉)の香りを付けたソース、パセリのピュレを添えた一皿。なんとエスカルゴは生で入荷し、レストランで24時間かけて下処理を
行っているそうです。柔らかさを保つためにも、「炒める」のではなく、バターに香り、味をつけ「煮る」
ような温度帯で調理しました。卵は64℃のお湯で45分程度加熱し、濃厚でクリーミーな状態に仕上げ、
全体をまとめる役割を果たしています。
ボーディマン氏からの指示を受けアシスタントをする研究生
Truite, panais,sous-bois,sabayon acide
柔らかく加熱されたマスに、冬の食材である根菜類をトリュフ風味のクリームと合わせ、甲殻類の香りを
つけた卵黄ベースの泡状ソースを添えた一皿。マスを低温で加熱するのですが、真空袋に入れて脱気すると、
柔らかい魚の身が崩れてしまうため、袋の口を開けたまま50℃のお湯に8分間入れて加熱し、柔らかく、
しっとりした状態に仕上げます。
付け合わせには、自家製ベーコンなどで香りを付けたバターで炒めたエシャロットに、豚の皮から抽出した
出し汁、トリュフを加え、食材の香りを液体に移します。この液体に食感を残して加熱した根菜類を加え、
泡立てた生クリームで仕上げます。柔らかなマスの味と食感を損なわないために、付け合わせる野菜も上品な
仕上がりにしています。
ソースには、サバイヨンという卵と液体を合わせ、加熱しながら空気を加えた泡状のソースを添えますが、
今回は液体に甲殻類で採ったコンソメを使い香りを付け、サイフォンというガスを注入する道具を使い、
安定の良いソースに仕上げています。
ボーディマン氏の作業を手伝う研究生
シェフを囲んで、アシスタントを務めた研究生2人と記念撮影。