FRANCE

辻調グループ フランス校

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M.Yohann CHAPUIS (ヨアン・シャピュイ)氏 / L'écrin de Yohann CHAPUIS

フランス校教壇から

2024.09.09

今回の外来講習はBourgogneブルゴーニュ地方の町Tournusトゥルニュにあるミシュランガイド1ツ星を獲得しているレストラン「L'ÉCRIN DE YOHANN CHAPUIS レクラン・ドゥ・ヨアン・シャピュイ」のシェフ、M.Yohann CHAPUIS(ヨアン・シャピュイ氏)に来校いただきました。リヨンの「Pierre Orsiピエール・オルシ」、ヴィエンヌの「La Pyramideラ・ピラミッド」などを経て、2004年からは「Lameloiseラムロワーズ」でシェフ・ドゥ・キュイジーヌとして活躍されていました。ラムロワーズ在任中には、1度は失った3ツ目の星を取り戻し、その後、2008年から「Greuzeグルーズ」のシェフに就任後も1度格下げされたレストランに星を1つ取り戻しました。他にも2021年に行われたボキューズ・ドールのフランス代表チームのコーチに就任し、見事優勝に導いたシェフです。

シェフが料理する上で大切にしていることは、季節の食材を使用すること、食感の変化をつけること、その食材に適した火入れをすること、綺麗な盛りつけでお客様に味だけではなく、見た目でも楽しみ、驚きを感じてもらうことです。

今回の講習で2品作成していただきました。


TOMATES, MOZZARELLA, BASILIC

トマトやモッツァレラチーズを使い、様様々なパーツを作って盛り合わせたオードブルです。ガスパチョ(スペインの冷製スープ料理)にはゼラチンを使い、半球状に固めて、2つを合わせて球体にしたもの。そして、トマトとシェリー酒酢をミキサーにかけたものを、1晩かけてゆっくりと濾して、透明なトマトウォーターを作成します。透明ですが、しっかりとトマトの香りと味の付いた液体になります。こちらを半球状に固めたもの。最後に、モッツァレラチーズと生クリームをミキサーにかけたものを球体状にします。また、このクリームの一部はサイフォンに入れて泡状のクリームに仕上げます。

トマトウォーターやガスパチョを濾した後に残ったものを、味付けしなおして、半球に固めたものを、花型に固めたガスパチョの中に入れます。トマトを余すことなく使った綺麗な花形の1品に仕上がりました。
円形のきれいなチュイルと共に、夏らしいアミューズが完成しました。


ROUGET, AUBERGINE, SAFRAN

ルジェを使った魚料理です。捌いたルジェの一部を、塩、砂糖、ライムの皮で約10分マリネをします。塩を洗い落とし、様々なスパイスと、vinaigre vin de citron(レモンワインの酢)で作ったマリネ液で味を付けながら、四角い型に層になるように組み立てていきます。この層には、薄くスライスしたラルド(塩漬けにした豚の背脂)、コンフィにしたレモンの角切り、下茹でしたほうれん草を何層にも組んでいきます。残りのルジェは、オリーブ油でポワレし、スパイスの効いたグラサージュをかけて、サラマンドルで溶ける程度に焼きます。
つけ合わせはなすを使い2種類に仕上げました。ひとつめは薄くスライスしたaubergine zébrée(縞柄のなす)をごく薄くスライスし、レモン汁やオリーブ油でマリネをしたもの。ふたつ目は170℃のオーブンで2時間火を通したナスの果肉を、皮も一緒にミキサーにかけてピューレ状にし、そこにベシャメルソース、コンテチーズ、バジルの葉を加えて濃厚なピューレにしたものを添えます。
ルジェのアラを使いスープを作ります。アラを炒め、魚の出し汁、甲殻類のコンソメ、オレンジやレモン汁を加えて煮込み、サフランやパスティスで香りをつけてブイヤベースのようなスープを作成します。最後にエスプーマに入れて軽い泡状のソースにします。

飾りには、ルジェのうろこを揚げたものや菊の花を添えて、色鮮やかな1品となりました。

ボキューズ・ドールのフランス代表チームを優勝に導いたシェフの手際に釘付けになり、料理の考え方、食材の組み合わせ方などをノートにまとめ、講習終わりには研究生からの質問も多くありました。

2024年度春コース生にとって、最後の外来講習となりました。
最後にシェフと調理の研究生で記念撮影を行いました。